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かたつぽ
裏長屋のあるじと
言ふのが
醫學生で、
内證で
怪い
脈を
取つたから、
白足袋を
用ゐる、その
薄汚れたのが、
片方、
然も
大男のだから
私の
足なんぞ
二つ
入る。
細君に
内證で、
左へ
穿いた——で
仲見世へ。
踵の
黒いのを
眞向きに
見せて、一
本ストンと
投出した、……
恰も
可、
他の
人形など
一所に
並んだ、
中に
交つて、
其處に、
木彫にうまごやしを
萌黄で
描いた、
舶來ものの
靴が
片隻。