“かたえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
82.4%
片枝8.1%
2.7%
1.4%
片方1.4%
片笑1.4%
片辺1.4%
片隅1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お杉は消えかかる焚火を前にして、かたえの岩に痩せた身体をせかけたまま、さながら無言のぎょうとでも云いそうな形で晏然じっと坐っていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
眼を病めば起居たちゐをぐらし冬合歓ふゆねむの日ざしあたれる片枝かたえのみ見ゆ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かたえの片岡八郎へ、ふと心配そうに仰せられた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
通りすがりに考えつつ、立離たちはなれた。おもてあっして菜種なたねの花。まばゆい日影が輝くばかり。左手ゆんでがけの緑なのも、向うの山の青いのも、かたえにこの真黄色まっきいろの、わずかかぎりあるを語るに過ぎず。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昨日の夕方、もううす赤くなりかけた夕日のなかを疲れ切って歩いて来ると片方かたえは麦畑になっている、とある路傍に思いがけなく怒濤の打ち上る音を聞いた。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
三五兵衛の方へ黒眼を流して、片笑かたえくぼに笑ってみせた顔が、目に痛いくらい蠱惑こわくだった。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
片辺かたえ引添ひっそい、米は前へ立ってすらすらと入るのを、蔵屋の床几しょうぎに居た両人、島野と義作がこれを差覗さしのぞいて、あわただしくひょいと立って、体と体がれるように並んで、急足いそぎあしにつかつかと出た。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
医師は中将にめくばせして、片隅かたえに退きつ。中将は進みて浪子の手を執り
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)