和気わき)” の例文
晩餐ばんさん和気わきあいあいのうちにおわった。モコウが気をきかして食前にくばったぶどう酒の一杯が、一同のほおをあかくそめた。心はうきうきと楽しい。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
秀吉のこのことばは、殺伐さつばつなる列のなかへ、かえって、一場の和気わきと、笑いとを、かもし出し、やがて
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すっきりと心持よくこっちのひとみに映る顔ではない。その上娘に対しての物の云い方が和気わきを欠いている。歯がかなくって、もごもごしているくせに何となく調子の荒いところが見える。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
獄中常におのずからの春ありて、靄然あいぜんたる和気わきの立ちめし翌年四、五月の頃と覚ゆ、ある日看守は例の如く監倉かんそうかぎを鳴らして来り、それ新入しんにゅうがあるぞといいつつ、一人の垢染あかじみたる二十五
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)