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わき
ふりがな文庫
“
側
(
わき
)” の例文
叔父の家は広い植木屋の地内で、
金目垣
(
かなめがき
)
一つ隔てて、
直
(
じか
)
にその道路へ接したような位置にある。垣根の
側
(
わき
)
には、細い乾いた
溝
(
みぞ
)
がある。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
荒い格子に瓦家根、右の方は板流し! 程よい所に石の井戸、そうかと思うと格子の
側
(
わき
)
に朝熊万金丹取次所と金看板がかかっている。
善悪両面鼠小僧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鳥居の台石へ腰をかけた竜之助、
体
(
たい
)
を横にして、やや
折敷
(
おりし
)
きの形にすると、鳥居
側
(
わき
)
を流れて石畳の上へのめって起き上れなかった男。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
唯
(
たつた
)
一輛残つてゐた俥の持主は五年前に死んで曳く人なく、
轅
(
かじ
)
の折れた其俥は、遂この頃まで
其家
(
そこ
)
の裏井戸の
側
(
わき
)
で見懸けられたものだ。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
折角
(
せっかく
)
命懸けで頂戴した品物をよ。
仮令
(
たとい
)
蜜柑の中へ押込んだとしてもよ。誰に拾われるか分りもしねえ線路の
側
(
わき
)
なぞへ抛られるものかね。
指環
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
自分は仕方なしに東京の番地と嫂の名を書いて、わざと
傍
(
そば
)
に一郎
妻
(
さい
)
と
認
(
したた
)
めた。同様の意味で自分の
側
(
わき
)
にも一郎
弟
(
おとと
)
とわざわざ断った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いいえ。……それには違いありませんが、今では、西塔の堂衆で、朱王房という悪魔です。その
側
(
わき
)
に立っている高札をごらんなさい」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こは彼等海に浮ぶをえざるによる、すなはち之に代へてひとりは
新
(
あらた
)
に船を造り、ひとりはあまたの旅をかさねし船の
側
(
わき
)
を塞ぎ 一〇—一二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
検校はだしぬけに鼻でも
抓
(
つま
)
まれたやうに、顔中をくしやくしやさせた。そして富尾木氏の
側
(
わき
)
に坐つた相客の方へ首を
捻
(
ね
)
ぢ向けた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
例
(
れい
)
の
御神鏡
(
みかがみ
)
がいつの
間
(
ま
)
にか
据
(
す
)
えられて
居
(
お
)
り、そしてその
側
(
わき
)
には、
私
(
わたくし
)
の
母
(
はは
)
の
形見
(
かたみ
)
の、あのなつかしい
懐剣
(
かいけん
)
までもきちんと
載
(
の
)
せられてありました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
貫一も彼の
主
(
あるじ
)
もこの家に公然の
出入
(
でいり
)
を
憚
(
はばか
)
る身なれば、玄関
側
(
わき
)
なる
格子口
(
こうしぐち
)
より
訪
(
おとづ
)
るるを常とせり。彼は戸口に立寄りけるに、鰐淵の
履物
(
はきもの
)
は在らず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お庄は落ち着かないような心持で、勝手口の
側
(
わき
)
の鉄の棒の
嵌
(
はま
)
った出窓に
凭
(
もた
)
れて路次のうちを眺めていた。するうちに外はだんだん暗くなって来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
が、玄関からすぐに階段、右手が八畳の座敷、それと反対に、左手の台所へ通ずる廊下
側
(
わき
)
の、四畳半の女中部屋だけが、何だか薄暗くて陰気だった。
白血球
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこで
木樵
(
きこり
)
はすぐ白犬と
斑犬
(
ぶちいぬ
)
とを、両方の
側
(
わき
)
にかかえたまま、黒犬の背中に跨って、大きな声でこう云いつけました。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は、父が
側
(
わき
)
腹を刺され、首を半分斬り落されて倒れている姿を見ました時、たとい一命は捨てても、敵に一太刀報いたいと決心したのでございます。
仇討禁止令
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
相島は
側
(
わき
)
にあつた籃を引寄せて、其の中から皮の色の見事に紅い林檎を選んで、器用に皮をむいて口に入れるとさく/\と渇いた人の樣に噛んで居たが
半日
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
離室
(
はなれ
)
の床の
側
(
わき
)
に飾って、間がな隙がな、其処へ入り込んでは、飽くことも知らず人形と
戯
(
たわむ
)
れて居るのです。
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
何
(
なん
)
でごぜえます、王子の在にお
寮
(
りょう
)
があるので、その
庵室
(
あんしつ
)
見たような所の
側
(
わき
)
の、
些
(
ちっ
)
とばかりの地面へ
家
(
うち
)
を建てゝ、楽に暮していた風流の隠居さんが有りまして
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
解ってはいるけど、わざと戯れの様に聞きなして、振りかえって見ると、民子は真に考え込んでいる様であったが、僕と顔合せて極りわるげににわかに
側
(
わき
)
を向いた。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その
側
(
わき
)
に、私の手さげの鞄が風呂敷包と一緒にさびしく調和せずに置かれてあるのを私は目にした。
北京の一夜
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
というので、私も好奇心につられて、
直
(
すぐ
)
に行ってみると、それは花園橋
側
(
わき
)
の材木置場のすぐ
傍
(
そば
)
にある、
一寸
(
ちょっと
)
太い
柏
(
かしわ
)
の木なので、
蔓下
(
つるさが
)
ってるのは五十ばかりの老人であった。
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
こりゃドウも
困
(
こまっ
)
たことが出来た、
迚
(
とて
)
も鉄砲洲までは行かれないと思うと、和泉橋の
側
(
わき
)
に辻
駕籠
(
かご
)
が居たから、その駕籠屋に鉄砲洲まで幾らで行くかと聞たら、三
朱
(
しゅ
)
だと云う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
くせ直しのきれ丁寧にたたんではいっている。その
側
(
わき
)
に二三本のけすじたてに。びんぐしが横たわりてあれども。あたりはさすがに秩序整いて。取りちらしたるものもなし。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
青空色の翅を持つた美しいじやのめてふは、初めは見すぼらしい、毛深い、毛虫であつたし、美しいあげはのてふは黒い横縞の通つた、
側
(
わき
)
に赤い斑のある青虫であつたのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
文字
(
もじ
)
はやがて
耳
(
みゝ
)
の
側
(
わき
)
に
恐
(
おそ
)
ろしき
聲
(
こゑ
)
もて
咡
(
さゝや
)
くぞかし、
一通
(
いつゝう
)
は
手
(
て
)
もとふるへて
卷收
(
まきをさ
)
めぬ、
二通
(
につう
)
も
同
(
おな
)
じく
三通
(
さんつう
)
四通
(
しつう
)
五六通
(
ごろくつう
)
よりは
少
(
すこ
)
し
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
かはりて
見
(
み
)
えしが、
八
(
はつ
)
、
九
(
く
)
、
十通
(
じつゝう
)
、
十二通
(
じふにつう
)
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
高い鼻のかげで頬のうえに奇妙な
翳
(
かげ
)
をつくり、顔はびっくりするほど小さくなって、透きとおるような蒼白い手が、にぎる力もないように、ぐったりと
側
(
わき
)
に垂れさがっていた。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
荒物屋の中から、顔を赤くした百姓が飛び出して来て、牝馬を
側
(
わき
)
の方へ引張って行った。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
三等客は皆
甲板
(
かふばん
)
に載せられるので
誰
(
たれ
)
も手荷物を
側
(
わき
)
に置いて海を眺め
乍
(
なが
)
ら腰を掛けた。船員や
乗客
(
じようかく
)
の間に英語が交換されるので、外国語を知らぬ自分にも
俄
(
にはか
)
に言葉の調子が耳
立
(
だ
)
つ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
女は夜具の
側
(
わき
)
にぬぎ捨てた旅館の浴衣を身にまとひながら、障子をあけて廊下へ出た。
男ごゝろ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
微かにつぶやきながら、一、二度
痙縮
(
けいしゅく
)
しました。そして片一方の腕をだらりと
卓子
(
テーブル
)
に垂れ、呼吸はだんだん平らになって、顔色はしだいに蒼ざめ、鼻の
側
(
わき
)
に青筋が現われて来ました。
麻酔剤
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
こう云って、父は、
露出
(
むきだ
)
しにしてある手を挙げて
卓
(
テーブル
)
の
側
(
わき
)
の一つの椅子を指差した。そのようすは年に似合わずいかにも元気に見なされた。老医師はあらかじめ自分でそれと知っていた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
第五号教室のピヤノの
側
(
わき
)
に人待ち顔なる
大丸髷
(
おほまるまげ
)
の若き婦人は、外務書記官菅原道時の妻君銀子なり、扉しとやかに開かれて現はれたる美しき姿を見るより早く、嬉しげに立ち上がりつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
が、今度の幽霊はどの帷幄を引き寄せて這入って来るだろうかと、それが気になり出すと、どうも気味悪い寒さを背中に覚えたので、彼は自分の手でそれ等の窓掛を残らず
側
(
わき
)
へ片寄せた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
名指
(
なざし
)
にせしが此度も又
大膳
(
だいぜん
)
に
對面
(
たいめん
)
なさんか
否々
(
いや/\
)
若し山内伊賀亮が
側
(
わき
)
より聞て
悟
(
さと
)
らば一大事なり
然
(
さら
)
ば此度は伊賀亮を
名指
(
なざし
)
にて
渠
(
かれ
)
に對面して
欺
(
あざむ
)
き
課
(
おほ
)
せん者をと
工夫
(
くふう
)
を
凝
(
こら
)
し
頓
(
やが
)
て八山の
旅館
(
りよくわん
)
に到り案内を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そうして誰だ! と一声叫びながら、
紙幣束
(
さつたば
)
をとり返そうとして手をのばす。夢中になって森木は
側
(
わき
)
にあったピストルをとるより早く、のしかかるように子爵の頭部に銃口を押つけて一発放った。
正義
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
お光は今迄にもまして
人中
(
ひとなか
)
に出るを厭がり、男などが
戯言
(
ざれごと
)
云いかけても、ふいと
側
(
わき
)
を向いてしまう。其のかわり
両親
(
ふたおや
)
には今迄にもまして孝行をする。口数はきかないが、それはそれは
細
(
こまか
)
に心をつける。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
寝台の
側
(
わき
)
には、三稜の立鏡台があり、洗滌器や、壁にはいろいろな酒を入れた、
護謨製用具
(
カポー・タングレー
)
がいくつとなく吊してある。窓は、内側からかたく鎖されていて、
扉
(
と
)
は押しても引いても開こうとはしない。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
泉原は死骸の
側
(
わき
)
につきゝって、
何呉
(
なにくれ
)
となく世話をやいた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「ここはキングス・パイランド調馬場のすぐ
側
(
わき
)
です」
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
まるで頭の
側
(
わき
)
を何かが
掠
(
かす
)
って行くような音である。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
しか陳ずればグローコス、背かず絶えて
側
(
わき
)
向かず
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
これは
代田
(
だいだ
)
街道
(
かいどう
)
側
(
わき
)
の墓地に葬られました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
岸本が毎日食堂で見る
顔触
(
かおぶれ
)
は、産科病院
側
(
わき
)
の旅館から通って来る柳博士に隣室の高瀬の二人で、若い
独逸
(
ドイツ
)
人の客は
最早
(
もう
)
見えなかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
駕籠
側
(
わき
)
に二人の武士がいる。そうして駕籠の
背後
(
うしろ
)
からはさも重そうに荷を着けた二頭の馬が
従
(
つ
)
いて来る。遠い旅へでも出るらしい。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
向うの方に大きな
竹籃
(
たけかご
)
のようなものが二つ三つ浮いていたので、蛸ばかりで
淋
(
さむ
)
しいと思った叔父は、船をその一つの
側
(
わき
)
へ
漕
(
こ
)
ぎ寄せさした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
型の通りな鯨幕が一文字に張ってある
側
(
わき
)
には、
小屋主
(
こやぬし
)
の楽屋らしい
蓆囲
(
むしろがこ
)
いが見え、その前には一本の棒杭を打って、新木の尺板に墨黒々と
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
修行時代
(
しゅぎょうじだい
)
には
指導役
(
しどうやく
)
の
御爺
(
おじい
)
さんが
側
(
わき
)
から一々
面倒
(
めんどう
)
を
見
(
み
)
てくださいましたから
楽
(
らく
)
でございましたが、だんだんそうばかりも
行
(
ゆ
)
かなくなりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そっと
側
(
わき
)
に置き、その女文字の一通を読んでみると、それはお松からの手紙でありましたから、兵馬も我を忘れて読まないわけにはゆきません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
来客の後と見えて、支那焼の大きな菓子鉢に、マスマローと何やらが
堆
(
うずた
)
かく盛つて、煙草盆の
側
(
わき
)
にあるのが目に附く。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そこへ突然鳴り出したのはベツドの
側
(
わき
)
にある電話だつた。僕は驚いて立ち上り、受話器を耳へやつて返事をした。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
側
常用漢字
小4
部首:⼈
11画
“側”を含む語句
両側
側面
向側
片側
舷側
内側
此方側
右側
縁側
左側
外側
片側町
二側
入側
窓側
井戸側
側目
兩側
側室
一側
...