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ひとしづく
雪は
活物にあらざれども
変ずる
所に
活動の気あるゆゑに、
六出したる
形の
陰中或は
陽に
象る
円形を
具したるもあり。水は
極陰の物なれども
一滴おとす時はかならず
円形をなす。
するつもりだつたと思ふよ。長崎屋は下戸で酒は
一滴も呑まないから、これは下手人にする
今考へると、それが
矢張り、あの
先刻の
樹だつたかも
知れません。
同じ
薫が
風のやうに
吹亂れた
花の
中へ、
雪の
姿が
素直に
立つた。が、
滑かな
胸の
衝と
張る
乳の
下に、
星の
血なるが
如き
一雫の
鮮紅。