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度
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たび
ふりがな文庫
“
度
(
たび
)” の例文
あるものは、カバーの
金板
(
かねいた
)
をバーで動かそうと試みた。この間にも波浪は、船首甲板ほどではないにしても三、四
度
(
たび
)
、ここを洗った。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
其
(
その
)
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
き
味
(
あぢ
)
に
引
(
ひ
)
かされて、
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
は
行
(
ゆ
)
くが——
行
(
ゆ
)
く
度
(
たび
)
に
思出
(
おもひだ
)
しては、
歸途
(
かへりがけ
)
に、つい、
泣
(
な
)
かされる。——いつも
歸
(
かへ
)
る
時
(
とき
)
は
日暮
(
ひぐれ
)
になる。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
美「なに
私
(
わちき
)
のお父さんと心安い人なんで、四五
度
(
たび
)
私を呼んでくれた人ですが、
宅
(
うち
)
のお母さんと近付に成りたいって来てえるんですよ」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一
(
ひ
)
と
度
(
たび
)
書物以外に踏みだして実験をするという事になり、始めてありのままの自然に面するとなると、誠に厄介な事になって来る。
物理学実験の教授について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
国民党の脱会者だつたら、思ひ出す
度
(
たび
)
に、持前の
唐辛
(
からし
)
のやうな皮肉を浴びせ掛けるのだが、相手が
刀剣
(
かたな
)
であつてはさうも出来ない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
御岳は五度ばかり行っておりますけれども、行く
度
(
たび
)
に木がなくなって、終にはすっかり昔の面影が見られなくなってしまいました。
木曾御岳の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
機械
(
きかい
)
の
轟
(
とどろき
)
、
勞働者
(
ろうどうしや
)
の
鼻唄
(
はなうた
)
、
工場
(
こうば
)
の
前
(
まへ
)
を
通行
(
つうかう
)
する
度
(
たび
)
に、
何時
(
いつ
)
も耳にする響と聲だ。
決
(
けつ
)
して
驚
(
おどろ
)
くこともなければ、
不思議
(
ふしぎ
)
とするにも
足
(
た
)
らぬ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
その
度
(
たび
)
に私は、この愛情豊かな家を出て行く高次郎氏の満足そうな顔が、多くの囚人たちにも何か必ず伝わり流れていそうに思われた。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それから三日目には四本目、次の二日目には五本目、——その
度
(
たび
)
毎
(
ごと
)
に幽里子の注文は熱烈になり、東野南次の筆も脂が乗ってきました。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
上松を過れば、一
度
(
たび
)
遠く離れし木曾川は再び來りて路傍を洗ひ、激湍の
水珠
(
すゐしゆ
)
を飛ばし、奇岩の水中に
横
(
よこたは
)
れる、更に
昨日
(
さくじつ
)
に倍せるを覺ゆ。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
空
(
そら
)
にある
月
(
つき
)
が
満
(
み
)
ちたり
欠
(
か
)
けたりする
度
(
たび
)
に、それと
呼吸
(
こきゅう
)
を
合
(
あ
)
わせるような、
奇蹟
(
きせき
)
でない
奇蹟
(
きせき
)
は、まだ
袖子
(
そでこ
)
にはよく
呑
(
の
)
みこめなかった。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
他の色を
摺出
(
すりいだ
)
せしものなるが、この
度
(
たび
)
各色ごとに板木を異にするに及びて、自由にいかなる多数の色をも摺出す事を得るに至りぬ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さうなんでさ、うまいもんだからわしも
到頭
(
たうとう
)
米
(
こめ
)
一
俵
(
ぺう
)
損
(
そん
)
させられちやつて」
勘次
(
かんじ
)
はそれをいふ
度
(
たび
)
に
惜
(
を
)
し
相
(
さう
)
な
容子
(
ようす
)
が
見
(
み
)
えるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
船に乗る
度
(
たび
)
におもうのだけれど、
大連
(
だいれん
)
航路の朝の御飯はつくづくうまいと感心している。船旅では朝のトーストもなかなかうまいものだ。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
これを聞きて翁の目は急に
笑
(
え
)
みをたたえ、父上もさすがにこの
度
(
たび
)
は許したまいしか、まずまずめでたし、いつごろ立ちたもうや。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と一
分
(
ぶ
)
一
厘
(
りん
)
おなじことを、おなじ調子でいうんですもの。私の
門
(
かど
)
へ来ましたまでに、遠くから
丁
(
ちょう
)
ど十三
度
(
たび
)
聞いたのでございます。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この火歌ひつゝベアトリーチェの
周邊
(
まはり
)
をめぐること三
度
(
たび
)
、その歌いと聖なりければ我今心に浮べんとすれども
効
(
かひ
)
なし 二二—二四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
安政二年の頃から幕府の人が長崎に
行
(
いっ
)
て、蘭人に航海術を伝習してその技術も
漸
(
ようや
)
く進歩したから、この
度
(
たび
)
使節がワシントンに行くに付き
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
僕は小学時代にも「大溝」のそばを通る
度
(
たび
)
にこの叔父の話を思い出した。叔父は「御維新」以前には新刀無念流の剣客だった。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それで奥さんは
手水
(
ちょうず
)
に起きる
度
(
たび
)
に、廊下から見て、秀麿のいる洋室の窓の
隙
(
すき
)
から、火の光の漏れるのを気にしているのである。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
最近の二週間にもあやつは五
度
(
たび
)
も私の部屋へ脅迫状を投げ込んだのだが、私はどんな奴が投げ込んだのだか、全く解らんので
見えざる人
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
私はその
度
(
たび
)
に機関助士と佐川二等兵に見せながら、この調子ならじきにもとの成績にもどれるよ、と
労
(
いた
)
わるのを忘れなかった。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
一
(
ひ
)
ト
度
(
たび
)
グレーの講義を聞くものは皆語学の範囲を
超
(
こ
)
えてその芸術的妙趣を感得し、露西亜文学の熱心なる信者とならずにはいられなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
代助は
其奴
(
そいつ
)
に
体
(
からだ
)
をごし/\
遣
(
や
)
られる
度
(
たび
)
に、どうしても、
埃及人
(
エジプトじん
)
に
遣
(
や
)
られてゐる様な気がした。いくら思ひ返しても日本人とは思へなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それなのに、なぜ、この
度
(
たび
)
のような
些事
(
さじ
)
に、お心を労し、あまつさえ、その職も御一身も、自ら破り去るような短慮な道をえらばれるか」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その間に
一人
(
いちにん
)
の叔母と一人の姪をも
併
(
あわ
)
せてここに葬りたれば、われは実に前後五
度
(
たび
)
、泣いてこの墓地へ
柩
(
ひつぎ
)
を送り来りしなり。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼れ其実は全く嗅煙草を嫌えるも
唯
(
た
)
だ
空
(
から
)
の箱を
携
(
たずさ
)
え
居
(
お
)
り、喜びにも悲みにも其心の動く
度
(
たび
)
我
(
わが
)
顔色を悟られまじとて煙草を
嚊
(
か
)
ぐに
紛
(
まぎ
)
らせるなり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
こうして五
度
(
たび
)
も駕籠を乗り替えたうえ、目黒から大山道を西へまっすぐにゆき、柿の木坂というところで、掛け茶屋へはいってひと休みした。
追いついた夢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其処には二三本の
薪
(
まき
)
がくべてあって、火が
蛇
(
へび
)
の舌のように燃え上る
度
(
たび
)
毎
(
ごと
)
に、お母さんの横顔がほんのりと赤く照って見える。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何度も繰りかえして、その
度
(
たび
)
に引っこんだとか、引っこまないとか、彼等の気持は瞬間明るくなったり、暗くなったりした。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
それらがひと
度
(
たび
)
彼の体や心の具合に結びつくと、それは
悉
(
ことごと
)
く憂欝な厭世的なものに
化
(
かは
)
つた。雨は何時まででも降りやまない。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
助くるが
趣意
(
しゆい
)
なりとて
王法
(
わうはふ
)
有りての佛法なれば國の
政事
(
せいじ
)
に口出しはならず又役人と雖も
筋道
(
すぢみち
)
なくして人を
害
(
がい
)
すべきや其九助と云者
假令
(
たとへ
)
此
度
(
たび
)
人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
三杯目には、耳をぴく/\動かしてみせました。海賊はその
度
(
たび
)
に
大笑
(
おほわらひ
)
をして、すつかり
機嫌
(
きげん
)
よくなつて、酔つ払ひました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
久松家の用人をしていた私の長兄が留守番
旁々
(
かたがた
)
其所
(
そこ
)
に住まうようになって、私は帰省する
度
(
たび
)
にいつもそこに寐泊りをした。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
珠子は同時に、彼等の背景を
為
(
な
)
している、打続く深い竹藪を見て取ることが出来た。彼等が動く
度
(
たび
)
に、竹の葉がガサガサと鳴る音をも耳にした。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さすがに今は貫一が見る
度
(
たび
)
の
憤
(
いかり
)
も弱りて、待つとにはあらねど、その定りて来る文の
繁
(
しげ
)
きに、
自
(
おのづか
)
ら他の悔い悲める宮在るを忘るる
能
(
あた
)
はずなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大西洋を一度や二度航海するのとは違って、われわれのように
度
(
たび
)
かさなると、航海などは別に珍らしくないことになる。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
親に
事
(
つか
)
えて孝、士と交わって信、常に奮って身を顧みずもって国家の急に殉ずるは
誠
(
まこと
)
に国士のふうありというべく、今不幸にして事一
度
(
たび
)
破れたが
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この
度
(
たび
)
はシカゴ畜産組合の
顧問
(
こもん
)
として本大祭に御出席を得只今より我々の主張の不備の点を
御指摘
(
ごしてき
)
下さる次第であります。
一寸
(
ちょっと
)
紹介申しあげます。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その
可憐
(
かれん
)
な男が、私達の前の一回の起点へ来る
度
(
たび
)
に、一度は一度より増して桜の
花片
(
はなびら
)
を多く身に着けて来るのでした。
病房にたわむ花
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ひと
度
(
たび
)
それが理解されはじめると、歌人全体の傾向がひととびにその
辺
(
あた
)
り近くまで押し移ったことでも判るのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
さて元へ戻るにしても、母の膝にあがって仕掛花火に火のつく
度
(
たび
)
ごとに手を
拍
(
う
)
ってよろこんだ元の桟敷へは戻れない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
黒死館を真黒な翼で覆うている眼に見えない悪鬼が、三
度
(
たび
)
ファウスト博士を気取って五芒星呪文の一句を送って来た。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それ
故
(
ゆゑ
)
にこれ
等
(
ら
)
の
異變
(
いへん
)
がある
度
(
たび
)
に、
奉幣使
(
ほうへいし
)
を
遣
(
つかは
)
して
祭祀
(
さいし
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
或
(
あるひ
)
は
神田
(
しんでん
)
を
寄進
(
きしん
)
し、
或
(
あるひ
)
は
位階
(
いかい
)
勳等
(
くんとう
)
を
進
(
すゝ
)
めて
神慮
(
しんりよ
)
を
宥
(
なだ
)
め
奉
(
たてまつ
)
るのが、
朝廷
(
ちようてい
)
の
慣例
(
かんれい
)
であつた。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「千寿どの
安堵
(
あんど
)
めされい。藤十郎、この
度
(
たび
)
の狂言の工夫が悉く成り申したわ」と云いながら、
声高
(
こわだか
)
に笑って見せた。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
城民規則を設け、婚礼の
度
(
たび
)
ごとにこの大将を馳走し、次に自分ら飲宴するとした。時に極めて貧しい者あって、妻を娶るに大将を招待すべき資力なし。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その外天気の好い夜昼を何千
度
(
たび
)
でも楽んで過ごす事が出来る。健康の喜びの感じが
体中
(
からだじゅう
)
の脈々を流れて通る。この色々のものが
総
(
すべ
)
て愉快に感ぜられる。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
その
度
(
たび
)
に宝丹を出して飲むけれども飲むとかえって余計喉が乾く位、しかし幾分の助けにはなったろうと思います。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ゴム底の靴は歩く
度
(
たび
)
に高価な絨氈の中に深々と沈み、彼の熟練した眼には夜目にも素晴しい調度品が感じられた。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は三越に行く
度
(
たび
)
に、なるほど西洋のデパートメント・ストアを翻訳したら、
恁
(
こ
)
うなるのだなと感心する。恐らくこれ等はうまく翻訳したものであらう。
翻訳製造株式会社
(新字旧仮名)
/
戸川秋骨
(著)
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“度”を含む語句
態度
目出度
度々
芽出度
今度
二度
程度
毎度
百度
屹度
法度
再度
見度
一度
幾度
恰度
仕度
度胸
度外
数度
...