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余所
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よそ
ふりがな文庫
“
余所
(
よそ
)” の例文
旧字:
餘所
また病つきで課業はそつちのけの
大怠惰
(
おほなまけ
)
、後で
余所
(
よそ
)
の塾へ入りましたが、又
此
(
この
)
先生と来た日にや決して、
然
(
さ
)
う云ふものを読ませない。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
家の
惣菜
(
そうざい
)
なら不味くても好いが、
余所
(
よそ
)
へ喰べに行くのは
贅沢
(
ぜいたく
)
だから
選択
(
えりごの
)
みをするのが当然であるというのが緑雨の
食物
(
くいもの
)
哲学であった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そうして我藩の士民も、特に土州には親しむが、長州は
余所
(
よそ
)
にしているような風もあるので、長州は少し妬ける気味もあったろうか。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
ドッと見物の間に笑い声が起ったので、
其次
(
そのつぎ
)
の「いつ
余所
(
よそ
)
の男とくッつくかも知れなかった」という言葉は危く聞き洩す所だった。
白昼夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
山木と河合の心配を
余所
(
よそ
)
に、ネッドと張は大元気でふざけている。全く現金な両人だ。とうとうコロラド行をものにしてしまったのだ。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「こいちゃんは今時分に着る
余所
(
よそ
)
行きのべべがないねんもん。今日は姉ちゃんがお姫様で、こいちゃんはモダーンガールの腰元や」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ
市村
(
いちむら
)
座の向側に小さい馬肉の煮込を食わせるところがあり、その煮方には一種の
骨
(
こつ
)
があって
余所
(
よそ
)
では
味
(
あじわ
)
えない味を出していた。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「青竹を割ったどころか、
漢竹
(
かんちく
)
を
捩
(
ねじ
)
ったような子だ。嘘ばかり吐いている。お前は
余所
(
よそ
)
さんの娘を不良少女なんて言う資格がない」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
三四郎は
他
(
ひと
)
の文章と、
他
(
ひと
)
の葬式を
余所
(
よそ
)
から見た。もし
誰
(
だれ
)
か
来
(
き
)
て、
序
(
ついで
)
に美禰子を
余所
(
よそ
)
から見ろと注意したら、三四郎は驚ろいたに
違
(
ちがひ
)
ない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あ、
拙
(
まづ
)
い
手付
(
てつき
)
……ああ
零
(
こぼ
)
れる、零れる! これは恐入つた。これだからつい
余所
(
よそ
)
で飲む気にもなりますと
謂
(
い
)
つて可い位のものだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かしましく電車や自動車の通っているのを
余所
(
よそ
)
に、
一艘
(
いっそう
)
の
伝馬
(
てんま
)
がねぎの束ねたのや、大根の白いのや、漬菜の青いなどを
載
(
の
)
せて
日本橋附近
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そういうものでなくては、ほんとうに美味いものではない。自分の知っているかぎり、深泥池に産するようなものは
余所
(
よそ
)
にはないようだ。
洛北深泥池の蓴菜
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
その時私はこれに非常な興味を覚えたものと見え、
余所
(
よそ
)
で泊ったことなどまだ一度もないのに、今日はここへ泊ると云い出した。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
余所
(
よそ
)
は仕方がないが、どうか柳橋では浮気をしておくれでない、若し柳橋で浮気をなさると、友さん私は死んでも浮ばれませんよ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その青い鳥を
余所
(
よそ
)
に求めて、
Tyltyl
(
チルチル
)
,
Mytyl
(
ミチル
)
のきょうだいの子は記念の国、夜の宮殿、未来の国とさまよい歩くのですね。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
下女「通ったどころでありません。大原さんのお家の騒ぎが面白いから折々
覗
(
のぞ
)
きに参りました」お登和嬢「私に黙って
余所
(
よそ
)
の家を ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ほとんど一千尺位の全く雪を
冠
(
かぶ
)
って居る山ばかりで、そんなに美しい景色は
余所
(
よそ
)
の国では決して見ることが出来ぬだろうと思う。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「私もゆうべはわざと
余所
(
よそ
)
で過して来ました。花があるので好んでこちらへ来ただけなのだろうなどと言われそうでしたから」
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
苦労ある身の乳も不足なれば思い切って近き所へ里子にやり必死となりて
稼
(
かせ
)
ぐありさま
余所
(
よそ
)
の
眼
(
め
)
さえ
是
(
これ
)
を見て感心なと泣きぬ。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ひとしきり自分の体に着くものと決まっていた数ある衣類も、叔父に言われて、世帯の足しに大方
余所
(
よそ
)
へ持ち出してしまった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それに、あの子が、仲良く遊んでいたゞいた同じ年頃のお友達は、やつぱり、
余所
(
よそ
)
のお子さんのやうな気がいたしませんわ。
ママ先生とその夫
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
わたしの身にしては七苦八苦の騒ぎです。何しろその時分は丸次の家の厄介になっていた身ですから、
公然
(
おおびら
)
に
余所
(
よそ
)
へ泊るわけには行きません。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
知りたがる沢山の
余所
(
よそ
)
の子供にも有益なのだから。出来るだけそれを簡単なものにして集めて叔父さんはそれを本にしようと思つてゐるんだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
切
(
せ
)
めては父母
兄弟
(
けいてい
)
に
余所
(
よそ
)
ながらの
暇乞
(
いとまご
)
いもなすべかりしになど、様々の思いに
耽
(
ふけ
)
りて、睡るとにはあらぬ
現心
(
うつつごころ
)
に、何か騒がしき物音を感じぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
其の前に歌う時は、
恰
(
ちょう
)
ど父母の膝に突伏して、
余所
(
よそ
)
での悲しさを思い入れ泣くような心地がして、歌って果は泣いて、それが為に心は慰められた。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そしてそれは
余所
(
よそ
)
から借りて来たものでなくて、やはり作者自身から自然に歌の中に流れ込んだもののように見える。
宇都野さんの歌
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
其頃になると、主人は
余所
(
よそ
)
から帰つて来、裸になつて、自転車の置いてある縁先へ出て、高声に講談の筆記を読んだり、川柳を読んでは笑ひ興じる。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
クサカはまだ人に
諂
(
へつら
)
う事を知らぬ。
余所
(
よそ
)
の犬は後脚で立ったり、膝なぞに体を摩り付けたり、嬉しそうに吠えたりするが、クサカはそれが出来ない。
犬
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
私はそれを
余所
(
よそ
)
にして踊の場へ行くのが
厭
(
いや
)
だつたのでした。私は楽屋でお膳のないのを悲みながら、煮魚のむしつたので夕飯を食べさせられました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
規矩男は母の命令で食料品の買付けに、一週一度銀座へ出る以外には、
余所
(
よそ
)
へ行かないといっているとおり、東京の何処のこともあまり知らない様子。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
当分の
間
(
あいだ
)
は、マリイと町を散歩していて、
余所
(
よそ
)
の男の目が、マリイに注がれているのに気が付くと、
嘲
(
あざけ
)
るような
微笑
(
ほほえみ
)
がフェリックスの唇の上に漂った。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
平気にて「ハアヽ
余所
(
よそ
)
には嫁入が有さうな
云々
(
しか/″\
)
」と言ひしときにお夏が「又ねすり言ばつかり、おんなじ口で可愛やと云ふ事がならぬか、意地のわるい」
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
一わたり見渡すともう
余所
(
よそ
)
の眺望に長く眼を呉れているそらはないのであろう、二人は申し合せたように
復
(
ま
)
た西南の方、白峰赤石一帯の山々に見入って
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
従兄弟
(
いとこ
)
なり親友なり未来の……夫ともなる文三の
鬱々
(
うつうつ
)
として楽まぬのを
余所
(
よそ
)
に見て、
行
(
ゆ
)
かぬと云ッても勧めもせず、平気で澄まして
不知顔
(
しらぬかお
)
でいる
而已
(
のみ
)
か
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一体ヤクツク人は人の善い
性
(
たち
)
で、所々の部落で
余所
(
よそ
)
から来たものに可なりの補助をして遣る風俗になつてゐる。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
われこの雲を日和雲と名づく。午後雨雲やうやくひろがりて日は雲の裏を照す。散り残りたる
余所
(
よそ
)
の黄葉
淋
(
さび
)
しげに垣ごしにながめらる。猫のそのそと庭を過ぐ。
雲の日記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
せめて
余所
(
よそ
)
ながら蕗子の顔を一目見てから、慾を云えば何とか一言口を利いてから出立したくなりました。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
「
余所
(
よそ
)
のは米の粉を練ってそれを程よく笹に包むのだけれど、是は米を直ぐに笹に包んで蒸すのだから、笹をとるとこんな風に、東京のお
萩
(
はぎ
)
と云ったようだよ」
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
子供が七歳の春、私は
余所
(
よそ
)
の女と駈落して漂浪の旅に出、東京に
辿
(
たど
)
りついてさま/″\の難儀をしたすゑ、当時文運の所産になつたF雑誌の外交記者になつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
けれどそういうきびしい話も、その頃のおせんにとってはまるで縁のない
余所
(
よそ
)
ごとのようなものであった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ドイツ人がもと族霊たりし兎を殺し食うも同例で、タスマニア人が老親を絞殺して食いしごとく身内の肉を
余所
(
よそ
)
の物に
做了
(
してしま
)
うは惜しいという理由から出たのだろ。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼らは鷹の目、人の目の多い夏場よりも、むしろ立ち勝った元気で、吹雪も
氷柱
(
つらら
)
もものかわ、わが天地とばかり振る舞っているのは、
余所
(
よそ
)
の見る眼も小気味よい。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
然し庭が広いので、
余所
(
よそ
)
へ知れる心配はなく、実際友江さんが、家続きの土蔵に監禁されて居ることを知って居るものは信之と沢の外には一人もありませんでした。
暴風雨の夜
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
余吾之介様を独り
占
(
じめ
)
にしたいばかりの私の
悪企
(
わるだく
)
み、今日は
余所
(
よそ
)
ながら処刑を見物する積りで、竹矢来の外から悪魔外道の眼を光らせていた浅ましい私でございます。
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「オーそうとも。兄が死んだけれども、死んだものは
仕方
(
しかた
)
がない。お前も
亦
(
また
)
余所
(
よそ
)
に出て死ぬかも知れぬが、
死生
(
しにいき
)
の事は一切言うことなし。
何処
(
どこ
)
へでも出て行きなさい」
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
寺の寮々に
塗籠
(
ぬりごめ
)
を置いて、おのおの器物を持ち、美服を好み、財物を貯え、放逸の言語にふける、そうして
問訊
(
もんじん
)
礼拝
(
らいはい
)
等は衰微している。恐らくは
余所
(
よそ
)
もそうであろう。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
老婆 ございましたが訳があって、
余所
(
よそ
)
へやったまま、今では生き死もわかりません。亭主には死別れ、お恥しいこんな姿で、やッとその日をカツカツ送っております。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
ここがうまく行けば
余所
(
よそ
)
でも真似るようにならぬものでもなかろう。それは諸君の勉強の如何によるのである。こういう趣意であるから、そのつもりで奮発して下さい。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
日が暮れると東御殿を
余所
(
よそ
)
にしてお出かけになることもおできになれなかったりして、宮が幾日もおいでにならぬことのあるため、こうなることであろうとは思ったが
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「どうせ
遁
(
のが
)
れつこはないよ。こゝで死なゝければ
余所
(
よそ
)
で死ぬるのだ。死なゝくてはならない。」
笑
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
余
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“余所”で始まる語句
余所行
余所目
余所事
余所余所
余所々々
余所見
余所眼
余所人
余所外
余所行姿