経緯たてよこ)” の例文
旧字:經緯
色にも中間のものにハシタ色というのがあって、和訓栞に、「指貫さしぬきに言へり、胡曹抄に、経緯たてよことも薄紫と見えたり」と解している。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
経緯たてよこの絲はあっても、色彩、意匠の精巧たくみさは見られないのです。たとえば日本独特の詩である俳句にしてもそうです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
珍らしくもごく薄い経木を経緯たてよこに用いて織物にしてあります。壁張や襖地ふすまじには好個のものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
濁世じょくせにはびこる罪障の風は、すきまなく天下を吹いて、十字を織れる経緯たてよこの目にも入ると覚しく、焔のみははたを離れて飛ばんとす。——薄暗き女の部屋はけ落つるかと怪しまれて明るい。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)