“悸然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぎょっ50.0%
ぎよつ30.0%
きぜん10.0%
はつ10.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
狂人きちがいか、乞食か、ただしは山𤢖やまわろ眷族けんぞくか、殆ど正体の判らぬの老女を一目見るや、市郎も流石さすが悸然ぎょっとした。トムがあやしんで吠えるのも無理は無い。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さうして見よ、背後うしろから尾をあげを高めた黒猫がただぢつときんの眼を光らしてゐたではないか。私は悸然ぎよつとして泣いた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
お俊は悸然きぜんとした気もちだった。ふと気を変え、自分の心の暗みを手さぐるような気で、こう言ってさぐりを入れて見るようになった。
童話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
哀れな瞳が狂気したやうな額の下からぢつと此方こちらを見てゐる。私は悸然はつとして乳の上を抑えた、白い手の芽も飛び出さなかつた、と思ふとぢつとつぐんだ唇が稍安心と憎悪の薄笑ひを浮べる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)