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足袋
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たび
ふりがな文庫
“
足袋
(
たび
)” の例文
「勘兵衛の
足袋
(
たび
)
の底はどうなんです。わざわざ自分の赤い
扱帯
(
しごき
)
で殺して、死骸の
雪駄
(
せった
)
を片っ方だけ自分の家へ持って来たんですかい」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長岡家に養われてからは、なり振りも小綺麗に、前髪もきちんと
結
(
ゆ
)
って、伊織は、奉公人らしくなく、
足袋
(
たび
)
まで白いのを
穿
(
は
)
いていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足袋
(
たび
)
も
穿
(
は
)
かぬ
足
(
あし
)
の
甲
(
かふ
)
が
鮫
(
さめ
)
の
皮
(
かは
)
のやうにばり/\と
皹
(
ひゞ
)
だらけに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
彼
(
かれ
)
はまだ
冷
(
さ
)
め
切
(
き
)
らぬ
茶釜
(
ちやがま
)
の
湯
(
ゆ
)
を
汲
(
く
)
んで
頻
(
しき
)
りに
飯
(
めし
)
を
掻込
(
かつこ
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
冬
足袋
(
たび
)
もゆるされずに
素裸足
(
すはだし
)
でいなければならなかったことなどを聞かれて、ふしぎな夢もの語りのようにも思われたようでした。
アインシュタイン教授をわが国に迎えて
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
足袋
(
たび
)
草鞋
(
わらじ
)
脱
(
ぬ
)
ぎすてて、出迎う
二人
(
ふたり
)
にちょっと会釈しながら、廊下に上りて来し二十三四の洋服の男、
提燈
(
ちょうちん
)
持ちし若い者を見返りて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
生憎
(
あいにく
)
そんなものは持合せていないので、まあ我慢することにして——
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
き、手袋をはめ——天井裏は、皆
荒削
(
あらけず
)
りの木材ばかりで
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
奥様から頂いて
穿
(
は
)
いた古
足袋
(
たび
)
の爪先も冷くなって、鼻の息も白く見えるようになれば、北向の日蔭は雪も溶けずに凍る程のお寒さ。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
遍路のはいている
護謨底
(
ごむそこ
)
の
足袋
(
たび
)
を
褒
(
ほ
)
めると「どうしまして、これは
草鞋
(
わらじ
)
よりか倍も
草臥
(
くたび
)
れる。ただ草鞋では金が
要
(
い
)
って
敵
(
かな
)
いましねえから」
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
足袋
(
たび
)
をはいた足のいかつい線も打ちこわしである。しかし豊国などはその以後のものに比べればまだまだいいほうかもしれない。
浮世絵の曲線
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼自身ですら、こうして下着や
足袋
(
たび
)
の面倒までも見て
貰
(
もら
)
っている自分を顧みれば、これでどうして夫婦でないのかと云うような気がする。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
貧家に育てられたらしい娘は、わたくしよりも悪い天気や時候には馴れていて、手早く
裾
(
すそ
)
をまくり上げ
足駄
(
あしだ
)
を片手に
足袋
(
たび
)
はだしになった。
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ふと箒の先に思わぬ力がはいって折りから掃きためてあった
塵埃
(
ごみ
)
が飛んで、ちょうど前を歩いていた人の裾から
足袋
(
たび
)
へしたたかかかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
子供のときから何かといえば
跣足
(
はだし
)
になりたがった。冬でも
足袋
(
たび
)
をはかず、夏はむろん、
洗濯
(
せんたく
)
などするときは
決
(
きま
)
っていそいそと下駄をぬいだ。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
せんの女房は九文の
足袋
(
たび
)
をはく女でした。私の腕の中にはいってしまう女でした。子供はもう猫の子のようになついています。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
短い破れた
袴
(
はかま
)
には、雪がかかって
湿
(
ぬ
)
れている。——足には
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
かずに、指は赤く海老のように凍えていた。翁は、
儼
(
おごそ
)
かに
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
衣類
(
きもの
)
より
足袋
(
たび
)
は
目
(
め
)
に
着
(
つ
)
く。
江戸
(
えど
)
では
女
(
をんな
)
が
素足
(
すあし
)
であつた。
其
(
そ
)
のしなやかさと、
柔
(
やはら
)
かさと、
形
(
かたち
)
の
好
(
よ
)
さを、
春信
(
はるのぶ
)
、
哥麿
(
うたまろ
)
、
誰々
(
たれ/\
)
の
繪
(
ゑ
)
にも
見
(
み
)
るが
可
(
い
)
い。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
足袋
(
たび
)
をはきかえ、帯のゆるみをなおしてから、荷物を一通り片づけて、さて気持を落ちつけるために、壁際にあるソファに、腰をおろした。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼も頤紐をかけ、足には靴下を脱いで、その代りに古
足袋
(
たび
)
を履いていた。それは捕物の際、畳の上で滑らないためらしかった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こちらが頭を下げると同時に彼は満足な足をあげて、
破
(
や
)
れ
足袋
(
たび
)
の上に加えた。この人は足袋の穴に拘泥していたのである。……
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
地しばりやおおばこなど、葉末に露をたたえた雑草をはだし
足袋
(
たび
)
に蹴立てて歩いて行った。白い
川面
(
かわも
)
がとおくまで光っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
その翌、翌日、まえの日の賤民とはちがって、これは又、帝国ホテルの食堂、本麻の蚊がすり、ろの
袴
(
はかま
)
、白
足袋
(
たび
)
の、まごうかたなき、太宰治。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
東風
(
こち
)
菫
(
すみれ
)
蝶
(
ちょう
)
虻
(
あぶ
)
蜂
孑孑
(
ぼうふら
)
蝸牛
(
かたつむり
)
水馬
(
みずすまし
)
豉虫
(
まいまいむし
)
蜘子
(
くものこ
)
蚤
(
のみ
)
蚊
(
か
)
撫子
(
なでしこ
)
扇
燈籠
(
とうろう
)
草花 火鉢
炬燵
(
こたつ
)
足袋
(
たび
)
冬の
蠅
(
はえ
)
埋火
(
うずみび
)
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
答えると一緒に、奈世は夏でも脱がぬ白
足袋
(
たび
)
をぬぎにかかり、うつ伏せになったわしの
蹠
(
あしのうら
)
に上手に両足で乗って、交互にゆっくりと踏み始める。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
その下につつましく潜んで消えるほど薄い紫色の
足袋
(
たび
)
(こういう色足袋は葉子がくふうし出した新しい試みの一つだった)
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
翌日道子はアンダーシャツにパンツを
穿
(
は
)
き、その上に着物を着て隠し、汚れ
足袋
(
たび
)
も新聞紙にくるんで家を出ようとした。
快走
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
脚絆
(
きゃはん
)
足袋
(
たび
)
草鞋
(
わらじ
)
、
菅笠
(
すげがさ
)
は背中に、武士ではないがマンザラ町人でもない——手に四尺五寸ほどある
樫
(
かし
)
で出来た
金剛杖
(
こんごうづえ
)
まがいのものをついていました。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
須山が帰るときに、母親は
袷
(
あわせ
)
や
襦袢
(
じゅばん
)
や猿又や
足袋
(
たび
)
を渡し、それから彼に帰るのを少し待って貰って、台所の方へ行った。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そんな物を探しているうち偶然に、机の前に投出してある女の
足袋
(
たび
)
を踏付けると、
踵
(
かかと
)
の処が馬鹿に固いのに気が付いた。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は、その全収入を菓子屋に奉公するために、仕事着は、二着っきり、靴はなく、どんな寒い時もゴム裏
足袋
(
たび
)
の、バリバリ凍ったのをはいていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
と、次郎は目をふせたが、その視線の中には、白い
足袋
(
たび
)
をはいた道江の足がはっきり
浮
(
う
)
かんでいた。かれは、あわてたようにそれから眼をそらし
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼は一つの包みを持ち、
紺飛白
(
かすり
)
の着物に羽織も着ず、
足袋
(
たび
)
もはかずに、ヒビの切れた足にほお
歯
(
ば
)
の
下駄
(
げた
)
をはいていた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
そんなら土地の人たちは、草鞋に何を穿くかと気を付けて見ると、多くは素足であり、しからざれば
足袋
(
たび
)
とも呼ぶあたわざるものを縛り付けている。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
親知らず、子知らずの険所を越える時などは、岩かどでお足をおけがなされて、
足袋
(
たび
)
はあかく血がにじみましてな。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
かれらは
大抵
(
たいてい
)
さるまたの上にへこ帯をきりきりと巻き、結び玉を後ろへたれていた、かれらのはいてるのは車夫のゴム
足袋
(
たび
)
もあれば兵隊の古靴もある。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
矢野はおっくうそうに物をいいながら、はかまの腰なる手ぬぐいをぬき、
足袋
(
たび
)
のほこりをはたいて上へあがった。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
足袋
(
たび
)
や
藁靴
(
わらぐつ
)
を足に用いるのは言うを俟たない。足袋にはしばしば美しい
刺子
(
さしこ
)
をする。藁靴の出来も形もまたいい。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
佐野屋は、二丁目の海老屋とともに日本で高級
足袋
(
たび
)
を造る数軒の一つである。ここの足袋をはいたらよその足袋ははけないといっても過言にはなるまい。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
『叔父さんあっちは大変寒いところだというじゃアありませんか』とお常は自分の
足袋
(
たび
)
の底を刺しながら言いぬ。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
五百は髪飾から
足袋
(
たび
)
下駄
(
げた
)
まで、一切
揃
(
そろ
)
えて贈った。それでも当分のうちは、何かないものがあると、蔵から物を出すように、勝は五百の所へ
貰
(
もら
)
いに来た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
全山殆ど岩石の途で、
足袋
(
たび
)
裸足
(
はだし
)
となった自分は足の裏の痛いこと
夥
(
おびただ
)
しい。M氏はどこまでも駒下駄を脱がない。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
フヽヽ
其
(
そ
)
の
桟留縞
(
さんとめじま
)
の
布子
(
ぬのこ
)
に、それで
宜
(
よ
)
い、
袴
(
はかま
)
は
白桟
(
しろざん
)
の
御本手縞
(
ごほんてじま
)
か、
変
(
へん
)
な姿だ、ハヽヽ、のう
足袋
(
たび
)
だけ新しいのを持たしてやれ。弥「ぢやア
往
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります。 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「正坊もお父さんがつれて行つてやるからなう、母ちやんに
足袋
(
たび
)
をはかして貰つてなう、帽子も冠つて……。」
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
現在の
堺筋
(
さかいすじ
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
上海
(
シャンハイ
)
の如くであるがその島之内に私の生れる以前からぶら下っている
足袋
(
たび
)
の看板が一つ、そしてその家は昔のままの姿で一軒残っている。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「ふむ、そうか。それはいけないねえ」と、いいつつまたお宮の頭髪から
足袋
(
たび
)
のさきまでじろじろ見まわした。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
彼は大急ぎで下りて、庭に乾してあった仕事着やはだし
足袋
(
たび
)
を取り入れた。帰って北の窓をあけると、
面
(
つら
)
が冷やりとした。北の空は一面鼠色になって居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しかし私は麻工場にかえされて座蒲団に坐るようになったので、霜焼けの足はすぐに癒えた。また、麻工にかえった日に丁度その冬最初の
足袋
(
たび
)
の給与もあった。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
足袋
(
たび
)
股引
(
もゝひき
)
の
支度
(
したく
)
ながらに答へたるに
人々
(
ひと/\
)
其
(
その
)
しをらしきを感じ合ひしがしをらしとは
本
(
もと
)
此世
(
このよ
)
のものに
非
(
あら
)
ずしをらしきが
故
(
ゆゑ
)
に
此男
(
このをとこ
)
の
此世
(
このよ
)
の
車夫
(
しやふ
)
とは落ちしなるべし。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「
素足
(
すあし
)
も、野暮な
足袋
(
たび
)
ほしき、寒さもつらや」といいながら、江戸芸者は冬も素足を
習
(
ならい
)
とした。
粋者
(
すいしゃ
)
の間にはそれを
真似
(
まね
)
て足袋を
履
(
は
)
かない者も多かったという。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
くらくなった空を仰いで、M君は、あれが北斗だろうという。わらがとれてから、草鞋と
足袋
(
たび
)
との間にはさまる雪の
珠
(
たま
)
になやまされる。ついに足袋の
紐
(
ひも
)
がずれる。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
往事の書生が、なるべく
外貌
(
がいぼう
)
を粗暴にし、衣はなるべく短くし、
髪
(
かみ
)
はなるべく
梳
(
くしけず
)
らず、足はなるべく
足袋
(
たび
)
を
穿
(
は
)
かなかったような、粗暴の
風采
(
ふうさい
)
はなさぬ人が多かろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
“足袋”の解説
足袋(たび)とは、和装の際に足に直接履く衣類の一種。日本固有の伝統的な衣類で、足に履く一種の下着である。木綿の布でできたものが一般的。小鉤(こはぜ)と呼ばれる特有の留め具で固定する。日本の伝統的な履物である草履・下駄・雪駄などを履く際に用いるため、爪先が親指と他の指の部分の2つに分かれている(叉割れ)。
(出典:Wikipedia)
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
袋
常用漢字
中学
部首:⾐
11画
“足袋”で始まる語句
足袋跣足
足袋屋
足袋跣
足袋摺
足袋穿
足袋裏
足袋股引