内地くに)” の例文
今更のように自分の身のまわりを見廻わす。そうだ、十年も経ってしまっている。——そうか。そんなら、死ぬだけは内地くにの村で死にたい。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
そうすれば、まるッきり簡単に「生れた時」とちっとも変らない赤裸になって、おっぽり出された。内地くにへ帰れなくなる。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
なべで豆をえるように、余った人間はドシドシ土地からハネ飛ばされて、市に流れて出てきた。彼等はみんな「金を残して」内地くにに帰ることを考えている。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
一働きをして、金を拵えたら、内地くにへもどって、安楽に暮らそう、まア、二三年もいて——皆そう思って、津軽海峡を渡ってきた。だが、もう十年も経っている。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「こんなこと内地くにさ帰って、なんぼ話したって本当にしねんだ」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)