飛行機に乗る怪しい紳士ひこうきにのるあやしいしんし
A操縦士とT機関士はその日も旅客機を操って朝鮮海峡の空を飛んでいた。その日は切れぎれの雲が低く飛んで、二〇メートルと云う烈しい北東の風が、水上機の両翼をもぎとるように吹いていた。下には荒れ狂う白浪が野獣が牙をむいたようになっていた。 機体は …