他家わき)” の例文
お前さんはお堅いけれ共三十金は容易たやすい金じゃアない、殊に暮ゆえ百金にも向うじゃアないか、此のきんを取ってお嬢さんを他家わきの妾にしなさればお前さんの為めになる
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五年以来おっとだと思い込んでいた人から、特別の理由もないのに、急に断わられて、平気ですぐ他家わきへ嫁に行くような女があるものか。あるかも知れないが小夜はそんな軽薄な女じゃない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
油断をしねえがうがすとちょっと知らせればそれでえだ、然うすればぐにお嬢様を他家わきへ預けるとか、もなければお内儀様が気イ附けて奉公人も皆起きてらば
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
内儀「そんな事はいよ、江戸ゆきの時に取りにるから……お前財布があるまい、お金も丁度他家わきから来たのがあるから財布ぐるみ百両貸して上げるよ、さア持っておいで」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
道具を運んでしまって、他家わきへ預けて身代限りを出して仕舞え、そうすりアあとの様にも身代が出来ると云ってくれたお人も有りましたが、得心づくで借りた借財、何うしてあなた
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたくしの母は他に子と申すがありませんから、他家わきへ嫁にまいる身の上ではございません、貴方は衆人ひとに殿様と云われる立派なお身の上でおいで遊ばすのに、私のようなはしたない者を貴方此様こんな不釣合で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)