トップ
>
一滴
>
ひとしずく
ふりがな文庫
“
一滴
(
ひとしずく
)” の例文
そそけ
髪
(
がみ
)
の頭をあげて、母は幾日か夢に描きつづけた一男の顔を、じっと眺めた。涙が
一滴
(
ひとしずく
)
、やつれた頬を
伝
(
つた
)
って、枕の
布
(
きれ
)
を
濡
(
ぬら
)
した。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
心もあの
貌
(
かおばせ
)
のように
厳
(
いつく
)
しく、われにあだし心おこさせたまわず、世のたのしみをば失いぬれど、幾百年の間いやしき血
一滴
(
ひとしずく
)
まぜしことなき家の
誉
(
ほまれ
)
はすくいぬ
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と、熊楠は、十方の山脈をふと見わたして、
一滴
(
ひとしずく
)
、侍の道のさびしさを、大きな
欣
(
よろこ
)
びの後の
睫毛
(
まつげ
)
にたたえた。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相変らずの
油照
(
あぶらでり
)
、手も顔も
既
(
も
)
うひりひりする。残少なの水も一滴残さず飲干して了った。
渇
(
かわ
)
いて渇いて耐えられぬので、
一滴
(
ひとしずく
)
甞める
積
(
つもり
)
で、おもわずガブリと皆飲んだのだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
無謀の軍を起こされし果て今日の非運を見給うはまことに無残の限りであると、ちょっと首級桶を
戴
(
いただ
)
いてホロリと
一滴
(
ひとしずく
)
こぼしたそうで、これを聞いた武田の遺臣ども、武骨者だけに感激するのも早く
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
心もあの
貌
(
かおばせ
)
のやうに
厳
(
いつく
)
しく、われにあだし心おこさせ玉はず、世のたのしみをば失ひぬれど、
幾百年
(
いくももとせ
)
の間いやしき血
一滴
(
ひとしずく
)
まぜしことなき家の
誉
(
ほまれ
)
はすくひぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
女の子は
唯
(
ただ
)
言葉なく出でゆくを、満堂の
百眼
(
ひゃくまなこ
)
、
一滴
(
ひとしずく
)
の涙なく見送りぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
“一滴”の意味
《名詞》
液体の一しずく。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
滴
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“一滴”で始まる語句
一滴々々