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脇
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わき
ふりがな文庫
“
脇
(
わき
)” の例文
秘密警備隊員の
笹枝弦吾
(
ささえだげんご
)
は、
定
(
さだ
)
められた時刻が来たので、同志の
帆立介次
(
ほたてかいじ
)
と肩を
並
(
なら
)
べてS公園の
脇
(
わき
)
をブラリブラリと歩き始めていた。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
次郎は、
脇
(
わき
)
の下を小さな円いものでつっつかれたようなくすぐったさを覚えた。彼はそれが万年筆であるということを、すぐ覚った。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
私は、何よりもその
活
(
い
)
き
活
(
い
)
きとした景気の好い
態度
(
ようす
)
に
蹴落
(
けおと
)
されるような心持ちになりながら、おずおずしながら、
火鉢
(
ひばち
)
の
脇
(
わき
)
に座って
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
我ゆゑ死ぬる人のありとも御愁傷さまと
脇
(
わき
)
を向くつらさ
他処目
(
よそめ
)
も養ひつらめ、さりとも折ふしは悲しき事恐ろしき事胸にたたまつて
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
皆の顔を見て会釈して、「遅くなりまして
甚
(
はなは
)
だ」と云いながら、畳んだ坐具を右の
脇
(
わき
)
に置いて、戸川と富田との間の処に据わった。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「ええ、あれだけでも速く疎開させておきたいの」と康子はとり
縋
(
すが
)
るように兄の
眸
(
ひとみ
)
を
視
(
み
)
つめた。と、兄の視線はちらと
脇
(
わき
)
へ
外
(
そ
)
らされた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
聞
(
きゝ
)
文藏は大いに驚き恐れながらと進み出御奉行樣の御眼力誠に恐れ入奉つり候其節萬澤の
脇
(
わき
)
にて目明し二人に
出會
(
であひ
)
私し共三人に
繩
(
なは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
獅子はだまって受けとって
脇
(
わき
)
にはさんでのそりのそりとこんどは自分が見まはりに出ました。そこらは水のころころ流れる夜の野原です。
月夜のけだもの
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
脇
(
わき
)
玄関の小廊下に、明るい秋の日が
映
(
さ
)
していた。萩垣根の下に、萩の花を浴びて、この頃生れた犬の子が白い親犬に
戯
(
たわむ
)
れている。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一弾は
紙挾
(
かみばさ
)
みに勢いをそがれ、横にそれて
脇
(
わき
)
にひどい裂傷を与えていたが、それは別に深くはなく、したがって危険なものではなかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
食後の津田は
床
(
とこ
)
の
脇
(
わき
)
に置かれた小机の前に向った。下女に頼んで取り寄せた絵端書へ一口ずつ文句を書き足して、その表へ
名宛
(
なあて
)
を
記
(
しる
)
した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はひね
鯊
(
はぜ
)
を一尾あげた。すると一人の男が
土堤
(
どて
)
の上をやって来て、私のすぐ
脇
(
わき
)
で釣り始めた。私は場所を変えようと思った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この先生というは、ここより十町ほど
脇
(
わき
)
に住み、業は医師を立て、近郷に続く方なき碁打ちと
沙汰
(
さた
)
して、この者ども、みなかれが門弟なり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
女は、居るというしるしに、うなずいて見せて、自分の
身
(
からだ
)
を
脇
(
わき
)
の箱を置いてある方へそらし、ウォルコフが通る道をあけた。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
その癖
頸
(
くび
)
のまわりには、白と黒と
格子縞
(
こうしじま
)
の
派手
(
はで
)
なハンケチをまきつけて、
鞭
(
むち
)
かと思うような、
寒竹
(
かんちく
)
の長い杖をちょいと
脇
(
わき
)
の下へはさんでいる。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こわごわ門のとこまできてみると、大きな門はぴったり閉まって先生や小使が
出入
(
でいり
)
する
脇
(
わき
)
の小門だけが
僅
(
わずか
)
に明いていました。
誰が・何時・何処で・何をした
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
そこで
脇
(
わき
)
から手を
翳
(
かざ
)
すようにしたが、そもそもガス焜炉はそういう仕掛になっているのだろう、脇へはウソみたいに熱を放射しないのである。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
後代手本たるべしとて
褒美
(
ほうび
)
に「かげろふいさむ花の糸口」と
云
(
いう
)
脇
(
わき
)
して送られたり。
平句
(
ひらく
)
同前
(
どうぜん
)
也。歌に景曲は
見様
(
みるよう
)
体
(
てい
)
に属すと
定家卿
(
ていかきょう
)
もの
給
(
たま
)
ふ也。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
自分で玄関
脇
(
わき
)
の板木をはづし取つて来ると、校門の外へ出て、力一ぱい、カーン/\・カーン/\と打ち鳴らすのでした。
先生と生徒
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
先刻
(
さつき
)
美
(
うつく
)
しい
人
(
ひと
)
が
脇
(
わき
)
へ
来
(
き
)
て
席
(
せき
)
を
取
(
と
)
つたが、
言葉
(
ことば
)
が
通
(
つう
)
じないことがわかつたところで、
今
(
いま
)
一
人
(
り
)
の
日本語
(
にほんご
)
のよく
話
(
はな
)
せるお
転婆
(
てんば
)
さんらしい
女
(
おんな
)
と
入替
(
いれかわ
)
つた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
縞
(
しま
)
の
羽織
(
はおり
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
を
細
(
ほそ
)
く
着
(
き
)
た、
脇
(
わき
)
あけの
口
(
くち
)
へ、
腕
(
かひな
)
を
曲
(
ま
)
げて、
些
(
ちつ
)
と
寒
(
さむ
)
いと
云
(
い
)
つた
體
(
てい
)
に、
兩手
(
りやうて
)
を
突込
(
つツこ
)
み、ふりの
明
(
あ
)
いた
處
(
ところ
)
から、
赤
(
あか
)
い
前垂
(
まへだれ
)
の
紐
(
ひも
)
が
見
(
み
)
える。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
今尚ほ
昨
(
きのふ
)
の如く覺ゆるに、
脇
(
わき
)
を勤めし重景さへ同じ
落人
(
おちうど
)
となりて、都ならぬ高野の夜嵐に、昔の哀れを物語らんとは、怪しきまで
奇
(
く
)
しき縁なれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
若松の裏海岸、港とは反対の
脇
(
わき
)
ノ
浦
(
うら
)
の外れに、
白鳥
(
しらとり
)
温泉がある。温泉といっても、ほんのちょっぴり硫黄分のある
湧水
(
ゆうすい
)
を、
沸
(
わ
)
かしているだけだ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
いきなり道路
脇
(
わき
)
にじやあじやあと放尿をやらかすその光景にも何かしら一種のもの悲しさを覚えさせられたものである。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
怖
(
おそろ
)
しさの行止まりで、声を立てるだけの力もなかった。それが私の門までくると、くぐり戸の
脇
(
わき
)
に私をおろして、すぐに見えなくなったのである。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かの田中の者一人の武士にゆきあひ
重荷
(
おもに
)
ながらもこなたより一足ふみのきたるに、武士は
声
(
こゑ
)
をあらゝげ
脇
(
わき
)
よれといふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
折からそこへ階段を上って来た司祭と補祭を通すために、彼はいきなり
脇
(
わき
)
へ身を引いた。彼らは
看経
(
かんきん
)
に来たのである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それは卑劣と思えるほど小器用で
脇
(
わき
)
の下がこそばゆくなる。酢の面に
縮緬皺
(
ちりめんじわ
)
のようなさざなみか果てしもなく立つ。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
史邦の「
帷子
(
かたびら
)
」の発句と芭蕉の
脇
(
わき
)
「
籾
(
もみ
)
一升を稲のこぎ賃」との次に岱水が付けた「
蓼
(
たで
)
の穂に
醤
(
もろみ
)
のかびをかき分けて」
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さて明智と神谷とが、高梨家の門前に近づいてみると、正門
脇
(
わき
)
の
潜
(
くぐ
)
り戸が半びらきになっていたので、構わずそこからはいって、玄関の呼鈴を押した。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
時計がすすんだのではなく、小林先生と立ち話をしただけおそくなったのだ。背中や
脇
(
わき
)
の下で筆箱を鳴らしながら、ほこりを立ててみんなは走りつづけた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
(ワーニャの
脇
(
わき
)
をかかえる)さ、行きましょう。お父さまと仲直りなさらなくちゃ駄目よ。ね、そうでしょう。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其
腫
(
は
)
れぼったい
瞼
(
まぶた
)
はヒタと
押
(
おっ
)
かぶさって、
浅葱縞
(
あさぎじま
)
の単衣の
脇
(
わき
)
がすう/\息つく毎に高くなり低くなりして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それが大変父の気に入ったので、引込み過ぎて不便なのも
厭
(
いと
)
わずそこに
極
(
き
)
めました。表門の
脇
(
わき
)
には柳の大木があり、裏には梅林もあって、花盛は
綺麗
(
きれい
)
でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
若い女の人で三輪大明神を拝みに来る人は、たいてい帰りに、楼門の右の
脇
(
わき
)
の「
門杉
(
かどすぎ
)
」に
願
(
がん
)
をかけて行く。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
亀屋
(
かめや
)
栄吉、伏見屋伊之助、梅屋五助、
桝田屋
(
ますだや
)
小左衛門、
蓬莱屋
(
ほうらいや
)
新助、旧問屋九郎兵衛、組頭庄助、同じく平兵衛、妻籠本陣の寿平次、
脇
(
わき
)
本陣の得右衛門なぞは
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「もう、よせよせ」僕は三味線を取りあげて、
脇
(
わき
)
に投げやり、「おれが手のすじを見てやろう」と、右の手を出させたが、指が太く短くッて実に無格好であった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
芝公園大門
脇
(
わき
)
に『わかもと』の
本舗
(
ほんぽ
)
がある。その『わかもと』の事務所は、寺院の一部であった。
観相家
(
かんそうか
)
の松井
桂陰
(
けいいん
)
君が
某時
(
あるとき
)
その『わかもと』の
某君
(
ぼうくん
)
を訪問した時
商売の繁昌する家
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
暫
(
しばら
)
くして男は紙と鉛筆とを
脇
(
わき
)
へ置いて、何か意味のない書物を手に取って読みそうにした。少し読みかけて見たが、この方がよほど気が晴れて好いように思われた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
あるいはまた、
脇
(
わき
)
腹がきりきり痛むと言って、声をたてながら転げ回った。あるいは、息がつまってしまった。もとよりしまいにはほんとうの神経の病気になった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
周三は、吃驚したやうに頭を
擡
(
もた
)
げると、お房は何時の間にか
掃除
(
そうじ
)
を
濟
(
す
)
まして
脇
(
わき
)
に來て突立ツてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
正面玄関の
脇
(
わき
)
の、便所の隣りのその小部屋には、朝も昼も夕方も、まるっきり日が当らなかった。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
男
(
おとこ
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
脇
(
わき
)
に
正坊
(
まさぼう
)
を
乗
(
の
)
せて、
馬
(
うま
)
にむちを
当
(
あ
)
てました。その
馬
(
うま
)
の
脚
(
あし
)
は
速
(
はや
)
かったのです。
森
(
もり
)
や、
川
(
かわ
)
や、
丘
(
おか
)
を
過
(
す
)
ぎてゆくと、いろいろの
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
いた
野原
(
のはら
)
に
出
(
で
)
ました。
びんの中の世界
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
髪を右の
脇
(
わき
)
から前へ曲げて持っている侍従は美しい女房であった。馬に乗せようとするが承知しないために、衣服の
裾
(
すそ
)
を時方は持ってやりながら歩かせて行くのである。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
脇
(
わき
)
には七宝入りの
紫檀
(
したん
)
卓に、
銀蒼鷹
(
ぎんくまたか
)
の置物を
据
(
す
)
えて、これも
談話
(
はなし
)
の数に入れとや、極彩色の
金屏風
(
きんびょうぶ
)
は、手を尽したる
光琳
(
こうりん
)
が花鳥の盛上げ、あっぱれ座敷や
高麗縁
(
こうらいべり
)
の青畳に
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
死体のように堅くしめている唇から、
泡
(
あわ
)
を出していた。大工が下りて行った時、雑夫長が
薪
(
まき
)
を
脇
(
わき
)
にはさんで、片肩を上げた窮屈な
恰好
(
かっこう
)
で、デッキから海へ小便をしていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
筋違
(
すじかい
)
見附より神田川を渡って
御成道
(
おなりみち
)
を、上野広小路から
黒門
(
くろもん
)
に入り
文珠楼
(
もんじゅろう
)
前を右へ、
凌雲院
(
りょううんいん
)
前通の松原を過ぎ、大師堂
脇
(
わき
)
なる矢来門の通から
龕前堂
(
がんぜんどう
)
に護送せられたのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
脇
(
わき
)
へそれる道は無数にあって、——ほんとうに想像もできぬほど、——実に何遍も何遍ももとへ戻って来るものだから、この屋敷全体に関する私たちのいちばん正確な観念も
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
くだんの弁士が、急いでリップのところへきて、彼をちょっと
脇
(
わき
)
へ引っぱってゆき、「どちらへ投票するのか」とたずねた。リップはぽかんと間のぬけたように眼を見はった。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
豚
(
ぶた
)
は
汚
(
きたな
)
い所が好きなのではなく、清潔な所を
脇
(
わき
)
に作っておくとその方へ行くそうである。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
“脇”の意味
《名詞》
人体及びその関連語。別用字:腋、掖
上記1.から派生する概念。別用字:側、傍
(出典:Wiktionary)
脇
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
“脇”を含む語句
脇差
脇息
脇腹
長脇差
脇士
脇明
脇立
両脇
脇指
脇侍
脇門
門脇
脇役
脇備
脇座
関脇
脇路活栓
小脇
床脇
脇目
...