“片方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたほう47.4%
かたっぽ12.3%
かた/\10.5%
かたっぽう10.5%
かたはう7.0%
かたかた7.0%
かたえ1.8%
かたつぽ1.8%
かたッぽう1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とおい、とおい、むかしのこと、ある武士ぶしが、このはまでかもめをました。しかし、は、すこしはずれて、片方かたほうつばさきずつけたばかしです。
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あなたの顔こそ面白い。何んですね、何うしたんです、あなたの片方かたっぽの眼はちっとも動かないじゃありませんか。硝子ですか」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と下女が案内して奥へ通し、八畳敷ばかりの茶の間で、片方かた/\に一間の床の間があって脇の所が戸棚になって、唐木の棚があります。
下宿人の靴へ、しかもその片方かたっぽうへ、おかみさんが水をいっぱいぎこんでおこうとは、どうしても考えられない。が、事実は事実だ。
主人しゆじん細君さいくんほかに、筒袖つゝそでそろひの模樣もやう被布ひふをんな二人ふたりかたつてすわつてゐた。片方かたはうは十二三で、片方かたはうとをぐらゐえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「何だ。冗談じょうだんか」と行こうとすると、おろし立ての草履が片方かたかた足を離れて、拭き込んだ廊下を洋灯ランプ部屋の方へ滑って行く。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昨日の夕方、もううす赤くなりかけた夕日のなかを疲れ切って歩いて来ると片方かたえは麦畑になっている、とある路傍に思いがけなく怒濤の打ち上る音を聞いた。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
裏長屋うらながやのあるじとふのが醫學生いがくせいで、内證ないしようあやしみやくつたから、白足袋しろたびもちゐる、その薄汚うすよごれたのが、片方かたつぽしか大男おほをとこのだからわたしあしなんぞふたはひる。細君さいくん内證ないしようで、ひだり穿いた——で仲見世なかみせへ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
片方かたッぽうの奴が『おい、ここに島はねえぜ』といったんで、するとねもう一人の奴が『そうよ、骸骨島と云うのは……』と云いかけたんですがね
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)