後面うしろ)” の例文
洲の後面うしろの方もまた一尋ほどの流で陸と隔てられたる別世界、全然まるで浮世の腥羶なまぐさ土地つちとは懸絶れた清浄の地であつたまゝ独り歓び喜んで踊躍ゆやくしたが
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
洲の後面うしろの方もまた一尋ほどの流れでおかと隔てられたる別世界、まるで浮世のなまぐさい土地つちとは懸絶かけはなれた清浄しょうじょうの地であったままひとり歓び喜んで踊躍ゆやくしたが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
尊き兄を溺らせしかと兄弟共に慚ぢ悲みて、弟の袂を兄は絞り兄の衣裾もすそを弟は絞りて互ひにいたはり慰めけるが、彼橋をまた引き来りて洲の後面うしろなる流れに打ちかけ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かの橋をまた引き来たりて洲の後面うしろなる流れに打ちかけ、はやこの洲には用なければなおもあなたに遊び歩かん、汝たちまずこれを渡れと、長者の言葉に兄弟は顔を見合いて先刻さきには似ず
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)