“片唾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたず85.0%
かたづ15.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
が、一時一時いっときいっときと時の移って行くのも知らないように、見物は皆片唾かたずを飲んで、気長に竜の天上を待ちかまえて居るのでございましょう。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それは敵か味方かと片唾かたずを飲んでいるまもなく、大屋根まで駈けつけた右の男は、いきなり群がる裸虫を片端から突き落しはじめました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一人も答へなかつた。片唾かたづを呑んだやうな教室の沈默は、先生の額の靜脈に注入してくる血液の流れを聞き分けられさうに澄みきつてゐた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
座にあるものは思はず片唾かたづを飮んで、平手打ちでも喰はされたやうに後ろに靡きたぢろいだ。一人として彼女からコップを奪はうとするものはなかつた。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)