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動
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やゝ
ふりがな文庫
“
動
(
やゝ
)” の例文
是は素人狂言の常で、実は本職の役者の間にも
動
(
やゝ
)
もすれば免れぬ事だが、都合好く運んで来た茶番の準備が役割の段に至つて頓挫した。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
琥珀
(
こはく
)
に
刺繍
(
ぬひ
)
をした白い
蝙蝠傘
(
パラソル
)
を、パツと
蓮
(
はす
)
の花を開くやうに
翳
(
かざ
)
して、
動
(
やゝ
)
もすれば
後
(
おく
)
れやうとする足をお光はせか/\と
内輪
(
うちわ
)
に引き
摺
(
ず
)
つて行つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
彼は、
動
(
やゝ
)
ともすれば角張つた感想を洩すのであつたが、いつの間にか彼女に新しい魅力を感じ始めてゐる自分に気づいた。
小川の流れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
和「フム、それでは普通の職人が
動
(
やゝ
)
ともすると喧嘩口論をいたして、互に疵をつけたりするような粗暴な人物じゃないの」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
透き徹った人物は
動
(
やゝ
)
ともすると小規模になるが、孔明はそれで大きいから不思議だ。漢の高祖などはいくら大きくッても恐ろしく濁って居るからな。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
書を能くするものは筆を撰まずとは
動
(
やゝ
)
もすれば人の言ふところにして、下手の道具詮議とは、まことによく拙きありさまを罵り尽したる
語
(
ことば
)
にはあれど
鼠頭魚釣り
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
氣向
(
きむ
)
かねばとて、病と稱して小松殿が熊野參寵の
伴
(
とも
)
にも立たず、
動
(
やゝ
)
もすれば、己が室に閉籠りて、夜更くるまで寢もやらず、日頃は絶えて用なき机に向ひ
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
そして、それは
動
(
やゝ
)
もすると、
坊間
(
ばうかん
)
の「ブルヂヨアに対する反感」に似たものへ、迎合されさうな気さへした。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
けれども、自分には元来文章の素養がないから、
動
(
やゝ
)
もすれば俗になる。突拍子もねえことを
云
(
い
)
やがる的になる。坪内先生はも少し上品にしなくちやいけぬといふ。
言文一致
(新字旧仮名)
/
水野葉舟
(著)
人
(
ひと
)
は
動
(
やゝ
)
もすれば、
其
(
その
)
最期
(
いまは
)
に
心
(
こゝろ
)
が
浮
(
う
)
かるゝ! それを
看護人
(
かんごにん
)
が
死
(
し
)
ぬる
前
(
まへ
)
の
電光
(
いなづま
)
と
命
(
よ
)
んでゐる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
動
(
やゝ
)
もすれば記憶から逸し易く、故人の功績を伝へる意味からも、
将
(
は
)
たまた、日本新劇運動史の頁を飾る上からも、速かに之を完全な記録として整理保存する機関を設けられたい。
偉大なる近代劇場人
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
火事場などに於て
動
(
やゝ
)
もすれば喧嘩に及び、雙方結ぼれて解けざる時に、親分なる者が仲裁に入り、公裁を仰がずして其喧嘩の是非を糺して、非なりと認る所の者を坊主にする歟
帝室論
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼が進歩党員であるが為に、鉱毒問題が
動
(
やゝ
)
もすれば党派問題と見なされる
憂
(
うれひ
)
があつた。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其癖其職人は娘を口で叱るばかりでなく、
動
(
やゝ
)
ともすると
手込
(
てご
)
めにする事もあるのだ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
人
動
(
やゝ
)
もすれば見と信とを対せしめては、信の一義に宗教上
千鈞
(
せんきん
)
の重きを
措
(
お
)
くを常とし、而して見の一義に至りては之れを説くもの
稀
(
まれ
)
也、
況
(
いは
)
んや其の光輝ある意義を
搉揮
(
かくき
)
するものに於いてをや。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
病後夫が
召捕
(
めしと
)
られしよりハツと逆上なし
狂
(
くる
)
ひ
廻
(
まは
)
りしかば長家中
皆々
(
みな/\
)
番もすれとも
動
(
やゝ
)
もすれば
駈出
(
かけいで
)
てあらぬことども
罵
(
のゝし
)
り廻るにぞ是非なく家主
徳
(
とく
)
兵衞并に
組合
(
くみあひ
)
より願ひ出けるに
先達
(
さきだつ
)
て御召捕に
相成
(
あひなり
)
候庄兵衞の妻
豐
(
とよ
)
亂心
(
らんしん
)
仕つり町内にて種々と
介抱
(
かいはう
)
且
(
かつ
)
養生仕つり候へども
晝夜
(
ちうや
)
安心相成ず
難儀
(
なんぎ
)
至極に付何卒御奉行樣にて入牢仰付られ候へば
町内
(
ちやうない
)
一同有難仕合
也
(
なり
)
と申ける是れは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
動
(
やゝ
)
もすると
素破抜
(
すっぱぬき
)
をしてそりゃア騒ぎだよ、何うぞ此の事は思い
止
(
と
)
まっておくんなせえ、こりゃア
本当
(
ほんと
)
に人助けだから
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
意馬は常に六塵の境に馳せて心猿
動
(
やゝ
)
もすれば十悪の枝に移らんとし、危くもまた浅ましく、昨日見し人今日は亡き世を夢と見る/\果敢なくも猶驚かで
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「京子、氣を確かに持ちんか。……お前のお父つあんは、もう故人になられたやないか。」と道臣は、
動
(
やゝ
)
もすれば歩き出しさうな京子を押へながら言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
常三郎は生れて
幾
(
いくばく
)
もあらぬに失明した。しかのみならず虚弱にして
物学
(
ものまなび
)
も出来なかつた。それゆゑ常に怏々として楽まず、
動
(
やゝ
)
もすれば日夜悲泣して
息
(
や
)
まなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
私は一度はそれらを慕はしいものに見たが、
動
(
やゝ
)
もするとそれから去年の失敗を聯想し易いので、机掛も新らしい茶褐色のに改め、晩鐘圖はナポレオンの肖像と換へた。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
朝な夕な店頭に据わって眺め暮らして居る銀座通りの光景が、
動
(
やゝ
)
ともすると
燦爛
(
さんらん
)
たる宝石の
羅列
(
られつ
)
するように見えたり、
房々
(
ふさ/\
)
とした女の黒髪ののたくるように見えたりする。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
総て芸術上の
理論
(
セオリー
)
などゝいふものは、それ自身には、常に一つの美しい真理と、新しい香りとを含んではゐるが、その実行に当つて、
動
(
やゝ
)
もすれば極端な反動的偏見を曝露して、自縄自縛に陥り
演劇一般講話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
すると彼は、彼女について、あの頃、この頃などと
動
(
やゝ
)
ともすれば区別でも仕様とする自分こそ、何と見解の浅い者であつたか! と思はれる、吾ながら卑俗の眼が益々後悔されて来るのであつた。
小川の流れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
動
(
やゝ
)
もすれば柄に手を掛けてビンタ
打切
(
うちき
)
るなどというがある、其の時山三郎は仲へ入って
武士
(
さむらい
)
を
和
(
なだ
)
め、それでも聞かんと
直々
(
じき/\
)
奉行に面談致すなどというので
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
植物にしても若い木は隨分甚だしい傷を負うても直に癒るが、老木が少し傷を負ふと、
動
(
やゝ
)
もすれば枯れたがる。それは全體に於て所謂生氣といふものが若いものには強い。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
二人が会合すれば、いつも尊王攘夷の事を談じて
慷慨
(
かうがい
)
し、
所謂
(
いはゆる
)
万機一新の朝廷の措置に、
動
(
やゝ
)
もすれば因循の
形迹
(
けいせき
)
が
見
(
あらは
)
れ、外国人が
分外
(
ぶんぐわい
)
の尊敬を受けるのを
慊
(
あきたら
)
ぬことに思つた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
二人の會話は
動
(
やゝ
)
もすれば、こんな物の連續だつた。それでも受驗の事を話し合つてると、何となく活氣づき力附くやうに思はれた。別れる時にはきつとこんな事を云ひ合つた。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
「千日前ちうとこは、洋服着た人の滅多に居んとこやてな。さう聞いてみると成るほどさうや。」と、源太郎は
動
(
やゝ
)
もすると突き當らうとする群集に、一人でも多く眼を注ぎつゝ言つた。
鱧の皮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
動
(
やゝ
)
もすれば御家来をお手討になさるような事が
度々
(
たび/\
)
ある、斯様な方がお
世取
(
よとり
)
に成れば、お家の
大害
(
だいがい
)
を
惹出
(
ひきいだ
)
すであろう、
然
(
しか
)
る処幸い前次様は御病気、
殊
(
こと
)
にお咳が出るから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
氣の張ること旺んに強きものは、
動
(
やゝ
)
もすれば凝る氣になる。此も亦實に一難である。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「千日前ちふとこは、洋服着た人の滅多に居んとこやてな。さう聞いてみると成るほどさうや。」と、源太郎は
動
(
やゝ
)
もすると突き当らうとする群集に、一人でも多く眼を注ぎつゝ言つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
後には「己の著物には方々に鍼がある」と叫んで狂奔し、
動
(
やゝ
)
もすれば戸外に跳り出でむとした。妻は榛軒の許に馳せ来つて救を乞うた。榛軒は
熟々
(
つく/″\
)
聴いた後に、其顔を凝視して云つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
知らず識らず受驗生の頭腦を刺戟する、狡猾にする、そして最もよい事には、
動
(
やゝ
)
もすれば不規則になり易い受驗生生活に、先づ學校らしい體裁を備へた、一つの規律を與へる機關となる。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
哀
(
あは
)
れ
氣
(
げ
)
な聲を出して、
動
(
やゝ
)
もすれば
後
(
おく
)
れて
了
(
しま
)
ひさうなお光は、高く着物を
端折
(
はしを
)
り、
絽縮緬
(
ろちりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
の
派手
(
はで
)
な
友染模樣
(
いうぜんもやう
)
を
鮮
(
あざや
)
かに現はして、小池に負けぬやうに、
土埃
(
つちぼこり
)
を蹴立てつゝ歩き出した。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
瀬田は頭がぼんやりして、
体
(
からだ
)
ぢゆうの脈が
鼓
(
つゞみ
)
を打つやうに耳に響く。狭い田の
畔道
(
くろみち
)
を踏んで行くに、足がどこを踏んでゐるか感じが無い。
動
(
やゝ
)
もすれば
苅株
(
きりかぶ
)
の間の
湿
(
しめ
)
つた泥に足を
蹈
(
ふ
)
み込む。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
其の頃は
動
(
やゝ
)
ともすれば血判だの、
迚
(
とて
)
も
立行
(
たちゆき
)
が出来んから切腹致すの、武士道が相立たん自殺致すなどと申したもので、寺島松蔭
等
(
ら
)
の反逆も
悉皆
(
すっぱり
)
下組
(
したぐみ
)
の相談が出来て、明和の四年に相成りました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
きのふから気に掛かつてゐる
所謂
(
いはゆる
)
一大事がこれからどう発展して行くだらうか、それが堀自身にどう影響するだらうかと、とつおいつ考へながら読むので、
動
(
やゝ
)
もすれば二行も三行も読んでから
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今度の事になつてからは、己は準備をしてゐる間、
何時
(
いつ
)
でも用に立てられる
左券
(
さけん
)
を握つてゐるやうに思つて、それを
慰藉
(
ゐしや
)
にした
丈
(
だけ
)
で、
動
(
やゝ
)
もすれば其準備を永く準備の
儘
(
まゝ
)
で置きたいやうな気がした。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
動
常用漢字
小3
部首:⼒
11画
“動”を含む語句
動揺
自動車
挙動
動作
行動
動搖
衝動
運動
動物
動悸
煽動
震動
身動
微動
活動
擧動
動機
乗合自動車
活動写真
制動機
...