トップ
>
過去
>
すぎさ
ふりがな文庫
“
過去
(
すぎさ
)” の例文
彼
(
か
)
の
八
(
や
)
ツ
山
(
やま
)
の
沖
(
おき
)
に
並
(
なら
)
んで
泛
(
うか
)
ぶ
此
(
これ
)
も無用なる
御台場
(
おだいば
)
と
相俟
(
あひま
)
つて、いかにも
過去
(
すぎさ
)
つた時代の遺物らしく放棄された悲しい
趣
(
おもむき
)
を示してゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其手袋を鼻の先へ押当てゝ、
紛
(
ぷん
)
とした
湿気
(
しけ
)
くさい
臭気
(
にほひ
)
を嗅いで見ると、急に
過去
(
すぎさ
)
つた天長節のことが丑松の胸の中に浮んで来る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
待兼
(
まちか
)
ねて問合わせの手紙まで出したのだが、それにも何の返事もなく、約束の日曜日は、いつの間にか
過去
(
すぎさ
)
ってしまった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ふと着古し膝の丸く出た服のズボンを見下したが、
過去
(
すぎさ
)
った記憶から
遁
(
のが
)
れるように、足早にそこを立去った。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
悟空
(
ごくう
)
の今一つの特色は、けっして過去を語らぬことである。というより、彼は、
過去
(
すぎさ
)
ったことは一切忘れてしまうらしい。少なくとも個々の出来事は忘れてしまうのだ。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
私だって、実際
生存
(
ながら
)
えていようとは考えないが、随分その当時、表向きに騒いで、
捜索
(
さがし
)
もしたもんだけれども、それらしい死骸も見附からないで、今まで
過去
(
すぎさ
)
ったんだ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
七年
前
(
あと
)
に出た旦那が
帰
(
けえ
)
らねえのは不思議な訳だが、
其処
(
そこ
)
へ泊って買出しをすると云った、春見屋という宿屋が怪しいと思いますが、
過去
(
すぎさ
)
った事だから仕方がない、早く
私
(
わっち
)
が知ったらば
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから父は、
過去
(
すぎさ
)
った日の
栄光
(
はえ
)
を、真黒に汚れた爪で
剥
(
は
)
ぎ
毮
(
むし
)
って行きました。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
誰が殺したにしたところで、それはもう
過去
(
すぎさ
)
ったことで、幾ら
詮議
(
せんぎ
)
したとて彼女は
生還
(
いきかえ
)
っては来ないではありませんか。蕗子が生存しない以上私がこの世に残って何をしようと同じことです。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
ところが、それから半月ばかりは何事もなく
過去
(
すぎさ
)
って了いました。心配していた明智もその後一度もやって来ないのです。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
泉原は人気のない
共同椅子
(
ベンチ
)
に
疲労
(
つか
)
れた
体躯
(
からだ
)
を休めて、
呆然
(
ぼんやり
)
と
過去
(
すぎさ
)
った日の出来事を思浮べた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
何もかも——
錆
(
さび
)
を帯びた
金色
(
こんじき
)
の仏壇、生気の無い
蓮
(
はす
)
の
造花
(
つくりばな
)
、人の空想を誘ふやうな
天界
(
てんがい
)
の
女人
(
によにん
)
の壁に
画
(
か
)
かれた
形像
(
かたち
)
、すべてそれらのものは
過去
(
すぎさ
)
つた時代の
光華
(
ひかり
)
と
衰頽
(
おとろへ
)
とを語るのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
画工 (
管
(
くだ
)
をまく
口吻
(
くちぶり
)
)何、面白かつた。面白かつたは
不可
(
いか
)
んな。今の若さに。……
小児
(
こども
)
をつかまへて、今の若さも変だ。(笑ふ)はゝゝは、面白かつたは心細い。
過去
(
すぎさ
)
つた事のやうで
情
(
なさけ
)
ない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
傳「旦那おかしい事があればあるものさ、此の人はね越中の高岡で宗慈寺という寺に居りました寺男でね、
賭博
(
ばくち
)
をしておかしい事がありやした……今では
過去
(
すぎさ
)
った事だが、あれは何うなったえ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その内に、短い二年が
過去
(
すぎさ
)
って、小山田さんが帰って来た。もうあなたは元の様に一人二役を勤めることは出来ない。そこで大江春泥の行方不明ということになったのです。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
過去
(
すぎさ
)
つた事は
最早
(
もう
)
仕方が無いとして、
是
(
これ
)
から
将来
(
さき
)
を用心しよう。蓮太郎の名——人物——著述——一切、
彼
(
あ
)
の先輩に関したことは決して
他
(
ひと
)
の前で口に出すまい。斯う用心するやうに成つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
幸「エヽまだ
其様
(
そん
)
なことを云ってるか、
過去
(
すぎさ
)
った昔の事は仕方がねえ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それからもう五時間余り、何事もなく
過去
(
すぎさ
)
った。今は深夜の一時である。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女「いえ最う
過去
(
すぎさ
)
りました事で、今はもう諦めて仕舞いました、ト申すと何か不実なようでございますが、去る者日々に疎しとやらで、
漸々
(
よう/\
)
忘れてしまいましたが、深川の方に少々身寄が有りますので」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうして
有耶無耶
(
うやむや
)
の内に五日間が
過去
(
すぎさ
)
ったのである。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それから一月ばかり、別段のお話もなく
過去
(
すぎさ
)
った。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それから数ヶ月の間は何事もなく
過去
(
すぎさ
)
った。
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二ヶ月余り、何のお話もなく
過去
(
すぎさ
)
った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“過去”の意味
《名詞》
過去(かこ)
過ぎ去った時。現在より以前のこと。
現在を含む以前のこと。歴代。
現在の状況とは無関係なこと。また全盛期を過ぎていること。
三世の一つ。過去世。前世。
《副詞》
現在より以前に。これまで。
(出典:Wiktionary)
“過去”の解説
過去(かこ)とは、時間の流れを3つに分けて理解する場合の、既に過ぎ去った部分のこと。現在より以前の時のこと。あるいは、すでに終わったできごとのこと。昔。対義語は未来。
(出典:Wikipedia)
過
常用漢字
小5
部首:⾡
12画
去
常用漢字
小3
部首:⼛
5画
“過去”で始まる語句
過去帳
過去生
過去世
過去帖
過去來
過去七仏
過去君之
過去精麗
過去聖霊