“わき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ワキ
語句割合
28.6%
23.9%
20.9%
15.7%
3.9%
1.3%
他家0.9%
他所0.7%
和気0.6%
0.4%
0.4%
他処0.3%
余処0.3%
座側0.3%
0.3%
0.1%
0.1%
0.1%
両側0.1%
他方0.1%
0.1%
和紀0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と客の前から、いきなり座敷へ飛込んで、突立状つったちざまゆびさしたのは、床の間わきの、欞子れんじに据えた黒檀こくたんの机の上の立派な卓上電話であった。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「勘忍の革袋か」と高声にあざけりながら、——幸いにして当の勘忍袋はたいして暴れもせず、ただわきの下へ冷たい汗が出ただけだった
評釈勘忍記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
次郎は、わきの下を小さな円いものでつっつかれたようなくすぐったさを覚えた。彼はそれが万年筆であるということを、すぐ覚った。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
荒い格子に瓦家根、右の方は板流し! 程よい所に石の井戸、そうかと思うと格子のわきに朝熊万金丹取次所と金看板がかかっている。
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「会社のものばかりなら何うでも構いませんが、わきからも大勢見えるのです。しかしさい御幣ごへいを担ぎますから、仰せに従いましょうかな」
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
姫様ひいさまから、御坊へお引出ものなさる。……あの、黄金こがね白銀しろがね、米、あわわきこぼれる、石臼いしうす重量おもみが響きますかい。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五年以来おっとだと思い込んでいた人から、特別の理由もないのに、急に断わられて、平気ですぐ他家わきへ嫁に行くような女があるものか。あるかも知れないが小夜はそんな軽薄な女じゃない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
斯様かような始末ですからお竹は翌朝よくあさ立つことが出来ません、既に頼んで置いた舁夫かごかきも何も断って、荷物も他所わきへ隠してしまいました。主人の五平は
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
秀吉のこのことばは、殺伐さつばつなる列のなかへ、かえって、一場の和気わきと、笑いとを、かもし出し、やがて
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲「うむ、主家にようの事が有ったか其の方わきまえてるか」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
めえ、何でも遊女おいらんに剃刀を授かって、お若さんが、殺してしまうと、身だしなみのためか、行水を、お前、行水ッて湯殿でお前、小桶こおけわきざましの薬鑵やかんの湯をちまけて、お前、惜気もなく
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年頃で無理じゃアねえから他処わきへ寄ったか、隠さずと云いな
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「なら可い、君に聞かんでも余処わきで聞くよ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
座側わきに置いた小包に横目をやつてゐた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
と、今夜主税の机のわきに、河野英吉えいきちが、まだ洋服の膝も崩さぬさきから
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大いに心組違ぐみちがひしゆゑグツト云て暫時しばしこたへもなかりしが其儀は私しはわきまへ申さずと云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
申し付るこそ重役も左程さほど目の無きものどもにもあるまじ殊に其の方が面體めんていかくまで愚鈍うつけ者とも見えず是程のわきまへなきこともあるべからず是には何か仔細しさいあらんとじり/\眞綿まわたで首を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左の手にはわき雷居り、右の手にはつち雷居り、左の足にはなる雷居り、右の足にはふし雷居り、并はせて八くさの雷神成り居りき。
またその矢河枝比賣が弟、袁那辨をなべの郎女に娶ひて生みませる御子、宇遲うぢわき郎女一柱。また咋俣長日子くひまたながひこの王が女、息長眞若中おきながまわかなかつ比賣に娶ひて、生みませる御子、若沼毛二俣わかぬけふたまたの王一柱。
此處こゝらんとこにかたまりあつたのがだが、それつきり何處どこさかつちやつたな、それかられはあ、ようまづなんざわきあねえつちつてんだ」かれ手先てさき脊椎せきずゐちかれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
身體からだ工合ぐえゝりいなんて、さうだ料簡れうけんだから卯平等うへいらやうねえ、此等こツらようまづだなんて、ようまづなんち病氣びやうきはらむしからんだから、なあにわきあねえだよ、へびでかうきおろすんだ、えゝか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
杉田はむっとしたが、くだらんやつを相手にしてもと思って、他方わきを向いてしまった。実にしゃくにさわる、三十七のおれを冷やかす気が知れぬと思った。
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
香にほくる鉄の微塵や気色けしきすら旋盤も人もわきししらずも
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大雀の命は、食國おすくにの政執りもちて白したまへ宇遲うぢ和紀わき郎子は、天つ日繼知らせ
天の兒屋の命太祝詞ふとのりと言祷ことほぎ白して、天の手力男たぢからをの神一六、戸のわきに隱り立ちて、天の宇受賣うずめの命、天の香山の天の日影ひかげ手次たすきけて、天の眞拆まさきかづらとして一七
目からぽろぽろ涙が流れて、抑えきれない悲しみが、遣瀬やるせなくわき立って来た。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いけないことだ。「我はその手にくぎあとを見、わが指を釘の痕にさし入れ、わが手をそのわきに差入るるにあらずば信ぜじ」
散華 (新字新仮名) / 太宰治(著)