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腋
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わき
ふりがな文庫
“
腋
(
わき
)” の例文
「こんなわけで、僕はすっかりふりまわされて、恥をかくやら、大失態を演ずるやら、今思い出しても
腋
(
わき
)
の下から冷汗が出てくるよ」
暗号数字
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「勘忍の革袋か」と高声に
嘲
(
あざけ
)
りながら、——幸いにして当の勘忍袋はたいして暴れもせず、ただ
腋
(
わき
)
の下へ冷たい汗が出ただけだった
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
テナルディエは
腋
(
わき
)
のポケットから、大きな灰色の紙包みを取り出した。種々の大きさにたたんだ紙が中にはいっているらしく見えた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
野飼いの
奇傑
(
きけつ
)
蒲生泰軒は、その面前にどっかと大あぐらを組むと、ぐいと手を伸ばして取った脇息を
垢
(
あか
)
じみた
腋
(
わき
)
の下へかいこんで
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そう云っている板倉の鼻先を、五人が一とかたまりになって駈け足の練習でもしているように握り
拳
(
こぶし
)
を両
腋
(
わき
)
に附けながら走って通った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
二、三町行くとその荷物を石のある所にうまく卸して休まなくちゃあ歩けない。寒いのに
腋
(
わき
)
の下から汗が出るという始末、実に苦しい。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
検温器を患者の
腋
(
わき
)
に
揷入
(
そうにゅう
)
したりして、失望したり、
慣
(
じ
)
れったがったりしたが、外へ出ない時も、お銀にばかり
委
(
まか
)
せておけなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お富や子供らのこと考えるたびに、伊之助の
腋
(
わき
)
の下には冷たいねばりけのある汗がわく。その汗は病と戦おうとする彼の
精神
(
こころ
)
から出る。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その空気が一番多く侵入する所は
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
か腰の附け根だからそこを押えてみると空気の吹込んであるのはブクブクと
気泡
(
あわ
)
が動く。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「久助君が来たのを、その足音もしないうちから感づいているのだから、我々なんぞはもう
腋
(
わき
)
の下の毛穴まで数えられているかも知れない」
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
血を連想した時高柳君は
腋
(
わき
)
の下から何か冷たいものが
襯衣
(
シャツ
)
に伝わるような気分がした。ごほんと取り締りのない
咳
(
せき
)
を一つする。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蔡福は聞くうちにも
腋
(
わき
)
の下に冷めたい汗をタラタラとたらしていた。くやしいが人間の違いか。この威圧はどうしようもない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女の青い
縞
(
しま
)
のはんてんを羽織って立っている私は、
錐
(
きり
)
で
腋
(
わき
)
の下を刺され
擽
(
くす
)
ぐられ刺されるほどに、たまらない思いであった。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
冬の
外套
(
がいとう
)
の
腋
(
わき
)
の下に
折鞄
(
おりかばん
)
を抱えた重吉は玄関前の踏み石を歩きながら、こういう彼の神経を怪まない
訣
(
わけ
)
には行かなかった。
玄鶴山房
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
引金に
紐
(
ひも
)
がかかっているため敬二郎の
腋
(
わき
)
の下を貫き、紀久子の胸を貫くことになる計画だったのだけれど、それも見事失敗に終わってしまった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ようやくゆるんだ帯から首をはずしてほっとしたが、
腋
(
わき
)
の下や背筋には冷たい汗が出てどきんどきんと心臓が激しかった。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
私のぶらつくところはおおむね背中のような
腋
(
わき
)
の下のような指の間のような裏通り、時とすると……のような辺であった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
乃
(
そこ
)
でそれが
再
(
ふたゝ
)
び
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
せないやうに、
愛
(
あい
)
ちやんはそれを
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
へ
壓
(
お
)
し
込
(
こ
)
み、それからその
友達
(
ともだち
)
と
猶
(
な
)
ほも
談話
(
はなし
)
を
續
(
つゞ
)
けやうとして
戻
(
もど
)
つて
行
(
ゆ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
(お
前達
(
まへだち
)
は
生意気
(
なまいき
)
だよ、)と
激
(
はげ
)
しくいひさま、
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
から
覗
(
のぞ
)
かうとした
件
(
くだん
)
の
動物
(
どうぶつ
)
の
天窓
(
あたま
)
を
振返
(
ふりかへ
)
りさまにくらはしたで。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
男はシャツの
腋
(
わき
)
の裂けたるも知らで
胴衣
(
ちよつき
)
ばかりになれるあり、羽織を脱ぎて帯の解けたる尻を突出すもあり、十の指をば
四
(
よつ
)
まで紙にて
結
(
ゆ
)
ひたるもあり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
投げ飛ばされた一郎次は、右の
腋
(
わき
)
の下に刀で
刳
(
えぐ
)
るような痛みを感じました。彼は、もう死ぬような気がしました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼の
腋
(
わき
)
の下から冷汗がポタポタと滴った。急にたまらない恥かしさを覚えて、今一度、土の上に額を押しつけた。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もっと大きな声で願います、といわれながらやっとそれだけいったときの、のぼせたせつなさを思って、今も、伸子は
腋
(
わき
)
の下がしっとりとするのであった。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
波止場に入りし時、翁は夢みるごときまなざしして
問屋
(
といや
)
の
燈火
(
ともしび
)
、影長く水にゆらぐを見たり。舟
繋
(
つな
)
ぎおわれば
臥席
(
ござ
)
巻
(
ま
)
きて
腋
(
わき
)
に抱き櫓を肩にして岸に
上
(
のぼ
)
りぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そこで、そのありかを
尋
(
たず
)
ねてゆくと、女は両親を識らないと言い張っていたが、その
腋
(
わき
)
の下に大きい
痣
(
あざ
)
があるのが証拠となって、彼女はとうとう恐れ入った。
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
藪
(
やぶ
)
から棒を突き出したように
尻
(
しり
)
もったてて声の調子も
不揃
(
ふぞろ
)
いに、辛くも胸にあることを額やら
腋
(
わき
)
の下の汗とともに絞り出せば、上人おもわず笑いを催され
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鳥井青年は、
腋
(
わき
)
の下から冷いあぶら汗をタラタラ流しながら、泳ぐ様にして恋人の前に近づいて行った。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私の
手
(
て
)
はいつの
間
(
ま
)
にか
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
に
潛
(
くゞ
)
つてゐました。私は
東明館前
(
とうめいくわんまへ
)
から
右
(
みぎ
)
に
折
(
を
)
れて、
譯
(
わけ
)
もなく
明
(
あか
)
るく
賑
(
にぎや
)
かな
街
(
まち
)
の
片側
(
かたがは
)
を、
店々
(
みせ/\
)
に
添
(
そ
)
うて
神保町
(
じんぼうちやう
)
の
方
(
はう
)
へと歩いて行きました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ベルが鳴ってから電気を附けたと見えて、玄関の
腋
(
わき
)
の
欞子
(
れんじ
)
の硝子にぱっと明りが映ったのであった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
紫色の影をつくる
腋
(
わき
)
の下に魅力を感じて立あがると、藍色のアブサン酒を彼女のグラスに
注
(
つ
)
いだ。
スポールティフな娼婦
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
自分は急いでいるのだということを示すために書類入れを
腋
(
わき
)
の下に高く押しこみ、言葉を続けた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
この伝で往くと、栖鳳氏の天人は
臍
(
へそ
)
の
孔
(
あな
)
から
擽
(
くすぐ
)
つたい
腋
(
わき
)
の下の皺まで
描
(
か
)
かねばならなくなる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さらばござんなれと、ひそかに刀を抜いて
腋
(
わき
)
の下に片手で隠し持ち、きっ先を後方に向けておいて、おばけが近づいて来てまさに彼にふれようとした瞬間にズブリと突き刺した。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
だまっていても、
腋
(
わき
)
の下が気持悪くニヤニヤと汗ばんだ。由三は今ようやく出来かけている口笛を吹きながら、手にぶら下ったり、身体にからまって来たり、一人で燥いでいる。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
と、答えて、
腋
(
わき
)
の下に、冷汗を流していた。大作は、薄い柳行李から、袴を出しながら
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
腋
(
わき
)
の下からも、冷たい水が湧いて、気持わるく横腹を流れる。しきりに、水を飲んだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
街の一端に近きポヽロの廣こうぢに
索
(
つな
)
を引きて、馬をば其
後
(
うしろ
)
に並べたり。馬は早や
焦躁
(
いらだ
)
てり。脊には燃ゆる海綿を
貼
(
は
)
り、耳後には小き
烟火具
(
はなび
)
を裝ひ、
腋
(
わき
)
には拍車ある鐵板を懸けたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「ママ、僕に
新
(
あたら
)
しいシャツを出してよ。このシャツは
腋
(
わき
)
の下が
破
(
やぶ
)
れてんだもの。」
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
慄悍
(
ひょうかん
)
な動物は、弾丸をくぐって直ちに、人に迫って来る。それは全く凄いものだった。衛兵は総がかりで狼と戦わねばならなかった。悪くすると、
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
や、のどに喰いつかれるのだ。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
弓張
(
ゆみはり
)
なざア
其方
(
そっち
)
の羽目へ指しねえな、
提灯
(
ちょうちん
)
をよ、
盥
(
たれえ
)
を伏せて置いて、仏様の
腋
(
わき
)
の下へ手を入れて、ずうッと遣って、盥の
際
(
きわ
)
で早桶を横にするとずうッと足が出る、足を盥の上へ載せて
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
罪人を裸にして右
腋
(
わき
)
を土壇に当て、右手は土壇に立てられた竹に繩でしばりつけ、左手は助手がひっぱっている。そして正面から、罪人の左肩から右乳へかけて斜に、「
袈裟切
(
けさぎ
)
り」をする。
せいばい
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
彼が最後に書物を買った時は、チョッキから、上衣から
洋袴
(
ズボン
)
から、外套まで、小型の奴は悉くポケットに詰め込み、大冊は両
腋
(
わき
)
に抱えたので、何処の辻馬車の
馭者
(
ぎょしゃ
)
も彼を乗せる事を拒んだ。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
いたずらっ児時代の記憶を喚起して見ても、瓦をめくって親かとまちがえるような大きな子雀を見たこともあれば、また
椽先
(
えんさき
)
などへ入って来るのには、時々は
腋
(
わき
)
の下などの赤裸なのもいる。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
まだ花は盛りで
腋
(
わき
)
の坊に一泊し、翌日は蔵王堂からそれぞれと見物し、関屋の花を眺めて橘寺に出で、夜に入り
松明
(
たいまつ
)
の出迎えを受けて安部寺に一宿し、長谷、三輪、石上を経て奈良に戻った。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
達也様には
腋
(
わき
)
の下に小指の先で突いたほどの赤
痣
(
あざ
)
がある、花と同じように下唇に
黒子
(
ほくろ
)
もあるはずです、しかし、それ等は外から見てわかる事で、云いがかりだと仰しゃられてはそれまでですが
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
お前は
腋
(
わき
)
の下を拭いてゐるね。冷汗が出るのか。それは俺も同じことだ。何もそれを不愉快がることはない。べたべたとまるで精液のやうだと思つてごらん。それで俺達の憂欝は完成するのだ。
桜の樹の下には
(新字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
雲の峰一道二道と山の
腋
(
わき
)
より立ち昇りて、神女白銀の
御衣
(
みけし
)
を
曳
(
ひ
)
いて長し、我にいま少し仙骨を有するの自信あらば、
駕
(
が
)
して天際に達する
易行道
(
いぎやうだう
)
となしたりしならむ、下は
即
(
すなは
)
ち
荒邈
(
くわうばく
)
として、裾野も
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
今更の汗
腋
(
わき
)
下を傳へば後悔の念かしらにのぼりて、
平常
(
つね
)
の心の
現
(
あら
)
はれける我れ恥かしく、さても何如なる事をか申たる、お前樣お二人の外に聞かれし人は無きかと裏どへば、佐助大笑ひに笑ひて
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ああ、またしてもよく寝られたもんだ。まだなにもできちゃいないじゃないか! はたしてそうだ、はたしてそうだ。
腋
(
わき
)
の下の輪さだって今まで取ってないんだ! 忘れてる、こんなかんじんなことを
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
こはをかし
柔
(
やはら
)
かなこの
腋
(
わき
)
の下
擽
(
くす
)
ぐればふふと笑ふ正覚坊
真珠抄
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“腋”の意味
《名詞》
(わき)腕の付け根の内側。
(出典:Wiktionary)
“腋(腋の下)”の解説
腋の下、脇の下(わきのした、axilla)は、人体の部位の一つ。単に腋、脇(わき)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
腋
漢検1級
部首:⾁
12画
“腋”を含む語句
腋下
闕腋
両腋
一狐腋
小腋
腋臭
腋毛
腋窩
葉腋
苞腋
腋香
腋間
腋門
腋芽
腋腹骨
腋腹
腋羽
腋明
腋挾
其腋
...