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ふりがな文庫
“
餘所
(
よそ
)” の例文
新字:
余所
餘所
(
よそ
)
の
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
は
大抵
(
たいてい
)
は
綺麗
(
きれい
)
な
赤
(
あか
)
い
帶
(
おび
)
を
締
(
し
)
めて、ぐるりと
褰
(
から
)
げた
衣物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
は
帶
(
おび
)
の
結
(
むす
)
び
目
(
め
)
の
下
(
した
)
へ
入
(
い
)
れて
只管
(
ひたすら
)
に
後姿
(
うしろすがた
)
を
氣
(
き
)
にするのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
殘し
置
(
おき
)
力に思ふ妻に別れし事なれば
餘所
(
よそ
)
の
見目
(
みるめ
)
も
可哀
(
いぢら
)
しく哀れと云ふも餘りあり斯くて
有
(
ある
)
べき事ならねばそれ
相應
(
さうおう
)
に
野邊
(
のべ
)
の送りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『戀塚とは
餘所
(
よそ
)
ながら
床
(
ゆか
)
しき思ひす、
剃
(
そ
)
らぬ
前
(
まへ
)
の我も戀塚の
主
(
あるじ
)
に
半
(
なか
)
ばなりし事あれば』。言ひつゝ瀧口は
呵々
(
から/\
)
と打笑へば、老婆は
打消
(
うちけ
)
し
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
教師
(
けうし
)
は
其
(
その
)
あとで、
嬰兒
(
あかご
)
が
夜泣
(
よなき
)
をして
堪
(
た
)
へられないといふことで
直
(
ぢき
)
に
餘所
(
よそ
)
へ
越
(
こ
)
した。
幾度
(
いくど
)
も
住人
(
すみて
)
が
變
(
かは
)
つて、
今度
(
こんど
)
のは
久
(
ひさ
)
しく
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
るさうである。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうだとすれば、仕合わせに暮していた姉たちはなぜ妹たちの困るのを
餘所
(
よそ
)
に見ながら構い着けなかったのであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
何だつて君等はまアさうまで
餘所
(
よそ
)
行きの顏をしなければならないのだ。君等に一體何の眞實があるといふのだ。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
奧まつた所には別席を設けて、表向の出座ではないが、城代が取調の模樣を
餘所
(
よそ
)
ながら見に來てゐる。縁側には取調を命ぜられた與力が、書役を隨へて著座する。
最後の一句
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
されど母上はしば/\我に向ひて、そなたのためならば、彼につきあひおくとのたまひき。
餘所
(
よそ
)
の人の此世にありて求むるものをば、かの人
筐
(
かたみ
)
の底に
藏
(
をさ
)
めて持ちたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
安井
(
やすゐ
)
を
餘所
(
よそ
)
ながら
見
(
み
)
たいといふ
好奇心
(
かうきしん
)
は、
始
(
はじ
)
めから
左程
(
さほど
)
強
(
つよ
)
くなかつた
丈
(
だけ
)
に、
乘換
(
のりかへ
)
の
間際
(
まぎは
)
になつて、
全
(
まつた
)
く
抑
(
おさ
)
えつけられてしまつた。
彼
(
かれ
)
は
寒
(
さむ
)
い
町
(
まち
)
を
多
(
おほ
)
くの
人
(
ひと
)
の
如
(
ごと
)
く
歩
(
ある
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
……あゝ、こりゃあんまり
厚顏
(
あつかま
)
しかった。
俺
(
おれ
)
に
言
(
い
)
うてゐるのでは
無
(
な
)
い。
大空中
(
おほぞらぢゅう
)
で
最
(
いっ
)
ち
美
(
うつく
)
しい
二箇
(
ふたつ
)
の
星
(
ほし
)
が、
何
(
なに
)
か
用
(
よう
)
があって
餘所
(
よそ
)
へ
行
(
ゆ
)
くとて、
其間
(
そのあひだ
)
代
(
かは
)
って
光
(
ひか
)
ってくれと
姫
(
ひめ
)
の
眼
(
め
)
に
頼
(
たの
)
んだのぢゃな。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
花
(
はな
)
の
下
(
した
)
ふむ
露
(
つゆ
)
のあした
双
(
なら
)
ぶる
翅
(
つばさ
)
の
胡蝶
(
こてふ
)
うらやましく
用事
(
ようじ
)
にかこつけて
折々
(
をり/\
)
の
訪
(
とひ
)
おとづれに
餘所
(
よそ
)
ながら
見
(
み
)
る
花
(
はな
)
の
面
(
おもて
)
わが
物
(
もの
)
ながら
許
(
ゆる
)
されぬ
一重垣
(
ひとへがき
)
にしみ/″\とは
物
(
もの
)
言交
(
いひかは
)
すひまもなく
兎角
(
とかく
)
うらめしき
月日
(
つきひ
)
なり
隙行
(
ひまゆ
)
く
駒
(
こま
)
に
形
(
かたち
)
もあらば
我
(
わ
)
れ
手綱
(
たづな
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
出せといふに又一人も同じく
侍士
(
さふらひ
)
に向ひ
應
(
おう
)
然樣
(
さう
)
だ殘らず渡したとて
損
(
そん
)
はあるまいコウ
侍士
(
さふらひ
)
大方
(
おほかた
)
此女は
餘所
(
よそ
)
の
箱入娘
(
はこいりむすめ
)
を
唆
(
そゝの
)
かし云合せて親の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
自分は何処か、彼女からは見えない所に身を隠して、
餘所
(
よそ
)
ながら彼女のその涙を見、その声を聞いて餘生を送る。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然
(
さ
)
りながら、
我
(
わ
)
が
君主
(
との
)
、
無禮
(
なめ
)
なる
儀
(
ぎ
)
には
候
(
さふら
)
へども、
此
(
こ
)
の
姫
(
ひめ
)
、
殿
(
との
)
の
夫人
(
ふじん
)
とならせたまふ
前
(
まへ
)
に、
餘所
(
よそ
)
の
夫
(
をつと
)
の
候
(
さふらふ
)
ぞや。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
餘所
(
よそ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
る
度
(
たび
)
に
大
(
おほ
)
きな
菅笠
(
すげがさ
)
がぐるりと
動
(
うご
)
く。
菅笠
(
すげがさ
)
は
日
(
ひ
)
を
避
(
さ
)
けるのみではなく
女
(
をんな
)
の
爲
(
ため
)
には
風情
(
ふぜい
)
ある
飾
(
かざり
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夕旦
(
ゆふべあした
)
の鐘の聲も
餘所
(
よそ
)
ならぬ哀れに響く
今日
(
けふ
)
は、過ぎし
春秋
(
はるあき
)
の
今更
(
いまさら
)
心なきに驚かれ、鳥の聲、蟲の
音
(
ね
)
にも心
何
(
なに
)
となう動きて、我にもあらで
情
(
なさけ
)
の外に行末もなし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
同時
(
どうじ
)
に
安井
(
やすゐ
)
はその
後
(
ご
)
何
(
ど
)
んなに
變化
(
へんくわ
)
したらうと
思
(
おも
)
ふと、
餘所
(
よそ
)
から
一目
(
ひとめ
)
彼
(
かれ
)
の
樣子
(
やうす
)
が
眺
(
なが
)
めたくもあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夏は人々暑さを避けんとて
餘所
(
よそ
)
に
遷
(
うつ
)
り給へば、われ獨り留まりて大廈の中にあり。涼しき風吹き
初
(
そ
)
むれば人々歸り給ふ。かく我は漸く又此境遇に安んずることゝなりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
お
目
(
め
)
に
懸
(
かゝ
)
らでは
戻
(
もど
)
らるゝことかはさるにても
此病人
(
このびやうにん
)
のうへに
此
(
この
)
お
生計
(
くらし
)
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
もお
身
(
み
)
一
(
ひと
)
つに
降
(
ふ
)
りかゝる
芳
(
よし
)
さまが
御心配
(
ごしんぱい
)
は
嘸
(
さぞ
)
なるべし
尋常
(
つねなみ
)
ならば
御兩親
(
ごりやうしん
)
の
見取
(
みと
)
り
看護
(
かんご
)
もすべき
身
(
み
)
が
餘所
(
よそ
)
に
見聞
(
みき
)
く
苦
(
くる
)
しさよと
沸
(
わ
)
き
返
(
かへ
)
る
涙
(
なみだ
)
胸
(
むね
)
に
呑
(
の
)
みて
差
(
さし
)
のぞかんとする
二枚戸
(
にまいど
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
見て
餘所
(
よそ
)
ながらなる
辭別
(
いとまごひ
)
愁然
(
しうぜん
)
として居たる折早くも二
更
(
かう
)
の
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
は
耳元
(
みゝもと
)
近
(
ちか
)
く聞ゆるにぞ
時刻
(
じこく
)
來りと立上り
音
(
おと
)
せぬ樣に
上草履
(
うはざうり
)
を足に
穿
(
うが
)
つて我家を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし滋幹は、自分の
胤
(
たね
)
ちがいの弟に当る中納言
敦忠
(
あつたゞ
)
に対しては、
餘所
(
よそ
)
ながら深い親愛の情を寄せていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
懷
(
ふところ
)
のさむしい
勘次
(
かんじ
)
はさうして
身
(
み
)
がひけるのを
卯平
(
うへい
)
には
却
(
かへつ
)
て
餘所
(
よそ
)
/\しくされるやうな
感
(
かん
)
じを
與
(
あた
)
へた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
横笛今は
稍〻
(
やゝ
)
浮世に慣れて、風にも露にも、
餘所
(
よそ
)
ならぬ思ひ忍ばれ、墨染の
夕
(
ゆふべ
)
の空に只〻一人、
連
(
つ
)
れ
亙
(
わた
)
る雁の行衞
消
(
き
)
ゆるまで見送りて、思はず
太息
(
といき
)
吐
(
つ
)
く事も多かりけり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
餘所
(
よそ
)
に
比
(
くら
)
べると
閑靜
(
かんせい
)
な
春
(
はる
)
の
支度
(
したく
)
も、
御米
(
およね
)
から
云
(
い
)
へば、
年
(
ねん
)
に
一度
(
いちど
)
の
忙
(
いそ
)
がしさには
違
(
ちがひ
)
なかつたので、
或
(
あるひ
)
は
何時
(
いつ
)
も
通
(
どほり
)
の
準備
(
じゆんび
)
さへ
拔
(
ぬ
)
いて、
常
(
つね
)
よりも
簡單
(
かんたん
)
に
年
(
とし
)
を
越
(
こ
)
す
覺悟
(
かくご
)
をした
宗助
(
そうすけ
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
そ
)
の
樣子
(
やうす
)
が、
餘所
(
よそ
)
から
歸宅
(
かへ
)
つて、
暑
(
あつ
)
さの
餘
(
あま
)
り、
二階
(
にかい
)
へ
遁
(
に
)
げて
涼
(
すゞ
)
むらしい……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
アプルツチイよりも、
大澤
(
たいたく
)
よりも、おほよそ近きほとりの民悉くつどひ來て、おの/\古風を存じたる
打扮
(
いでたち
)
したれば、その入り亂れたるを見るときは、
餘所
(
よそ
)
の國にはあるまじき奇觀なるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
なんでも同じ村の
餘所
(
よそ
)
の家へ子守りに雇われていて、めったとひとりで遊びに出るようなことはなかったのに、その日に限って、赤ん坊の寝ている間に出て行って
紀伊国狐憑漆掻語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
心細
(
こゝろぼそ
)
い
事
(
こと
)
には、
鹽尻
(
しほじり
)
でも、
一人
(
ひとり
)
も
同
(
おな
)
じ
室
(
しつ
)
へ
乘込
(
のりこ
)
まなかつた。……
其
(
そ
)
の
宿
(
しゆく
)
の
名
(
な
)
は、
八重垣姫
(
やへがきひめ
)
と、
隨筆
(
ずゐひつ
)
の
名
(
な
)
で、
餘所
(
よそ
)
ながら、
未見
(
みけん
)
の
知己
(
ちき
)
。
初對面
(
しよたいめん
)
の
從姉妹
(
いとこ
)
と、
伯父
(
をぢ
)
さんぐらゐに
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
たのに。………
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼はわずかに、大勢の談話の中に交って彼女の語る声を聞き、またその頬にあのほゝえみの浮かぶのを
餘所
(
よそ
)
ながら眺めては、それをせめてもの慰めにして日を送った。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と
餘所
(
よそ
)
で……
經驗
(
けいけん
)
のある、
近所
(
きんじよ
)
の
産婆
(
さんば
)
さんが
注意
(
ちうい
)
をされた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
青木主膳も、味方の苦戦を
餘所
(
よそ
)
に見つゝ若君の
傍
(
そば
)
にばかり附き添ってもいられないので、寄手の攻撃の急な時には、一方の要害を引き
請
(
う
)
けて
防禦
(
ぼうぎょ
)
の加勢をしなければならなかった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
故
(
わざ
)
と
途中
(
とちう
)
、
餘所
(
よそ
)
で
聞
(
き
)
いて、
虎杖村
(
いたどりむら
)
に
憧憬
(
あこが
)
れ
行
(
ゆ
)
く。……
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
公は往年夫人の
閨
(
ねや
)
へ通いつゞけた夜な/\、
餘所
(
よそ
)
ながら此の
奇態
(
きたい
)
な顔を
隙見
(
すきみ
)
させて
貰
(
もら
)
っては快感に浸っていたので、今日が始めてなのではないが、当人はそれを知る筈がないから
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(お
前
(
まへ
)
は
澁太
(
しぶと
)
いの……
先
(
ま
)
づ
餘所
(
よそ
)
へ
去
(
い
)
にます。)
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
着物は不断着は覚えていないが、
餘所
(
よそ
)
行きの時は鼠地の細かい小紋をしば/\着た。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お
姫
(
ひい
)
さまとわたくしとが此処を通り合わせましたのも何かの縁、せめて
遺骸
(
なきがら
)
を拝ませて貰って、
餘所
(
よそ
)
ながら供養をして上げとう存じますが、それも
叶
(
かな
)
わぬのが口惜しゅうござります」
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お母さまはもう
餘所
(
よそ
)
のお家の人なのですと、そのつど
乳人
(
めのと
)
に戒められた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
餘
部首:⾷
16画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“餘所”で始まる語句
餘所々々
餘所目
餘所乍
餘所行
餘所行姿
餘所餘所