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卷込
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まきこ
泡立つ
波、
逆卷く
潮、
一時は
狂瀾千尋の
底に
卷込まれたが、
稍暫して
再び
海面に
浮上つた
時は
黒暗々たる
波上には六千四百
噸の
弦月丸は
影も
形もなく
若しや
哀れな勞働者は其の唄の
終らぬ
中、
惡魔のやうな機械の
運轉の
渦中に
身躰を
卷込まれて、唄の
文句の其の
通り、
長くもない
生涯の
終を
告げたのではあるまいか。
袖で
雪洞の
灯をぴつたり
伏せたが、フツと
消えるや、よろ/\として、
崩折れる
状に、
縁側へ、
退りかゝるのを、
空なぐれに
煽つた
簾が、ばたりと
音して、
卷込むが
如く
姿を
掻消す。
領主
其曲事ゆゑに、
即刻追放を
申附くる。
汝等の
偏執に
予等までも
卷込まれ、
其粗暴の
鬪諍によって
我血族の
血汐を
流した。わが
此不幸を
汝等にも
悔ます
爲、きびしい
科料を
課さうずるわ。
とくる/\と
𢌞るのです。
𢌞りながら
輪を
卷いて、
卷き/\
卷込めると
見ると、
忽ち
凄じい
渦に
成つて、ひゆうと
鳴りながら、
舞上つて
飛んで
行く。……
行くと
否や、
續いて
背後から
卷いて
來ます。