地方ヂカタ)” の例文
其で、目あての獲物が脇の方へ廻る時分になると、対馬へなり、地方ヂカタへなり行つて、復そこで稼ぐ。壱岐のれふしだつて、やつぱりさうであつた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
唄も楽器も踊りも、地方ヂカタで十分芸道ゲイタウ化した時代であつた。特殊な伝統もない島の芸術は、皆、百姓と共に寄つて来た。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
伯耆の夜見島大根島などを夜見の国・根の国に聯想した先人の考へも、地方ヂカタから近きに過ぎる様に思はれるが、島を死の国と見た処は、しばらく棄て難い。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
地方ヂカタから伝はる唄を謳ふ位では、其が新しい音楽を孕み、文学を生み落す懸け声にはならなかつた。悲しんでも、其を発散させる歌もない心は、愈、瞳を黒くした。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)