“脂汗”の読み方と例文
読み方割合
あぶらあせ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、ひたい脂汗あぶらあせを拭きながら、見るともなしにうしろの客席に眼をやった。左側の二番の客席に、せぎすな一人の紳士が腰をかけていた。
飛行機に乗る怪しい紳士 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その沈黙はたちまちのように、色を失った陳の額へ、冷たい脂汗あぶらあせを絞り出した。彼はわなわなふるえる手に、戸のノッブを探り当てた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
がっくりと根の抜けた島田まげは大きく横にゆがんで、襟足えりあしに乱れた毛の下に、ねっとりにじんだ脂汗あぶらあせが、げかかった白粉を緑青色ろくしょういろに光らせた
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)