“いってき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一擲52.4%
一滴47.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はじめ蝶吉と歌枕で逢曳あいびきの重なる時分、神月は玉司子爵の婿君であったから、一擲いってき千金はそのかたしとせざる処、蝶吉が身を苦界から救うのはあえて困難な事ではなかった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
霧は捲き去り捲き来って、天上山上すべての有象を一擲いってきして、宇宙の永劫に投じ去るかと思わせる。暫くして僅かのひまから鷲ヶ峰の雑木林が、直ぐ目の先に見えたが、倏忽しゅくこつに消え失せた。
女子霧ヶ峰登山記 (新字新仮名) / 島木赤彦(著)
無智愚昧むちぐまい衆生しゅじょうに対する、海よりも深い憐憫れんびんの情はその青紺色せいこんしょくの目の中にも一滴いってきの涙さえ浮べさせたのである。
尼提 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
苦痛と恐怖でぐいと握り締められた私の心に、一滴いってきうるおいを与えてくれたものは、その時の悲しさでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)