後背うしろ)” の例文
いうことば半ばにして海野はまた感謝状を取直し、ぐるりと押廻して後背うしろなる一団の軍夫に示せし時、戸口に丈たかき人物あり。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
切りたるぞはやとらへ給はれと云ふ間あらせず重四郎は心得たりと一たうひらりと拔より早く練馬ねりま藤兵衞を後背うしろよりばつさり袈裟掛けさがけに切放しければ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見れば此道路の最初の右側に、内地では見ることの出来ない異様なる掘立小屋ほつたてごやがある。小屋の左右及び後背うしろは林を倒して、二三段歩の平地が開かれて居る。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「高谷さん‼ 高谷さん‼」と私は呼んでいつもの三等室の前へ駆けつけて絵はがきを差し出したけれども、どうしたものか今日に限って高谷は後背うしろの室にいない。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
郵便の小舟は今わが家を去って、予にその後背うしろを見せつつ東に向かって漕いでいる。
水籠 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いふことば半ばにして海野はまた感謝状を取直し、ぐるりと押廻して後背うしろなる一団の軍夫に示せし時、戸口に丈長たけたかき人物あり。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此處こゝ發見みつけときぼくおもつた此處こゝるなられないでも半日位はんにちぐらゐ辛棒しんぼう出來できるとおもつた。ところぼく釣初つりはじめるともなく後背うしろから『れますか』と唐突だしぬけこゑけたものがある。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
二のかたなにてもなく切殺きりころしけるにぞ馬士まごは大きに驚き仰天ぎやうてんして人殺し/\といひながら一目散に迯出にげいだすを重四郎おののがしては後日のさまたげと飛掛とびかゝつて後背うしろよりまつ二ツに切下きりさげれば馬士まごどうたふるゝ處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちょうどその時、通用門にひったりと附着くッついて、後背うしろむきに立った男が二人居た。一人は、小倉こくらはかまかすり衣服きもの、羽織を着ず。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕が手に一通の手紙を持って後背うしろに来ていた。手紙を見ると、梅子からのである。封を切らないうちにもうそれと知って、首をれてジッとすわッて、ちょうど打撃を待っているようである。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その場所ばしよまつたくぼくつたのである、後背うしろがけからは雜木ざふきえだかさかさねておほひかゝり、まへかなひろよどみしづかうづまいながれてる。足場あしばはわざ/\つくつたやうおもはれるほど具合ぐあひい。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)