“うしろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウシロ
語句割合
背後49.5%
35.1%
後方6.9%
3.9%
背面0.8%
後部0.7%
後背0.6%
脊後0.4%
後面0.2%
後頭部0.2%
(他:20)1.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その時に一知の背後うしろなかでマユミがオロオロ泣出している声が聞えた。両親の不幸がやっとわかったらしい。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
早瀬はしばらく黙ったが、思わずこまぬいていた腕に解くと、背後うしろざまに机にひじ、片手をしかと膝にいて、
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉄縁の鼻眼鏡のうしろには、不相変あいかわらず小さな眼が、柔らかな光をたたえながら、アイロニカルな微笑を浮べている。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで、介錯かいしゃくに立った水野の家来吉田弥三左衛門やそうざえもんが、止むを得ずうしろからその首をうち落した。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
見よ彼は背を胸に代ふ、あまりにさきをのみ見んことをねがへるによりていまあとを見後方うしろにゆくなり 三七―三九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかしてかしこより日の光の反映てりかへすこと、鉛を後方うしろにかくす玻〓はりより色の歸るごとくなるべし 八八―九〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
涼しき空気は一陣水のごとく流れ込みぬ。まっ黒き木立こだちうしろほのかに明るみたるは、月でんとするなるべし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
沈まば諸共もろともと、彼は宮がかばねを引起してうしろに負へば、そのかろきこと一片ひとひらの紙にひとし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私は課業の休みの時間になりますと、よく便所の背面うしろから弓の道場の板囲いの蔭に隠れて、あの廃屋の二階に上りました。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし逃げたとしても背面うしろからあびせられる敵の砲火にどうして湖水を渡れよう?とそう思うと、彼はつと戸を閉じてかんぬきを下した。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
それはのこぎりで腰骨を切開いて、骨と骨の間に横木を入れ、後部うしろの脚に綱を繋いで逆さに滑車でつるし上げるのだ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私は拳骨げんこつを固めて、耳の後部うしろの骨をコツンコツンとたたいた。けれどもそこからは何の記憶も浮び出て来なかった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いうことば半ばにして海野はまた感謝状を取直し、ぐるりと押廻して後背うしろなる一団の軍夫に示せし時、戸口に丈たかき人物あり。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いふことば半ばにして海野はまた感謝状を取直し、ぐるりと押廻して後背うしろなる一団の軍夫に示せし時、戸口に丈長たけたかき人物あり。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をんな脊後うしろから肩越かたこしむねをおさへたのでしつかりつかまつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
児太郎は、くるっと脊後うしろ向きになると、肌を脱いでみせた。美しいふた峯の脊すじに、幾すじとない紫色を帯びた鞭のあとが、逡巡としてまざまざと残っていた。
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
洲の後面うしろの方もまた一尋ほどの流れでおかと隔てられたる別世界、まるで浮世のなまぐさい土地つちとは懸絶かけはなれた清浄しょうじょうの地であったままひとり歓び喜んで踊躍ゆやくしたが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たっとき兄をおぼらせしかと兄弟ともにじ悲しみて、弟のたもとを兄は絞り兄の衣裾もすそを弟は絞りて互いにいたわり慰めけるが、かの橋をまた引き来たりて洲の後面うしろなる流れに打ちかけ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
私は少しも空腹を覚えなかったけれど、半ば習慣的に寝椅子から立って、寝癖のついた後頭部うしろを撫ぜながらサン・ルームの食堂に行った。
おまけに、金仏かなぶつ光りに禿はげ上っていて、細長い虫のような皺が、二つ三つ這っているのだが、後頭部うしろのわずかな部分だけには、嫋々なよなよとした、生毛うぶげみたいなものが残されている。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
弓の的場を変えた俄舞台は、よしず囲いに、よしず廂。背景うしろにおいた屏風と両わきの袖幕とが、装置といえばいえもする。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がっしりと腕組した藤吉が、一つ立てずに薄眼を開いてぼんやり首を眺めていると、首は青竹に突き刺さって仔細あり気なしかめっ面、顔一面に血糊がって流れて灰色の雲低い空を背景うしろに藤吉を見下ろしているところ
わたくし日出雄少年ひでをせうねん背部うしろ庇護かばつて、キツと猛狒ゴリラ瞳孔ひとみにらんだ。
背部うしろほうでくるくるとまるめてるところは、ても御国風みくにふうよりは唐風からふうちかいもので
相川や、乙骨や、高瀬や、それから永田なぞと、よく往ったり来たりした時代は、最早遠く過去うしろになったような気がする。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
正太や豊世がかわるがわるやって来て、長火鉢の側でよく話したことは、何となく急に過去うしろに成った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
屋後うしろには熊の髑髏あたまの白くなったのや、まだ比較的なましいのを突きしたさお、熊送りに用うるアイヌの幣束イナホなどが十数本、立ったり倒れたりして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
流石さすがに信濃の国なれば、鮒をかしらにはあらざりけり、屋背うしろの渓川は魚まず、ところのものは明礬めんばん多ければなりという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
例の死霊が善光寺ぜんこうじまいる絵と変って、その途端、女房はキャッと叫んだ、見るとその黒髪を彼方うしろ引張ひっぱられる様なので、女房は右の手を差伸さしのばして
因果 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
西日にはあげまきむきて居るならし後姿うしろぶかき四五の女童めわらは
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「……紅蓮ぐれん、大紅蓮、紅蓮、大紅蓮……」と後見うしろをつけたものがある。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こんな事を言つて、後頭うしろにだけ少しの残つてゐる滑かな頭をつるりと撫でて見せた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
くくし上げられた老人と老婆は、一隊の最後うしろに引き据えられた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あわてて有背後うしろに隠して、おやじめ皮肉なことをしやアがる……隣近所、気まずい眼顔をあわせていると、シーッ! シッ! と警蹕けいひつの声。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
振り向きて肩後うしろひかへし張箪笥の上より、庄太郎の為には、六韜三略虎の巻たる算盤、うやうやしく取上げて、膝の上に置き、上の桁をカラカラツと一文字に弾きて、エヘント咳払ひ、ちよつとこれを下に置きて、あたかも説明委員といふ見得になり、
心の鬼 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
稲荷堂の、背裏うしろから、もぞもぞと這出して、落ちた長襦袢に掛って、両手につかんだ、葛木を仰ぎ見て、夥多あまたたび押頂いたのは赤熊である。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
所が悲しい事には支那人の頭は前の方をすって居るから旨く届かぬ僅に指先で四五本つかんだが其中に早や支那人の長い爪で咽笛のどぶえをグッと握まれ且つ眉間を一ツ切砕きりくだかれウンと云って仰向にうしろへ倒れる
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
舟といえば、この渡しの舟の形はおかしい、まえうしろもない、ひきがえるを踏みつけたようなペッタリした舟だワイ、あちらの岸の舟もそうだ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
多「うしろの、屋根が破れて物がはいらずにあるから、板を載せて置きやしたが、うらの大きな納屋が明いて居りやんして、別に物をれないようでがんすが、旦那様彼処あすこを安い店賃たなちんでお貸しなすって下せいまし」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これはまえ、これは西うしろということが明瞭はっきりとわかるのでござる
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
PR