“かたづ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
固唾45.2%
22.8%
片附7.1%
片付6.1%
縁付3.0%
嫁付3.0%
片唾3.0%
方付1.5%
方附1.5%
片着1.5%
縁附1.0%
形付1.0%
整理1.0%
堅睡0.5%
嫁入0.5%
嫁附0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お霜は大きく眼を開いて、ゴクリと固唾かたづを呑みました。忠義者には相違ないまでも、お春に比べると、何となく神經のにぶさうな女です。
秘かに想ひを寄せてゐた照子は、勝ち誇つたやうにかたづいてしまつたし——おまけに高を括つてゐた学校は落第してしまつたし、……。
明るく・暗く (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
いほりのなかはさつぱりと片附かたづいてゐました。まんなかに木の卓子テーブルがあつて、椅子いすが四つ並んでゐました。片隅かたすみにベッドがありました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
此家うちでは賓客きやくかへつたあとと見えまして、主人あるじみせ片付かたづけさせて指図さしづいたしてりますところへ、おもてからこゑけますから、主
特殊の薬剤を注入して……ま、そんなことはいずれ明日でも詳しく申し上げるが、……そのワイゲルトという中尉の姉がある貴族のところに縁付かたづいて、独逸のケムニッツ市に住んでいる。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
母は年齡としを取つても長い間落着いてゐられる家がなくつて、苦勞してゐましたのですけど、あたしが村田の家へ嫁付かたづいてからは、此處が一番氣兼ねがなくつていゝと云つて、不斷でも
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
座にあるものは思はず片唾かたづを飮んで、平手打ちでも喰はされたやうに後ろに靡きたぢろいだ。一人として彼女からコップを奪はうとするものはなかつた。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
温健の好人物と云ふ事で、其方そのほうはすぐ方付かたづいて仕舞つた。不幸にしてだれも令嬢の父母を知らなかつた。けれども、物堅ものがたい地味なひとだと云ふ丈は、ちゝ三人さんにんの前で保証した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
綾子刀自が大隈家へ方附かたづかれたのが、初縁でないのであるから、もし、ひょっとそういうことを私の口から口外しては、と遠慮を致したわけでありました。
藤吉とうきちが、あたふたとってしまうと、春信はるのぶ仕方しかたなしにまつろうまえいた下絵したえを、つくえうえ片着かたづけて、かるくしたうちをした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いもうとなんぞはちと腹を立ちまして、粥河さまは男もし人柄もよし、金はあるし、立派な人だから、此家こゝ縁附かたづけば仕合せと思って腹のうちに喜んで居たのに、にいさんはそれだのに遣って呉れないのだよ
猶々なほなほ此のやうのくるしき思を致候いたしさふらふて、惜むに足らぬ命の早く形付かたづ不申まをさざるやうにも候はば、いつそ自害致候てなりと、潔く相果て候が、はるかまし存付ぞんじつさふらへば、万一の場合には、やうの事にも可致いたすべく
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それじゃこうしたらどうだろう。お徳の部屋の戸棚とだなの下を明けて当分ともかく彼処あそこへ炭を入れることにしたら。そしてお徳の所有品ものは中の部屋の戸棚とだな整理かたづけて入れたら」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
咽をカラアにしめられてしきりに堅睡かたづをのむ猪首ゐくびのすわり可笑しく、胸をシヤツ胴衣チヨツキせばめられてコルセツトを着けたるやうに呼吸苦しく、全体さながら糊されし様に鯱張しやちばりかへつて
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
「けれども必竟は本人のために嫁入かたづけるんで、(そう申しちゃ角が立つが、)姉さんや市蔵の便宜べんぎのために、千代子の結婚を無理にくり上げたり、くり延べたりする訳にも行かないものだから」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不沙汰ぶさた見舞に来ていたろう。このばばあは、よそへ嫁附かたづいて今は産んだせがれにかかっているはず。忰というのも、煙管きせるかんざし、同じ事をぎょうとする。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
座敷ざしき張易はりかへんだときにはもう三時過じすぎになつた。さううしてゐるうちには、宗助そうすけかへつてるし、ばん支度したくはじめなくつてはならないので、二人ふたりはこれを一段落いちだんらくとして、のり髮剃かみそりかたづけた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)