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よそ
ふりがな文庫
“
外
(
よそ
)” の例文
また夜更けに話すのと、白晝に話すのとは、
自
(
おのづ
)
から人の氣分も違ふ譯ですから、勢ひ周圍にある天然を
外
(
よそ
)
にする譯に行かないでせう。
小説に用ふる天然
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
信一郎の心が、不快な動揺に悩まされてゐるのを
外
(
よそ
)
に、秋山氏は、今火を
点
(
つ
)
けた金口の煙草を
燻
(
くゆ
)
らしながら、落着いた調子で云つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
若い頃の自分には
親
(
おや
)
代々
(
だいだい
)
の薄暗い質屋の店先に坐って
麗
(
うらら
)
かな春の日を
外
(
よそ
)
に働きくらすのが、いかに辛くいかに
情
(
なさけ
)
なかったであろう。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
兵馬の
行方
(
ゆくえ
)
を知る由もあろうかと思い、それがわからぬ時は、いっそ、江戸へ出て、
外
(
よそ
)
ながら能登守やお君の身の上について知りたい
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
されば
他国
(
かのくに
)
の
聖
(
ひじり
)
の教も、ここの
国土
(
くにつち
)
にふさはしからぬことすくなからず。
且
(
かつ
)
八三
詩
(
し
)
にもいはざるや。
八四
兄弟
牆
(
うち
)
に
鬩
(
せめ
)
ぐとも
外
(
よそ
)
の
侮
(
あなどり
)
を
禦
(
ふせ
)
げよと。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
是等の者を
外
(
よそ
)
にしても、元禄文学が大に
我邦
(
わがくに
)
文学に罪を造りたる者あり、
其
(
そ
)
を
如何
(
いか
)
にと言ふに、恋愛を其自然なる地位より退けたる事、即ち是なり。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
待てしばし、
然
(
さ
)
るにても
立波
(
たつなみ
)
荒
(
あら
)
き
大海
(
わたつみ
)
の下にも、人知らぬ
眞珠
(
またま
)
の光あり、
外
(
よそ
)
には見えぬ
木影
(
こかげ
)
にも、
情
(
なさけ
)
の露の宿する
例
(
ためし
)
。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
細君は「虎」にこだわる
良人
(
をつと
)
の心持とは違つて、「
外
(
よそ
)
へ行くより」と云ふ言葉に、一種の意味を持たせて賛成した。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
石の上で打つ
砧
(
きぬた
)
の音も静かな水に響けて来た。しばらく岸本は戦争を
外
(
よそ
)
に砧の音を聞いていた。その時、つと見知らぬ少年が彼の側へ来て声を掛けた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
はるかむこうに、さっき田原町を出て来た家主喜左衛門と鍛冶富、また大岡に会ったと
外
(
よそ
)
ながら
慇懃
(
いんぎん
)
に小腰をかがめる。本所の鈴川方へ行く途中とみえる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そんな国柄だから、兵卒や水兵を徴集するにも、検査が一寸
外
(
よそ
)
の国の
行
(
ゆ
)
き方とは
異
(
ちが
)
つてゐる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「そんなら、行つて起こいて見て起きて呉れはらなんだら、
外
(
よそ
)
へ連れてつて上げまほ。」
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
俺が法律を学んで、その蝋を噛むやうな学理に頭を作つて、物質の姿をのみ追つて、心霊の影を
外
(
よそ
)
に見た結果、俺は一日一日の生活を作ることを知つて居る丈のものとなつてしまつた。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
今までは野放しにして
外
(
よそ
)
ながら白眼んでいたのだが、何時迄も容赦はならない。
土から手が
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
皆んなの驚きを
外
(
よそ
)
に、ポール・ターラントは彼を助けようと前に進んで来た。
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そして、
犬
(
いぬ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
って
門
(
もん
)
のところまで
出
(
で
)
てきてみますと、もはや
犬
(
いぬ
)
が
外
(
よそ
)
をもふり
向
(
む
)
かずに
三郎
(
さぶろう
)
についてあっちへゆきかけますので、
中
(
なか
)
にも
一人
(
ひとり
)
の
子供
(
こども
)
は、しくしく
声
(
こえ
)
をたって
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
しました。
少年の日の悲哀
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私が油絵を
外
(
よそ
)
へ
描
(
か
)
きに出るやうになつてこれが三度目です。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
世の上のさがなきことを
外
(
よそ
)
にして杜鵑のみ聞くには如かじ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
戰場
外
(
よそ
)
に逃るゝを思ひ得がたし、あゝ奮へ、 590
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
もうその
中
(
うち
)
に、話は
外
(
よそ
)
に
外
(
そ
)
れてしまうのでした
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
外
(
よそ
)
から何かめづらしい貰ひものでもあると
時男さんのこと
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
「無作法ではないか、
外
(
よそ
)
をお廻り」
岷山の隠士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今夜は
外
(
よそ
)
へいらしっちゃあいやよ。
青年と死
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一箇月
(
いつかげつ
)
三十一日は
外
(
よそ
)
のこと
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その男性達は、美奈子の方には、殆ど注意を向けなかつた。たゞ美奈子の顔を、
外
(
よそ
)
ながら知つてゐる二三人が軽く会釈した
丈
(
だけ
)
だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
若い
頃
(
ころ
)
の自分には
親代々
(
おやだい/\
)
の
薄暗
(
うすぐら
)
い質屋の
店先
(
みせさき
)
に
坐
(
すわ
)
つて
麗
(
うらゝ
)
かな春の日を
外
(
よそ
)
に働きくらすのが、いかに
辛
(
つら
)
くいかに
情
(
なさけ
)
なかつたであらう。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
内
(
うち
)
のか、
外
(
よそ
)
のか、
重
(
かさ
)
なり
疊
(
たゝ
)
んだ
棟
(
むね
)
がなぞへに、
次第低
(
しだいびく
)
に、
溪流
(
けいりう
)
の
岸
(
きし
)
に
臨
(
のぞ
)
んで、
通廊下
(
かよひらうか
)
が、
屋根
(
やね
)
ながら、
斜違
(
はすか
)
ひに
緩
(
ゆる
)
く
上
(
のぼ
)
り、
又
(
また
)
急
(
きふ
)
に
降
(
お
)
りる。……
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いま主膳を驚かしたその血の塊は、
外
(
よそ
)
から出たのではありません、自分の鼻から出た鼻血でありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ご用が御座いませんでしたらさうなさいよ。
外
(
よそ
)
へ行くより
却
(
かへ
)
つて気が晴れるかも知れませんよ。」
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
「そのこと! わしも
外
(
よそ
)
ながら出羽の動静を——いや、言わぬというて、また——続けい話を。」
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ヱゴイズムを
外
(
よそ
)
にし、狂熱を冷散するとも別に諷刺の元質、世に
充盈
(
じゆうえい
)
せりと見るは非か。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私は戦争を
外
(
よそ
)
に見て、全く自分の製作に耽るほど静かな気分には成れない。私の心は外物の為に刺戟され易くて困る。私の始めたことは私の心を
左様
(
さう
)
静かにさせては置かないやうなものだ。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
花ならば蕾、月ならば新月、いづれ末は玉の
輿
(
こし
)
にも乘るべき人が、品もあらんに世を
外
(
よそ
)
なる尼法師に樣を變へたるは、慕ふ
夫
(
をつと
)
に別れてか、
情
(
つれ
)
なき人を思うてか、
何
(
ど
)
の
途
(
みち
)
、戀路ならんとの噂。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
無慙なるかな、あゝ汝、汝は
外
(
よそ
)
の卑怯なる
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
華奢
(
くしや
)
な
街家
(
まちや
)
を
外
(
よそ
)
に見て
妄動
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
外
(
よそ
)
の国より
胆太
(
きもぶと
)
に
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
信一郎の心が、不快な動揺に悩まされているのを
外
(
よそ
)
に、秋山氏は、今火を
点
(
つ
)
けた金口の
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
くゆ
)
らしながら、落着いた調子で云った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
弱い者が
自
(
みずか
)
らその弱い事を忘れ軽々しく浮薄なる時代の声に誘惑されようとするのは、誠に
外
(
よそ
)
の見る目も痛ましい限りといわねばならぬ。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
素人八卦は当ったのかわれながら不思議なぐらいだが、幽明の境を弁えぬ
凝性
(
こりしょう
)
の一念迷執、真偽虚実を
外
(
よそ
)
に、これはありそうなことだと藤吉は思った。帰り着いたのは短夜の
引明
(
ひきあけ
)
だった。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
(前略)鹿島の神宮に
詣
(
まう
)
で候へば、つい鹿島の
洋
(
なだ
)
を
外
(
よそ
)
に致し難く、すでに鹿島洋に出でて、その
豪宕
(
がうたう
)
なる海と、太古さながらの景を見るうちに、縁あつて陸奥の松島まで遊意飛躍
仕
(
つかまつ
)
り候事
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
諸神並に諸將らの終夜の休み
外
(
よそ
)
にして
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
その男性達は、美奈子の方には、
殆
(
ほとん
)
ど注意を向けなかった。たゞ美奈子の顔を、
外
(
よそ
)
ながら知っている二三人が軽く
会釈
(
えしゃく
)
した丈だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
さればこの水上にも
妓
(
ぎ
)
を載せ酒を
酌
(
く
)
むの屋形船なく、花を
外
(
よそ
)
なる釣舟と
筏
(
いかだ
)
と
鴎
(
かもめ
)
とを浮ばしむるのみ。この傾向は吉原を描きし図において殊に顕著なるを覚ゆ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それでこの老女は、薩摩の家老の母親で、天璋院殿のためには
外
(
よそ
)
ながら後見の地位におり、ややもすれば暗雲の
蟠
(
わだかま
)
る大奥の勢力争いを、ここに離れて見張っているのだということであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
否、自分に訣別するため、
外
(
よそ
)
ながら自分を見ようとした時、偶然自分が危難に遭遇したため、前後の思慮もなく飛び込んだのではないだらうか。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
薄倖多病の才人が都門の栄華を
外
(
よそ
)
にして
海辺
(
かいへん
)
の
茅屋
(
ぼうおく
)
に
松風
(
しょうふう
)
を聴くという仮設的哀愁の生活をば、いかにも
稚気
(
ちき
)
を帯びた調子でかつ
厭味
(
いやみ
)
らしく飾って書いてある。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
否
(
いな
)
、自分に
訣別
(
けつべつ
)
するため、
外
(
よそ
)
ながら自分を見ようとした時、偶然自分が危難に遭遇したため、前後の思慮もなく飛び込んだのではないだろうか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
道端
(
みちばた
)
の人家は道よりも一段低い地面に建てられてあるので、春の日の光を
外
(
よそ
)
に女房共がせっせと内職している薄暗い
家内
(
かない
)
のさまが、通りながらにすっかりと
見透
(
みとお
)
される。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
道端
(
みちばた
)
の
人家
(
じんか
)
は道よりも一段低い地面に建てられてあるので、春の日の光を
外
(
よそ
)
に女房共がせつせと
内職
(
ないしよく
)
して
居
(
ゐ
)
る
薄暗
(
うすぐら
)
い
家内
(
かない
)
のさまが、
通
(
とほ
)
りながらにすつかりと
見透
(
みとほ
)
される。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
木賀は、新子の心の一抹の不安を
外
(
よそ
)
に、他意なく微笑んだ。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“外”を含む語句
外套
外見
外出
外面
外貌
外国
外方
外囲
内外
外聞
門外
戸外
意外
外部
窓外
引外
法外
外国人
外皮
外人
...