他国たび)” の例文
旧字:他國
他国たび人間もんと思って軽蔑するか。一人と思うて侮るか。サア鰤をば返せ。返されんチ云うなら二人とも警察まで来い。サア来い」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
元来この棕梠箒売という人種は、日本中、どこへ行っても他国たびの者が多い。従ってどことなく言葉癖が違っている上に、根性のヒネクレた人間が珍らしくない。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「イヤ。悪かった悪かった。冗談云うて悪かった。博多の人間もんなら仁輪加で笑うて片付くが、他国たびの人なら腹の立つのも無理はない。悪かった悪かった。ウチまで来なさい。返済まどうてやるけに。ナア。この通り謝罪ことわり云うけに……」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)