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卷込
泡立つ
波、
逆卷く
潮、
一時は
狂瀾千尋の
底に
卷込まれたが、
稍暫して
再び
海面に
浮上つた
時は
黒暗々たる
波上には六千四百
噸の
弦月丸は
影も
形もなく
若しや
哀れな勞働者は其の唄の
終らぬ
中、
惡魔のやうな機械の
運轉の
渦中に
身躰を
卷込まれて、唄の
文句の其の
通り、
長くもない
生涯の
終を
告げたのではあるまいか。
袖で
雪洞の
灯をぴつたり
伏せたが、フツと
消えるや、よろ/\として、
崩折れる
状に、
縁側へ、
退りかゝるのを、
空なぐれに
煽つた
簾が、ばたりと
音して、
卷込むが
如く
姿を
掻消す。