“猪首”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いくび90.2%
いのくび2.4%
ししくび2.4%
しゝくび2.4%
ゐくび2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
引捻ひんねじれた四角な口を、額までかつと開けて、猪首いくび附元つけもとまですくめる、と見ると、仰状のけざま大欠伸おおあくび。余り度外どはずれなのに、自分から吃驚びっくりして
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まして相手は初めから喧嘩を売り掛けて来たのである。受身になることが大嫌いの播磨は、もう果しまなこで柄頭に手をかけると、しゅうを見習う家来の奴共も生れつきの猪首いのくびをのけぞらして呶鳴どなった。
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
猪首ししくびで猫背で、丸まっちい、子供のような顔をしたこの小男の石亭先生が、泥棒に尻を押されて、露台の窓から、不器用な恰好で這い込んでゆくようすときたら! 劇的ドラマチックとでも言いましょうか
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「なんぢ、無躾なる地下鉄メトロの穴掘人夫。ふん、麑下げいかの足もとに穴をあけた猪首しゝくびの半逆者め。太陽を睨んでみろ。かつ!」
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
咽をカラアにしめられてしきりに堅睡かたづをのむ猪首ゐくびのすわり可笑しく、胸をシヤツ胴衣チヨツキせばめられてコルセツトを着けたるやうに呼吸苦しく、全体さながら糊されし様に鯱張しやちばりかへつて
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)