片方かたはう)” の例文
主人しゆじん細君さいくんほかに、筒袖つゝそでそろひの模樣もやう被布ひふをんな二人ふたりかたつてすわつてゐた。片方かたはうは十二三で、片方かたはうとをぐらゐえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると彼は、先日から片方かたはうの眼を蔽うてゐた暗さがだん/\薄れて行くやうな氣がしてゐたが、今それがはつきりと確かめられたと私に説明した。
ねずみいぶかしげにあいちやんのはうて、そのちひさい片方かたはうまたゝくやうにえましたが、なんともひませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
もともと片方かたはうは暗い二條通に接してゐる街角になつてゐるので、暗いのは當然たうぜんであつたが、その隣家が寺町通りにある家にもかかはらず暗かつたのが瞭然はつきりしない。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
けれどもおやからつたはつた抱一はういつ屏風びやうぶ一方いつぱういて、片方かたはうあたらしいくつおよあたらしい銘仙めいせんならべてかんがへてると、このふたつを交換かうくわんすること如何いかにも突飛とつぴかつ滑稽こつけいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あいちやんは仕方しかたなく片方かたはうひぢもたれ、片方かたはううであたましたいてよこになりましたが、それでも寸々ずん/″\びてつて、一ばんしまひには、あいちやんは片腕かたうでまどそと突出つきだ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)