片方かた/\)” の例文
と下女が案内して奥へ通し、八畳敷ばかりの茶の間で、片方かた/\に一間の床の間があって脇の所が戸棚になって、唐木の棚があります。
有「旦那さま、誠に恐入りますが、片方かた/\に杖を突いても、此方こっちの腰が何分ちませんから、左の手をお持ちなすって」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
成程来て見ると茂左衞門の云った通り入口が門形もんがたちに成りまして、竹の打付ぶッつけ開戸ひらきど片方かた/\明いて居て、其処そこ按腹揉療治あんぷくもみりょうじという標札が打ってございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
片方かた/\は坊主馴れて出家らしく口もきく此処に足掛三年の間居りますから、誰有って知る者はございません。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうもられません、夜半よなかそっと起きて便所ようばへまいり、三尺のひらきを開けて手を洗いながら庭を見ると、生垣いけがきになっている外は片方かた/\は畠で片方は一杯の草原くさはら
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
西塚村で孝女お蘭が災難にいます処へ、通り掛った粥河圖書が、悪武士わるざむらいを取って投げまする、片方かた/\はなか/\きかん奴で、大胆不敵の奴で長い刀を引抜いて切って掛る
と云ううちに山之助はう目もうとく成りますから、片方かた/\に山平の手を握り片方はお繼の手を握って、其の儘山之助は呼吸は絶えましたから、お繼も文吉も声をげて泣倒れましたが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
端折はしおりを高くして小長こながい大小を落し差しにしてつか/\と来て物をもいわず花車の片方かた/\の手を一人が押える、一人は前から胸倉を押えた、一人は背後うしろから羽交責はがいぜめに組付こうとしたが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なお追掛けて出ると、は如何に、拙者がばかされていたのじゃ、茅屋あばらやがあったと思う処が、矢張やっぱり野原で、片方かた/\はどうどうと渓間たにまに水の流れる音が聞え、片方は恐ろしい巌石がんせき峨々がゞたる山にして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
片方かた/\は山手になって右と左に切れる道があって、こゝに石が建てゝある。
うかしておたけめて片方かた/\でもいから明けてくんなよ。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
親父おやじが長々の眼病で居りまして、お医者様にもて貰いましたが、とても療治は届かないと申されましたから、めて片方かた/\だけでも見えるように致したいと思って御無理な願いを天神様へ致しました
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新五郎は無暗むやみに親切を尽しても、片方かた/\ろくに口もききません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)