片枝かたえ)” の例文
いやはなしませぬはなされませぬおまへさまころしては旦那だんなさまへみませぬといふはまさしく勘藏かんざうか、とおたかことばをはらぬうちやみにきらめく白刄しらは電光いなづまアツと一聲ひとこゑ一刹那いつせつなはかなくれぬ連理れんり片枝かたえは。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
眼を病めば起居たちゐをぐらし冬合歓ふゆねむの日ざしあたれる片枝かたえのみ見ゆ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
時しあれば変はらぬ色ににほひけり片枝かたえ折れたる宿の桜も
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
若芽をきざめる片枝かたえがくれ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
むかしおもへばしのぶおかかなしき上野うへの背面うしろ谷中や かのさとにかたばかりの枝折門しをりもんはるたちどまりて御覽ごらんぜよ、片枝かたえさしかきごしの紅梅こうばいいろゆかしとびあがれど、ゆるはかやぶきの軒端のきばばかり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
花ひとつ片枝かたえむる玉蘭はくれんの我が視野にして煙霞はてなし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いま、樹々きぎ片枝かたえあを
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)