他所わき)” の例文
「然うでございます。駿河半紙も名産でございます。この辺ではその駿河半紙のことを半紙といって他所わきの半紙のことを倉半紙くらはんしといいます」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
斯様かような始末ですからお竹は翌朝よくあさ立つことが出来ません、既に頼んで置いた舁夫かごかきも何も断って、荷物も他所わきへ隠してしまいました。主人の五平は
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「じゃ、己はこれから、一寸他所わきへ廻るから、間違のない様に来てくれ」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「恐れ入ります。しかしこれだけ水嵩みずかさのある川が見る/\目の前で湧き上るのです。とても他所わきには類がないと言って誰でも不思議がります」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
まアいわ…さて貴方は何ういう訳でわたくしの金入を其の包の中へ入れて、是は他所わき購求かいもとめたなどと、武士さむらいが人を欺きじつもっしからん事だ、さア何ういう訳で貴方の物になすったか
「ぢや、おれはこれから、一寸ちよつと他所わきまはるから、間違まちがひのない様にてくれ」と相変らず多忙に見えた。代助はもう度胸を据ゑたから、うでも構はないといふ気で、先方に都合のい返事を与へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はしりは一粒五銭から七八銭という相場ですから、貰いでもしなければとても此方の口へは入りません。他所わきの品物をこの土地で預かっているようなものです」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)