片付かたづ)” の例文
えゝ、すつかり片付かたづけちまいました。其代り、うもほねが折れましたぜ。なにしろ、我々の引越ひつこしちがつて、大きな物が色々いろ/\あるんだから。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此家うちでは賓客きやくかへつたあとと見えまして、主人あるじみせ片付かたづけさせて指図さしづいたしてりますところへ、おもてからこゑけますから、主
それを以てドレゴの卒倒事件は片付かたづいた。彼は、大きな酔いが廻って来たところで不自然な緊張を我身に強いたのがよくなかったに違いない。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
正月しやうぐわつのおかざりを片付かたづける時分じぶんには、村中むらぢう門松かどまつ注連繩しめなはなどをむらのはづれへつてつて、一しよにしてきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こんどのいくさまえときおとらず随分ずいぶんくるしい戦争せんそうでしたけれど、三ねんめにはすっかり片付かたづいてしまって、義家よしいえはまたひさりでみやこかえることになりました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かれさらふる油紙あぶらがみつゝんで片付かたづけていて、おしな死體したい棺桶くわんをけれられたときかれはそつとおしなふところいだかせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『それよりいそ新客しんきやく部室へや仕度したくをせよ、部室へや二階にかい第二號室だいにがうしつ——讀書室どくしよしつ片付かたづけて——。』と。
(おみち何でぁその年してでわらすみだぃに。ぎろったら。起ぎで片付かたづげろったら。)
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
やがてあいちやんは整然きちん片付かたづいたちひさな部屋へやきました、まどうちには洋卓テーブルもあり、其上そのうへには(あいちやんののぞどほり)一ぽん扇子せんすと二三のちひさなしろ山羊仔皮キツド手套てぶくろとがつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は奥さんの態度をどっちかに片付かたづけてもらいたかったのです。頭の働きからいえば、それが明らかな矛盾に違いなかったのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つきかはつてからさむさが大分だいぶゆるんだ。官吏くわんり増俸ぞうほう問題もんだいにつれて必然ひつぜんおこるべく、多數たすううはさのぼつた局員きよくゐん課員くわゐん淘汰たうたも、月末げつまつまでほゞ片付かたづいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎は美禰子の態度をもとの様な、——二人ふたりあたまうへひろがつてゐる、澄むとも濁るとも片付かたづかないそらの様な、——意味のあるものにしたかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あにつたあと、代助はしばらくして元の儘じつと動かずにゐた。門野かどのが茶器を取り片付かたづけにた時、急にがつて
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
中々片付かたづかない。三四郎が聞いて見ると、よし子が病院の看護婦の所へ、序だから、一寸礼に行つてくるんだと云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まだですわ。だつて、片付かたづく訳がいぢやありませんか」と云つた儘、みはつてじつと代助を見てゐた。代助はれた小切手を取りげて二つにひらいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ見付出みつけだしたいへからがさび土塀どべい二方にはうめぐらして、すで古風こふう片付かたづいてゐた。宗助そうすけ安井やすゐから、其所そこ主人しゆじんはもと加茂神社かもじんじや神官しんくわん一人ひとりであつたとはなしいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
元来汽車のうちで読む了見もないものを、大きな行李に入れそくなつたから、片付かたづける序に提革鞄さげかばんの底へ、ほかの二三冊と一所に放り込んで置いたのが、運悪うんわるく当選したのである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小六ころく其時そのとき不圖ふとあに先年せんねんちゝ葬式さうしきとき出京しゆつきやうして、萬事ばんじ片付かたづけたあと廣島ひろしまかへるとき、小六ころくに、御前おまへ學資がくし叔父をぢさんにあづけてあるからとつたことがあるのをおもして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)