“一滴”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いってき33.3%
ひとしずく23.3%
ひとしづく16.7%
いつてき13.3%
ひとつ6.7%
ひとたら3.3%
ひとたらし3.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
月には一滴いってきの水もない。だから地球から見ると海のように見えるところも、来てみれば何のことか、それは平原にぎないのであった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そそけがみの頭をあげて、母は幾日か夢に描きつづけた一男の顔を、じっと眺めた。涙が一滴ひとしずく、やつれた頬をつたって、枕のきれぬらした。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
暫し、彼が顏をそむけたとき、私は一滴ひとしづくの涙が閉ぢたまぶたから流れて、男らしい頬に轉び落ちるのを見た。私の胸は迫つた。
などと、いやうも氣恥きはづかしいが、其處そこたふれまいと、一生懸命いつしやうけんめい推敲すゐかうした。このために、炎天えんてん一滴いつてきあせなかつたのは、あへうた雨乞あまごひ奇特きどくではない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
較々やゝ霎時しばしして、自分は徐ろに其一片の公孫樹の葉を、水の上から摘み上げた。そして、一滴ひとつ二滴ふたつしろがねの雫を口の中に滴らした。そして、いと丁寧に塵なき井桁のはしに載せた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それが、ぱっとふたりのかかとが雪煙を揚げ、後方うしろへ離れあうと——どちらの身もまだ健在であって、白雪の大地に、一滴ひとたらしの血しおもこぼれていないことが
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何に、リスリンの一滴ひとたらしも落して虚仮威こけおどしの綺麗なレッテルを貼れば羽が生えて飛んで行きまさあ。女という奴は馬鹿なものですよ。顔へつける液体となれば、何んな不合理なものでも買いますからね。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)