“やゝ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
46.5%
17.6%
11.3%
稍々9.4%
稍〻5.0%
梢々1.3%
嬰兒1.3%
1.3%
1.3%
較々0.6%
嬰子0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
良〻0.6%
良時0.6%
0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かごうへに、たなたけやゝたかければ、打仰うちあふぐやうにした、まゆやさしさ。びんはひた/\と、羽織はおりえりきながら、かたうなじほそかつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
琥珀こはく刺繍ぬひをした白い蝙蝠傘パラソルを、パツとはすの花を開くやうにかざして、やゝもすればおくれやうとする足をお光はせか/\と内輪うちわに引きつて行つた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かすひとの有べきやはて不思議なる事もあるものだどうした譯の金なるやとやゝしばらく考へしがて見れば一文貰ひの苦紛くるしまぎれにきやつ切取きりとり強盜がうたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふすま手荒らに開かれて現はれたる一丈天、其のきぬの身に合はず見ゆるは、大洞おほほらのをや仮り着せるならん、既に稍々やゝ酒気を帯びたるかほ燈火ともしびに照らしつ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かうして稍〻やゝ半時間も過ぎたと思ふ頃、かすかに妻の寝息が聞こえ始めた。妻の思ひとちぐはぐになつた彼の思ひはこれでとう/\全くの孤独に取り残された。
An Incident (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
○天保三年辰四月、我がすむ塩沢の中町なかまちに鍵屋某が家のほとりに喬木たかききあり。此からすをむすび、ひな梢々やゝかしらをいだすころ、巣のうちに白きかしらの鳥を見る。
如是我聞によぜがもん佛説阿彌陀經ぶつせつあみだけうこゑ松風まつかぜくわしてこゝろのちりも吹拂ふきはらはるべき御寺樣おんてらさま庫裏くりより生魚なまうをあぶるけぶなびきて、卵塔塲らんたうば嬰兒やゝ襁褓むつきほしたるなど、お宗旨しうしによりてかまひなきことなれども
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
友の眠に就きし後、われは猶やゝ久しく出窓に坐して、かたを眺め居たり。こゝよりはたゞに廣こうぢの隈々くま/″\迄見ゆるのみならず、かのヱズヰオの山さへ眞向まむきに見えたり。
主人答て曰く、團十郎は新富劇しんとみざに出場せるが、該劇かのざ近日このごろ炎帝特に威を恣にするを以て、昨日俄に場を閉じ、圓朝は避暑をかねて、目今静岡地方に遊べりと。居士之を聞て憮然たるものやゝひさしゅうす。
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
加之しかのみならず較々やゝ完全に近かつた雅典アテーネの人間より、遙かに完全にとほざかつた今の我々の方が、却つて/\大なる希望を持ち得るではないか。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
較々やゝ霎時しばしして、自分は徐ろに其一片の公孫樹の葉を、水の上から摘み上げた。そして、一滴ひとつ二滴ふたつしろがねの雫を口の中に滴らした。そして、いと丁寧に塵なき井桁のはしに載せた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
るがめてのたのしみなりれはのぞみとてなれば生涯しやうがいこの御奉公ごほうこうしてかたさま朝夕あさゆふ御世話おせわさては嬰子やゝさままれたまひての御抱おだなににもあれこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
がけやゝ倦みそめぬ、つたかづらの
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かう云ふ心持で己は或る岩窟いはむろの前に来た。入口は野生の葡萄が鎖してゐる。もう日はやゝ西に傾いてゐるが、外は暑いから、常なら己は只涼しい蔭を尋ねて其中に這入つただらう。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
やゝ暫くしてから、竹丸の聲で何か知ら「わアい/\」とはやし立てるのが聞えたので、若い二人は其のはやし聲に引かれて、裏口へ出て見ると、竹丸の姿は見えないで、突き當りの藪に近い土藏の白壁へ
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
我は悶絶せる人の如く、頭を卓上に支へて坐すること良〻やゝ久しかりしが、其間何の思ふところもあらざりき。われは痛苦をだに明には覺えざりしなり。
くすがながら口惜くちをしきなりりとてもひとこと斷念あきらめがたきはなにゆゑぞはでまんの决心けつしんなりしが親切しんせつことばきくにつけて日頃ひごろつゝしみもなくなりぬと漸々やう/\せまりくる娘氣むすめぎなみだむせびて良時やゝありしが
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
世界大戦後の好景気の余波と震災後の復興気分とが、しばし時代相応の享楽世界をかもし出してゐたが、晴代が銀座で働かうと思ひ立つた頃のカフヱはやゝ下り坂だと言つた方がよかつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)