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他家
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よそ
ふりがな文庫
“
他家
(
よそ
)” の例文
凡
(
すべ
)
て
富豪
(
かねもち
)
といふものは、自分の
家
(
うち
)
に転がつてゐる
塵
(
ちり
)
つ
葉
(
ぱ
)
一つでも
他家
(
よそ
)
には無いものだと思ふと、それで大抵の病気は
癒
(
なほ
)
るものなのだ。
青磁の皿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして、お祖母さんの方は
他家
(
よそ
)
に雇われてゆき、子供の方は、父の
従兄
(
いとこ
)
と恋人と一緒になってる家へ、引取られて世話されてるんだ。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
と多勢が首を傾けたからさては踏みあがってくるかな? と見ていると、それでは
他家
(
よそ
)
だったかも知れないと一同急いで出て行った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「悴は嫁をもらってるのに、やっぱり年よりに世話をかける、
他家
(
よそ
)
では、嫁が姑に仕えるが、
我家
(
うち
)
では、姑が嫁に仕えるのだから」
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
拙
(
つま
)
らないものがあるのよ。一寸鉄瓶のお湯を見て頂戴。懐中汁粉を
他家
(
よそ
)
から貰つたから。——坊ちやんには何を上げようね。」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
▼ もっと見る
どうせこの家の主婦として運命付けられた以上、
他家
(
よそ
)
の嫁じゃないという気になって再び立上る勇気も出て来るのであります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お重お前は
逆
(
のぼ
)
せているよ。お前がおれの妹で、嫂さんが
他家
(
よそ
)
から嫁に来た女だぐらいは、お前に教わらないでも知ってるさ」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
正
(
しょう
)
ちゃんの、
飼
(
か
)
っている
黒犬
(
くろいぬ
)
が、このごろから
他家
(
よそ
)
の
鶏
(
にわとり
)
を
捕
(
と
)
ったり、うきぎを
捕
(
と
)
ったりして、みんなから
悪
(
にく
)
まれていました。
僕がかわいがるから
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
上の娘二人は、もう成人して
他家
(
よそ
)
へ片付いていた。誰もが微笑で眺めていた程の、非常な子煩悩で、家庭を大事にする、好き良人でもあった。
双面獣
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
之
(
こ
)
れ位の事理の分らない父ではない。が、兄が突然家出して、さなきだに淋しい今、自分を手離して、
他家
(
よそ
)
へやるだらうか。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
伝平は父親の眼を
偸
(
ぬす
)
むようにして、
他家
(
よそ
)
の飼い馬の、飼料を採って来てやったり、河へその脚を
冷
(
ひ
)
やしに曳いて行ってやったりするのであった。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
……あたし……
他家
(
よそ
)
のお
家庭
(
うち
)
の秘密なんか
無暗
(
むやみ
)
に喋舌る女じゃないのに……妾をドコまでもペシャンコのルンペンにして
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夏の夜はその入口に
筵
(
むしろ
)
を
吊
(
つ
)
って戸代りにしたが、冬はさすがに余りに寒いので
他家
(
よそ
)
から戸板を二枚
貰
(
もら
)
って来て入口に押しつけて
縄
(
なわ
)
で
縛
(
しば
)
りつけた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
あすこから、風が吹込んで、障子の破れから
霰
(
あられ
)
が飛込む、畳のけばが、枯尾花のように吹かれるのがお定りだったがな、まるで
他家
(
よそ
)
へ行ったようだ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで兄の徳市は十五歳位になっていたので、町の商店へ奉公に出し、やっと十歳の兵さんは、
他家
(
よそ
)
へも出せないので、私の
家
(
うち
)
へ居付くこととなった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
こんな
風
(
ふう
)
におばあさんはよく私を連れて
他家
(
よそ
)
へいった。私が本を読みたがると、
何処
(
どこ
)
からか聞きだしてきてくれて、私を貸本屋へつれてゆくといった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
他家
(
よそ
)
の子には
唯事
(
たゞごと
)
のやうなそんなことも、
遊山
(
ゆさん
)
などの経験の乏しい私には、珍しくて嬉しくてならなかつたのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「痩ツぽちの人に限つて、変な処で意張るわね。だけど、
他家
(
よそ
)
へ行つていくら酔つたつてあんなことをするのはお止めなさい。愛嬌にもなりはしないわよ。」
秋・二日の話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
お母さんは何処にいるんだ? と聞くと、下谷にいて、
他家
(
よそ
)
の間を借りて、
裁縫
(
しごと
)
をしているんです、と言う。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
出戻りとても家のもの、
他家
(
よそ
)
から這入つた嫂なぞにひけとらす気遣ひは、さらさらもつてござんせぬ。それでもこれが女子の役目と、辛抱すれば、よい気になり。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
してみると伊太夫は、
他家
(
よそ
)
への帰りにここへ立寄ったものではなく、雨の夜を、わざわざ
合羽傘
(
かっぱからかさ
)
で、ここへ話しに来ることを目的として来たものに相違ありません。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「飛んでも無い、お給金も
他家
(
よそ
)
より澤山頂いて居りますし、食物にもお心付にも申分ありません」
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
他家
(
よそ
)
の世話女房を
窘
(
たしな
)
める程、子供に似げない才覚や生活の自衛を心得ているかと思うと、もうすぐ樹の肌に止っているミンミン
蝉
(
ぜみ
)
を見つけて、それに気を
奪
(
と
)
られていた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
他家
(
よそ
)
には
疳癪
(
かんしゃく
)
を起して、随分御新造様方を
手込
(
てごみ
)
になさるお
宅
(
うち
)
さえ有りますじゃアございませんか
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
翌日、彼が彼女たちの家を訪問すると、二人とも
他家
(
よそ
)
へ、お茶に
招
(
よ
)
ばれていて留守だった。
ルウベンスの偽画
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼が家の子女は何処の子女よりも岩畳である。彼の家の黒猫は、小さな犬より大きく、村内の如何なる猫も其
威
(
い
)
に恐れぬものは無い。彼が家の麦からの
束
(
たば
)
は、
他家
(
よそ
)
の二倍もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
晝となく、夜となく、
他家
(
よそ
)
の猫がいたづらをしに來るのが分つてゐたが、三日目の晩に、大きな音がしたかと思ふと、きゆうツと云ふ低い聲が聽えた切り、二匹ともゐなくなつた。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
先生は
巴里
(
パリイ
)
の家の方においでになつて夕方でないと帰られない、
殊
(
こと
)
に
今日
(
けふ
)
は
他家
(
よそ
)
へ廻られる
筈
(
はず
)
であるから、それを待つより
巴里
(
パリイ
)
へ
行
(
ゆ
)
かれる方が
好
(
い
)
いであらうと弟子は云ふのであつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
お寺の鐘をついたのは、
他家
(
よそ
)
の腕白ものではない、
家
(
うち
)
の栄蔵であるといふことが。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「というと、つまり
他家
(
よそ
)
へごちそうになりに行って、そのごちそうと一緒に、自分を招待してくれた人たちにまで、その場で
唾
(
つば
)
を引っかけようというんですね。いったいそうなんですか?」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
月に興ある秋の夜も、世にある人の姫
等
(
たち
)
の笑み楽しむには似もつかず、味気無う日を送らせぬる其さへ既に情無く親甲斐の無きことなれば、同じほどなる年頃の
他家
(
よそ
)
の姫なんどを見るにつけ
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
グルッと庭を廻って座敷の裏手へ出た、そこは納屋と空地があり、忍返しのついた黒板塀で囲われてある、足許に注意しながら春日は塀の
隙間
(
すきま
)
から覗いた、外は小路を隔てて向側は
他家
(
よそ
)
の塀で
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
大江家
(
おおえけ
)
の
一人娘
(
ひとりむすめ
)
が
何故
(
なぜ
)
他家
(
よそ
)
へ
嫁
(
とつ
)
いだか、と
仰
(
おお
)
せでございますか……あなたの
誘
(
さそ
)
い
出
(
だ
)
しのお
上手
(
じょうず
)
なのにはほんとうに
困
(
こま
)
って
了
(
しま
)
います……。ではホンの
話
(
はなし
)
の
筋道
(
すじみち
)
だけつけて
了
(
しま
)
うことに
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ことにきらいだった——なんとなく虫が好かなかった——わけは、
他家
(
よそ
)
の者であるその男が姉を愛してるからであった……自分の姉を、自分一人のもので
他
(
ほか
)
のだれのものでもない大事な姉を!……
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ことに
他家
(
よそ
)
の振舞酒をのむことが趣味にかなつてゐた。
村のひと騒ぎ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
俺は時々自分の入口を間違い、
他家
(
よそ
)
の戸口を開けた
炭坑長屋物語
(新字新仮名)
/
猪狩満直
(著)
之が
他家
(
よそ
)
のでは又別に考え直さなけりゃなりません。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
凡
(
すべ
)
て
富豪
(
かねもち
)
といふものは、自分の
家
(
うち
)
に転がつてゐる
塵
(
ちり
)
つ
葉
(
ぱ
)
一つでも
他家
(
よそ
)
には無いものだと思ふと、それで大抵の病気は
癒
(
なほ
)
るものなのだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
之
(
こ
)
れ位の事理の分らない父ではない。が、兄が突然家出して、さなきだに淋しい今、自分を手離して、
他家
(
よそ
)
へやるだろうか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
向うの方に青い
樹
(
き
)
が五、六本、教室の窓の竹格子にむかって
柘榴
(
ざくろ
)
の花がまっかだった。両側が土蔵と土蔵で、突当りが塀で
他家
(
よそ
)
の庭木がこんもりしていた。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
可哀相に……お稲ちゃんのお
葬式
(
ともらい
)
が出る所だって、
他家
(
よそ
)
の
娘
(
こ
)
でも
最惜
(
いとし
)
くってしようがないって云うんでしょう。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その二枚も、
他家
(
よそ
)
へお遣いものをしたときに器物に入れてくれた半紙をしまっておいたものなので、
筋目
(
すじめ
)
がついたり、
皺
(
しわ
)
がよったりしているものばかりだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
具清の家の
住居
(
すまゐ
)
と酒蔵の幾つかが焼けただけで、
他家
(
よそ
)
へ火は伸びずに鎮火しました。ほい/\と
門
(
かど
)
を走る人は、皆
先刻
(
さつき
)
と反対の方を向いて行くやうになりました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
けれども
手職
(
てしょく
)
が出来たらしい割りにお客の取り付きがわるく、最初に生れた男の子の
久禄
(
きゅうろく
)
というのは生涯音信不通で、六ツの年に
他家
(
よそ
)
へ遣るという有り様であった。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
子供を
他家
(
よそ
)
にくれてやり、自分は乳母奉公の決心をしたのだ、というようなことを彼女は語った。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
柳橋
(
やなぎばし
)
の
船宿
(
ふなやど
)
の
主翁
(
ていしゅ
)
は、二階の
梯子段
(
はしごだん
)
をあがりながら、
他家
(
よそ
)
のようであるがどうも
我家
(
うち
)
らしいぞ、と思った。二階の方では、とん、とん、とん、と云う
小鼓
(
こつづみ
)
の音がしていた。
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼女の老母は
他家
(
よそ
)
の縫物などをしてゐる位ひであつたが、Y子は相変らずしめつぽい話には頓着なく、たゞ昔と幾分変つたかたちで自由に羽根を伸してゐるまでゞあつた。
小川の流れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「お吟さまは、まだ
他家
(
よそ
)
へ、お
嫁
(
かたづ
)
きにならないで、御親類にいらっしゃるのでございますか」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辰
爺
(
じい
)
さん
家
(
とこ
)
のは大きくて
他家
(
よそ
)
の三倍もあるが、
搗
(
つ
)
きが細かで、
上手
(
じょうず
)
に紅入の
宝袋
(
たからぶくろ
)
なぞ
拵
(
こさ
)
えてよこす。下田の金さん
処
(
とこ
)
のは、
餡
(
あん
)
は黒砂糖だが、
手奇麗
(
てぎれい
)
で、小奇麗な
蓋物
(
ふたもの
)
に入れてよこす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その後作曲に進んでいったが、旧式な先生からは理解されず、そのうえ十三、四歳の頃からは貧しい両親を助くるために、
他家
(
よそ
)
の子のピアノの
稽古
(
けいこ
)
を見てやるために時間を取らなければならなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
“他家”の意味
《名詞》
よその家。他の家。
(出典:Wiktionary)
他
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“他家”で始まる語句
他家様