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卷收
文字はやがて
耳の
側に
恐ろしき
聲もて
咡くぞかし、
一通は
手もとふるへて
卷收めぬ、
二通も
同じく
三通四通五六通よりは
少し
顏の
色かはりて
見えしが、
八、
九、
十通、
十二通
夕暮の
店先に
郵便脚夫が
投込んで
行きし
女文字の
書状一通、
炬燵の
間の
洋燈のかげに
讀んで、くる/\と
帶の
間へ
卷收むれば
起居に
心の
配られて
物案じなる
事一通りならず、おのづと
色に
見えて