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かたづ
ふりがな文庫
“
固唾
(
かたづ
)” の例文
見物も此の場の成行きに
固唾
(
かたづ
)
を
嚥
(
の
)
んで
鳴
(
なり
)
を沈めて居るものゝ、そろ/\舞台に穴があきさうになつて来るので気が気でなくなつて来た
癖
(新字旧仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
お霜は大きく眼を開いて、ゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。忠義者には相違ないまでも、お春に比べると、何となく神經の
鈍
(
にぶ
)
さうな女です。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
愉
(
たの
)
しむためにか? 苦しむためにか? みんな耳を傾けて聞いてゐる。
固唾
(
かたづ
)
をのんだまま。身分のある人びとには、語られてゐることがすつかり分かつた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
台所に顫へてゐる女中を後に残しながら、
固唾
(
かたづ
)
を飲みながら、老人の後から、
随
(
つ
)
いて行つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
と息も
吐
(
つ
)
かずに
饒舌
(
しゃべ
)
るのを、私も
固唾
(
かたづ
)
を呑んで
聞澄
(
ききすま
)
していたが、
其
(
そ
)
の
噺
(
はなし
)
の
了
(
おわ
)
るを
待兼
(
まちか
)
ねて
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
やがて階段を上る父の跫音が聞え、次の間で、千種は
固唾
(
かたづ
)
を呑んだ。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
固唾
(
かたづ
)
を
嚥
(
の
)
みたりし荒尾は思ふところありげに
打頷
(
うちうなづ
)
きて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私たちは
固唾
(
かたづ
)
を呑んで、その続きを待ち構えました。
手術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
茂吉は大きく
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。このむくつけき庭男は、色つぽい後家のお豐に對して、あまり好感は持つて居なかつた樣子です。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
落着き拂つた吾妻屋永左衞門の言葉に、妙な殺氣をカキ立てられて、大井久我之助も、國府彌八郎も、思はず
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八と錦太郎はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。事件のあまりに不思議な展開に、考へることも、異議を
挾
(
さしはさ
)
むことも出來なかつたのです。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
内から何んの反響もなければ、その次はどうしたものか、平次も其處までは考へなかつたらしく、窓を眺めて
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
枯柴の火は大方消えて、壇を取卷く數十の好奇の眼は、なかなか立去りさうもなく、
固唾
(
かたづ
)
を呑んでことの成行を見て居ります。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處には派手なお内儀のお千世を始め、老番頭忠助、書き役又六、甥の傳七郎を始め、小僧、下女まで十幾人、
固唾
(
かたづ
)
を呑んで
控
(
ひか
)
へたのです。
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お杉はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑んで、三白眼を大きく見開きます。肩に肉の付いた、手は
凍傷
(
とうしやう
)
の
痕
(
あと
)
のある、なりふり構はぬ姿です。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は一向こだはりのない調子で、其處に
固唾
(
かたづ
)
を呑む圓陣の顏を一とわたり見やり乍ら、部屋の中に眼を移しました。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
幸七の後ろには、好い男の手代良助、
惡戯
(
いたづら
)
盛りらしい小僧の庄吉などが、不安と焦躁に
固唾
(
かたづ
)
を呑んで控へました。
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八もさすがにゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。お新はもう疊の上に突つぷして、聲をあげて泣いてゐるのです。
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四人は思はず
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。錢形平次の説明は、あまりに適切で、一言半句の異論を挾む餘地もありません。
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八疊の質素な部屋に、首を
鳩
(
あつ
)
めるやうに並んだ六人は、何を切出すかわからぬ、錢形平次の話に
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。
銭形平次捕物控:172 神隠し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それを取り卷いて、お照、お豊、お光、それに奉公人達、
固唾
(
かたづ
)
を呑んで、平次のやりやうを眺めて居るのでした。
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さすがの平次も、受け答へも出來ないほど、人の憎しみの恐ろしさに、
固唾
(
かたづ
)
を呑んで次の言葉を待つばかりです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
若旦那丹三郎は、重い口でよく話しますが、その時のことを思ひ出したか、暫らく絶句して
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
話の重大さに、聽く方がツイ
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。お關の濱路は、何んの作意もなく靜かな調子で續けます。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お紋は
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。剃り落した青い眉がひそんで、酢つぱいやうな口許が、馬鹿に仇つぽく見えます。
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その後ろから間の惡さうに跟いて來るガラツ八、家中の者はこの騷ぎに驚いて飛び起きたか、とり/″\の
變梃
(
へんてこ
)
な樣子で、三人を遠卷にして
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆々
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。焔の叫びの中に、若旦那丹三郎の聲が肺腑を絞つて、凛々と響くのです。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兼松はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。恐ろしい幻滅に直面して、暫くは分別を
纒
(
まと
)
め兼ねた樣子です。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見物の衆は
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。いよ/\番頭殺しの曲者が正體を現はす段取りになつた樣子です。
銭形平次捕物控:229 蔵の中の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八の八五郎さすがに
膽
(
きも
)
を潰したものか、
固唾
(
かたづ
)
が喉に引つ掛つて、二度に感嘆しました。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お春はその時の驚きを思ひ出したらしく、大きく
固唾
(
かたづ
)
を呑んで、自分の胸を押へるのでした。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑んで、平次を見上げた顏は、痛々しくも泣き出しさうに緊張して居ります。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
固唾
(
かたづ
)
を呑む人々の前へ、
鞘
(
さや
)
も
柄
(
え
)
もない、小型の
匕首
(
あひくち
)
が一と
口
(
ふり
)
、妙に薄曇つて物凄く光ります。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時のお君の死を見た驚きを思ひ出したのか、心持顏が
蔭
(
かげ
)
つて、ゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四ツ谷の與吉はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。口こそ達者だが、精々二十七、八の與吉は、さり氣ない調子では、市ヶ谷中に響いた、菊屋の妾お袖の噂は出來なかつたのでせう。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翁屋の店中の者は月の光の中にひと塊りになつて、平次の論理の發展に
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。
銭形平次捕物控:128 月の隈
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お吉は餘りの
物凄
(
ものすさ
)
まじい光景を思ひ出したものか、
固唾
(
かたづ
)
を呑んで絶句してしまひました。
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
泌々
(
しみ/″\
)
とした調子に引入れられるともなく、平次も思はず
固唾
(
かたづ
)
を呑んで
鋭鋒
(
えいほう
)
をゆるめます。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
清左衞門はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。目は血走つて、唇を破れるほど噛んで居ります。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
湯島の
崖
(
がけ
)
を背負つて、大きな敷地に建つた山崎屋の裕福な家の中が、ワクワクするやうな緊張を
孕
(
はら
)
み、集つた親類縁者近所の衆が、ガラツ八の八五郎を迎へて、
固唾
(
かたづ
)
を呑むのです。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時のことを思ひ出したらしく、お玉は美しい顏を
硬
(
こは
)
ばらせて、
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:279 持参千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
專次はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。救はれた喜びに、少しボーツとした樣子です。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お常は
漸
(
ようや
)
く正氣に還つたらしく、改めて一座の顏を見廻しました。其處には兄嫁のお角と下女のお六と、姪のお紋と、そして御用聞の八五郎が
固唾
(
かたづ
)
を呑んで控へてゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
離屋の死骸の前には家中の者が、
固唾
(
かたづ
)
を呑んで『次の事件』を待つて居ります。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此時はもう二階で石順の手當が始まり、伜久太郎夫婦が死骸の世話をして居りますが、殘る人達は廊下から廻つて夜の庭へ出ると、錢形平次と八五郎を取卷いて、
固唾
(
かたづ
)
を呑んで居ります。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お竹はその時の恐ろしい有樣を思ひ出したらしく、大きく
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後の半分ほどは口の中で
呟
(
つぶや
)
くだけで、最後の一句でゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お萬はその時の凄まじい光景を思ひ出したらしく、ゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みます。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金之助はその時の凄まじさを思ひ出したらしく、ゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時の不氣味さを思ひ出したか、榮之助は言ひかけて
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“固唾”の意味
《名詞》
極度に緊張したときなどに思わず口の中に溜まる唾。
(出典:Wiktionary)
固
常用漢字
小4
部首:⼞
8画
唾
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
“固”で始まる語句
固
固陋
固執
固有
固有名
固着
固肥
固練
固辞
固粥