“悸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おび28.1%
ぎょっ14.1%
おど10.9%
ふる6.3%
をのの4.7%
トキメ4.7%
すく3.1%
おのの3.1%
3.1%
ぎょ3.1%
1.6%
おどか1.6%
おどろ1.6%
おどろか1.6%
ぞつ1.6%
ときめ1.6%
とどろ1.6%
どき1.6%
どきっ1.6%
はつ1.6%
びく1.6%
をど1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ、彼女の場合は、その印象が、ひと口で云へば強烈であり、相手の調子になにかおびえさせるやうなものがありすぎたからであらう。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
この物音はさして大きな物音ではなかったけれど、さすがの二人の壮士をぎょっとせしめて、その音のした扉の方を見つめさせ
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
如何だ、仕方のないやさしさなんだらう、フツ。嘘つき、罰かも知れないよ、こんな悴が居るのも。……一寸、一本おどかしてやらうかな。
鏡地獄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
父親と衝突して斯んな処に逃れ、父親の怖ろしい顔にふるへながら、愚劣な日を送つてゐる青年の心の悲しみなどに、何処に同情などを寄せる人が有るべくもない。
環魚洞風景 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
駱駝らくだ岩。眼鏡岩、ライオン岩、亀岩などの名はあらずもがなである。色を観、形を観、しかして奇に驚き、神をののき、気眩すべしである。
日本ライン (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
藤原・飛鳥の里々山々を眺めて覺えた、今の先の心とは、すつかり違つた胸のトキメき。旅の郎女は、脇目も觸らず、山に見入つてゐる。さうして、靜かな思ひの充ちて來る滿悦を、深く覺えた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
と、つい十日程前の奇禍におびえている魂が、新しい身ぶるいを起して、おりんのひとみをすくめました。——そして思わず、彼女の唇が
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九月一日、二日、三日と三宵にわたり、庭の大椎おおしいくろく染めぬいて、東に東京、南に横浜、真赤に天をこがす猛火のほのおは私共の心魂しんこんおののかせました。頻繁な余震も頭を狂わせます。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「君は三千代を三年まへの三千代と思つてるか。大分だいぶ変つたよ。あゝ、大分だいぶかはつたよ」と平岡は又ぐいとんだ。代助はおぼえずむねの動を感じた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
兵さんも、流石さすがぎょっとしたらしかった。そして、一寸ちょっと腰をあげて、上の畑をのぞいてみた。
あまり者 (新字新仮名) / 徳永直(著)
「畜生奴! すっかりぢて了やがつた。」
眠い一日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
酔つては、久保田万太郎を襲つたり、中戸川吉二を憤らせたり、飲みもしない鈴木十郎をおどかしたりするのは益々度重つた。
交遊記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「忽ち又人有り。数十の男婦を駆りて至る。鞭策べんさく甚だ苦。声をひとしうして呼号す。」賈はおどろいて目を醒ました。それからこの夢を人に語つた。けれども誰一人信ずるものはない。
鴉片 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
恐らく繻子のやうな手は爪を隠した手袋であるかも知れぬ。是等の想像におどろかされてわしは、再びわしの膝からすべつて、床の上に落ちてゐた祈祷の書を取り上げた。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
人間には到底歯の立たない名前を聞くだけでもぞつとするやうな悪魔の力を嘲つたといふので人々が体をふるはせ出したのを見て、彼も口をつぐんだ。
藤原・飛鳥の里々山々を眺めて覚えた、今の先の心とは、すっかり違った胸のときめき。旅の郎女は、脇目も触らず、山に見入っている。そうして、静かな思いの充ちて来る満悦を、深く覚えた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
これを下るかと思えば、心自らとどろきしが、熊笹や灌木をつかみて、後向きになれば、下られざるにもあらず。半頃より左に近く羽衣の滝を見る。下りて見上ぐれば、高いかな。八十丈と称す。
層雲峡より大雪山へ (新字新仮名) / 大町桂月(著)
しかし今夜は何か絶えず気がたかぶっているのは、松岡には女が来て行ったことに原因していることに気がついていたのだが………こんなに廊下へ出て見る気や、悪寒や、胸のどきつくことや
三階の家 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
私はどきっとした。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
それを手に取り上げて珍らしいその形を眺めてゐるうちに、思はずも彼ははつと驚いたといふのはその中の一振の鞘飾りがいつぞやあの森の中の小屋で拾つた匕首と同じ型をしてゐたからである。
途方もねえ言いがゝりをして金にする了簡だな、其様そんな事にびくともする幸兵衞じゃアえぞ……えゝ何をするんだ、放せ、袂がきれるア、放さねえと打擲ぶんなぐるぞ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は、をどされた。胸がひとつ不気味に鳴つた。振り返つて見ると藤村の寝顔には、変な微笑が浮んでゐる。彼が、口のうちで何かわけのわからぬ寝言を呟いたのであつた。
環魚洞風景 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)