ぎょっ)” の例文
この物音はさして大きな物音ではなかったけれど、さすがの二人の壮士をぎょっとせしめて、その音のした扉の方を見つめさせ
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
見違える程若返らせて「コレ道九郎、其の方に祝して貰わねば成らぬ事が有る、何しろ目出度いよ」余はぎょっとした
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
私はカクストン氏がどうしてルグナンシェと私との関係を嗅出したのかと思って、ぎょっとしたが、柏云々という言葉で、多分柏からあの日の出来事だけを聞いたのであろうと思って、いくらか安堵した。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
と云われおかくはぎょっとし
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぎょっとしたお銀様は——この女はお銀様であります——やがて紙を取り出して、この位牌を包んで懐中ふところへ入れましたが
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
爾して何だかぎょっと驚いたかの様にも思われたけれど、是は多分余の心の迷いから此の様な気がしたので有ろう、爾かと思って見直して見るに秀子の顔は相変らず静かで
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
神尾が見てぎょっとしたのは、その竜之助のもぎ取ろうとしている白い物が、人間の手のように見えたからであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お銀様が振返った時に、一時ぎょっとして市五郎は、すぐに足を立て直してなにげなきていで向うの方へらせます。
兵馬に呼びかけられて、覆面の武家はぎょっとして立ちどまりました。追いついた兵馬は
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
武士もまた、さすがにこの場の無惨むざんな有様に、ぎょっとして突立ったきりでありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
橋を渡り終って松原へかかると、駕籠屋はまた不意にぎょっとしました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神尾はぎょっとして少しく身を退しりぞかせました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)