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稍〻
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やゝ
ふりがな文庫
“
稍〻
(
やゝ
)” の例文
思へば
悟道
(
ごだう
)
の末も
稍〻
(
やゝ
)
頼もしく、風白む窓に、傾く月を
麾
(
さしまね
)
きて
冷
(
ひやゝ
)
かに
打笑
(
うちゑ
)
める顏は、
天晴
(
あつぱれ
)
大道心者
(
だいだうしんしや
)
に成りすましたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
かうして
稍〻
(
やゝ
)
半時間も過ぎたと思ふ頃、かすかに妻の寝息が聞こえ始めた。妻の思ひとちぐはぐになつた彼の思ひはこれでとう/\全くの孤独に取り残された。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
さればわれは
稍〻
(
やゝ
)
小なるものをとて、ダンテを撰びぬ、ハツバス・ダアダア
冷笑
(
あざわら
)
ひていふ。ダンテを詠ずとならば、定めて傑作をなすなるべし。そは聞きものなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
巫女
(
みこ
)
の持つてゐる様な小さな鈴玉がちりん/\と彼の手に鳴つて居た。やがて彼は床の間に、小さな
幣帛
(
へいはく
)
を飾り、白米と塩とを其の前に供へて、
稍〻
(
やゝ
)
久しく黙祷した。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
之に就いては度々諸方から議論がありました。少し野卑なことを申しまするけれども、此度の假名遣に於けるところの許容と云ふことは、
稍〻
(
やゝ
)
とんちんかんだと思ふのであります。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
謂
(
い
)
はば、
光耀
(
くわうえう
)
時代、啓示時代なりきとも見るべく、予は実に昨一年間に於いて、不思議にも三たびまでもこれまでに経験したることなき
稍〻
(
やゝ
)
手答へある一種稀有の光明に接したるなり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
稍〻
(
やゝ
)
高き林木の間に、屋瓦の
叢
(
そう
)
を成せるはアンナア、カプリイの小都會なり。一橋一門ありてこれに通ず。一行は
棕櫚
(
しゆろ
)
の木立てるパガアニイが酒店の前に歩を留めつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
横笛今は
稍〻
(
やゝ
)
浮世に慣れて、風にも露にも、
餘所
(
よそ
)
ならぬ思ひ忍ばれ、墨染の
夕
(
ゆふべ
)
の空に只〻一人、
連
(
つ
)
れ
亙
(
わた
)
る雁の行衞
消
(
き
)
ゆるまで見送りて、思はず
太息
(
といき
)
吐
(
つ
)
く事も多かりけり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
大臣の信用は屋上の
禽
(
とり
)
の如くなりしが、今は
稍〻
(
やゝ
)
これを得たるかと思はるゝに、相沢がこの頃の言葉の端に、本国に帰りて後も倶にかくてあらば
云々
(
しか/″\
)
といひしは、大臣のかく
宣
(
のたま
)
ひしを
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
平三は
稍〻
(
やゝ
)
安心した。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
薪
(
たきゞ
)
採
(
と
)
る翁、牛ひく
童
(
わらんべ
)
、餘念なく歌ふ
節
(
ふし
)
、餘所に聞くだに樂しげなり。瀧口
行
(
ゆ
)
く/\
四方
(
よも
)
の景色を打ち眺め、
稍〻
(
やゝ
)
疲れを覺えたれば、とある路傍の民家に腰打ち掛けて、暫く休らひぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
稍
漢検1級
部首:⽲
12画
〻
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