よそ)” の例文
刺あるをもて薔薇の花を、心に毒ありて貌美しき女によそへんは余りに浅はかなるべし。刺も緑の茎に紅く見えたる、おもむき無きならず。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まるめろを子羽によそへんは烏滸の限りなれど、子羽といひし人、おほよそは喩へば此樹の如くにもありけむと、其後此花を見るたびに思ふも、花の添へたる智慧なれや。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
難波江の蘆の枯葉をわたる風をも皆御法みのり説く声ぞと聞き、浮世をよそに振りすてゝ越えし鈴鹿や神路山、かたじけなさに涙こぼれつ、行へも知れず消え失する富士のけぶりに思ひをよそ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この窟上下四方すべて滑らかにして堅き岩なれば、これらの名は皆そのたかく張り出でたるところを似つかわしきものによそえて、昔の法師らの呼びなせしものにて、窟の内に別に一々岩あるにはあらず。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)