“稍〻”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やや68.0%
やゝ32.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
斯ういう次第ですから、俊一君の立場には充分同情の余地があります。その兄さんの理解があると思って、双方安心の余りつい稍〻ややのり
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その内容は一見驚くほど似通っていて、一つの調和あるチェーホフ像を浮びあがらせ、稍〻ややもすればほかのロシヤ作家に見られるような毀誉褒貶きよほうへんの分裂がない。
思へば悟道ごだうの末も稍〻やゝ頼もしく、風白む窓に、傾く月をさしまねきてひやゝかに打笑うちゑめる顏は、天晴あつぱれ大道心者だいだうしんしやに成りすましたり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かうして稍〻やゝ半時間も過ぎたと思ふ頃、かすかに妻の寝息が聞こえ始めた。妻の思ひとちぐはぐになつた彼の思ひはこれでとう/\全くの孤独に取り残された。
An Incident (新字旧仮名) / 有島武郎(著)