嫁付かたづ)” の例文
実はわたくしは三年跡粥河圖書方へ余儀ない縁合えんあい嫁付かたづきまして何不足ない身の上で、昨年九月あたりから、夫は鎌倉道の竹ヶ崎の南山と申す所へ田地と山を買い
母は年齡としを取つても長い間落着いてゐられる家がなくつて、苦勞してゐましたのですけど、あたしが村田の家へ嫁付かたづいてからは、此處が一番氣兼ねがなくつていゝと云つて、不斷でも
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
今にキット良い処へ嫁付かたづけて遣るって仰言って、着物なんか幾つも頂戴いただいて参りましたの。今、平常ふだんに着ておりますのも奥さんのお若い時のを、派手になったからって下すったのですわ
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何でもい、本当ねわし此方こっちゃへ奉公に来た時始めておめえさんのお姿を見て、あゝおつこしい女中しゅだと思えました、斯ういうおつこしい人は何家どけ嫁付かたづいてくか
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
誠にうなれア浮びます助かりますとよろこんだじゃアなえか、それに又旦那様ア斬殺きりころされたというのも、はええ話が一角という奴がおめえに惚れていたのを此方こっち嫁付かたづいたから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は其のほうへ引取られて参るより他に仕方のない身の上でございますが、うッから嫁付かたづけ/\再縁しろと申しまして、兄が申すには官員はいやだから遣らない、商人あきんどが一番いが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
人の前で碌に口もきかれない人間だが、行々ゆく/\お前をい処へ嫁付かたづけてやると仰しゃったというから、私はそれをたのしんで居りましたが、何ういうわけで林藏殿と悪い事をすると云うは……のう忠平
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何にしても何処こゝに居ては事面倒だから、至急前橋か高崎までさがるが、貴公此の女を見捨てずに生涯女房にして遣んなさい……またお前も治平殿方へ嫁付かたづいたら、もう斯様こんな浮気をちゃアならんぜ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自分も好きな所から能役者となりたいと、何うやら斯うやら今では能役者でやってるそうだ、これは祖五郎の姉だ、器量もいがお屋敷へ帰るまでは何処どこへも嫁付かたづくことはいやだと、皷を打ったり
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)